今、ドイツで複数のロケットスタートアップが
「打ち上げ成功 一番乗り」
を目指して、しのぎを削っている。
なんで今、ドイツでロケット事業が急に注目を浴びているのか、紹介したい。
この記事の目次
ロケット事業
ところでロケットの発射、言い換えれば
「衛星の打ち上げ」
を、民間の企業に任せる利点はどこにあると思います?
それは
- 価格
- スピード
が、桁違いだからです。
これをお役所がやると、べらぼうに高い給料をかしめとるのに、何もしない上司がごまんと居る。
でもこの役立たずの
「認証印」
がないと、先に進めないのだ。
この為、
「公営」
では時間が無駄に浪費される上、費用はうなぎのぼり。
備蓄米の放出と同じです。
日本の内閣府が公表している
「日本のロケットの競争力」
という公式発表よると
日本の国産(公営)ロケットは、マスクのロケットのおよそ2倍のコストがかかる。
日本の国産ロケットは、同じく公営であるEUのアリアーネロケットよりもさらに高い。
言い換えれば、民間でロケットの打ち上げに成功すればがっつり、儲かる!
この為、ロケットスタートアップが幾つも誕生している。
今回紹介するのは、その内のトップ3です。
ロケットスタートアップ Hyimpulse
最初に紹介するのは、バーデンヴュルテンベルク州のロケットスタートアップ
“Hyimpluse”(ハイインパルス)
だ。
最大の特徴は燃料にパラフィン、わかりやすく言えば
「ろうそく」
を使用している点。
お陰で打ち上げ費用が、滅茶苦茶安い。
その反面で搭載能力に限りがある。
最初の発射実験に使われたのは
”SR75”
という小型ロケット。
積載能力は300Kg。
到達高度は250kmまで。
商業衛星の打ち上げには、ちと及ばない。
最初の打ち上げ試験は2024年5月。
そもそも
「ろうそくロケットが飛ぶの?」
と疑っていたが、見事に発射に成功。
計画通り60Kmの高さまで到達した。
ロケットスタートアップ Rocket Factory Augsburg
次に紹介するロケットスタートアップは、
”Rocket Factory Augsburg”(アウグスブルク ロケット工場)
です。
従来の液体燃料を点火して、3段のブーストして衛星軌道に達する。
最大積載能力は1.6トンで、高度400Kmまで達することができる。
2024年8月に初飛行を試みたが、御覧の通り大失敗。
なんでも高圧ポンプが故障、燃料漏れを起こしてしまった。
ロケット打ち上げで一番コストが高いのが、打ち上げ台。
その打ち上げ台が台無しになってしまったので、アウグスブルク ロケット工場には大きな痛手。
ロケットスタートアップ Isar-Aerospace
最後に紹介するドイツのロケットスタートアップは
“Isar-Aerospace”(イザーアエロスペース)
です。
名前からわかる通りミュンヘン(郊外)にあるスタートアップです。
この会社のロケットも燃料に
「こだわり」
があり、液化酸素と液化プロパンガスを使用する。
勿論、コストカットの為だ。
ロケットも
「2段式」
を採用している。
それでも、最大積載能力は1トンまで。
到達高度は立派な2000km程度。
2025年3月の
「処女飛行」
で打ち上げに成功した。
数秒間だけですけどね。
イザーアエロスペース社によると、
「発射に成功後、計画通り、海に落ちた。」
というが、単なる負け惜しみ。
月面着陸を試みた日本のスタートアップが、また失敗。
株価が暴落したのは記憶に新しい。
同じ運命を避けるために、
「計画通りの墜落。」
と言ったんです。
でも発射に成功したことで、べらぼうに高い発射装置は無傷。
失敗原因を調べれば、次の発射に行かせることができる。
ロケット需要の急増
きっと日本の皆さんは、
と思ったに違いない。
今年、ホワイトハウスであったゼレンスキー大統領とトランプの
「論争」
を覚えていますよね。
怒ったトランプはすでに国会で許可された武器の引き渡しをストップしたばかりか、衛星データの供与も辞めた。
これによりウクライナ軍はロシア軍の動きが全くよめなかった。
これはアメリカが
ドイツ人の数少ない長所のひとつが、
ウクライナの窮状を見て、
「ドイツ軍専用の衛星システムを構築する。」
と発表した。
それには数百個の衛星を打ち上げる必要がある。
とてもじゃないが、EUのアリアーネロケットに頼んでいる暇はない。
そこでここにきて急に
「ロケットスタートアップ」
が注目を浴びている。
勝つのは誰だ!?
ドイツのロケットスタートアップの中で
「ポールポジション」
を手中にしたのが、イザーアエロスペースだ。
すでに営業用ロケットの開発とスタートに成功している。
あとは成功裏に衛星を放出する高度まで無事、ロケットを飛ばすだけ。
二番手はハイインパルス。
というのも発射実験に使ったロケットでは、衛星の打ち上げは無理。
そこで今、600~800Kgの衛星を打ち上げることができる三段ロケットの
“SL1”
の発射実験を準備中。
早ければ2025年内、遅ければ2026年に発射実験が行われる。
日本の ロケットスタートアップ
ちなみに日本にもロケットスタートアップは複数ある。
発射実験に成功した事例もある。
しかしそのロケットは全長6.3M、到達高度が10Kmと、
ナチスが戦争中に開発したロケットにも及ばない。
衛星の打ち上げに成功するまで、気が遠くなるほど長い道のりだ。