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戦争の勝敗を決めるヘルソン大決戦 それとも? 

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9か月目に突入したプーチンの戦争。

日に日に劣勢になるロ軍が、

「起死回生の大勝負」

を狙って仕掛けた罠が、ヘルソンからの撤退だった。

どういう事?

情報作戦

皆さんはまだ覚えているだろうか。

夏になる前から、

「ヘルソン州を奪回する。」

と言い続けたゼレンスキー大統領とウクライナ軍。

この話に信憑性を与えるために、ドニエプル河にかかる3本の橋を破壊。

ロシア軍をドニエプル河の西岸に、

「孤立」

させることに成功した。

「いよいよ来るか?ヘルソン奪還攻勢」

と思っていたら、ハリコフで攻勢に出たウクライナ軍。

まさに、

「一本!」

の情報戦だった

すると今度は、

「騙されるばかりじゃ、格好が悪い。」

とロシアが情報戦をしかけた。

真っ赤な嘘

ある日、ヘルソン州のロシア占領政府のトップが、

「ヘルソン州からの撤退」

を発表した。

話に信憑性を与えるべく、市民を非難させてその光景をテレビで紹介。

加えて露軍の(一部)も、ヘルソン州からの撤退を始めたと報道した。

そもそもリマン包囲戦では、プーチンがロ軍の撤退を禁じて、危うく包囲殲滅される所だった。

なのにまだ包囲される危険もないのに、撤退?

実に胡散臭い。

日本軍なら、

「今こそ大勝利のチャンス!」

と、猪突猛進の突撃をするだろう。

実はコレ、露軍の

「真っ赤な嘘」

だった。

露軍はウクライナ軍が

「いざ、鎌倉!」

と攻撃に出てくることを期待して、

「撤退中」

という餌を投げたわけだ。

ところがどっこい!

ウクライナ軍は敵の

「大本営発表」

を全く信用していない。

同盟国から与えられれた衛星からの映像で、増援部隊を送っている事を承知していた。

だからウクライナ軍は大攻勢に出なかった。

もしウクライナ軍が大攻勢に出ていれば、

「セベロドネツクの消耗戦」

を超える敗北を味わっていただろう。

戦争の勝敗を決めるヘルソン大決戦 それとも?

勝敗を決めるヘルソン大決戦 それとも?

とは言っても、ウクライナ軍が遅かれ、早かれ、大攻勢に出る必要がある事実に変わりはない。

ヘルソン州を奪還しないと、戦勝にはほど遠いからだ。

だが

「今」

攻勢に出ることはあるまい。

質問
なんで?

 

今は雨季の真っただ中。

ウクライナ軍の十八番である機動作戦が、困難だからだ。

攻勢に出るなら、11月以降になる。

もしウクライナ軍が

「冬季攻勢」

に出て攻勢をかけると、プーチンの戦争の勝敗を決める大決戦になる可能性がある。

大決戦に勝利して戦争に勝つ

日本軍が第二次大戦で負けた理由のひとつに、

「大決戦に勝利して戦争に勝つ」

という考え方があった。

その原因は、東郷平八郎の日本海海戦にある。

名だたる大きな戦闘に勝利したお陰で、日露戦争に勝利した(*1)。

以来、

「大きな戦闘に勝利すれば、戦争に勝てる。」

と思い込み、ミッドウエー作戦を考え出し、インパール作戦を考え出し、大敗を喫した。

実際にはヒトラーがいみじくも言った通り、

「決定的な間違いをより多く犯した方が負ける。」

と言う方が正しい。

だからウクライナ軍が

「ヘルソンを奪回すれば、戦争に勝てる。」

というわけではない。

が、もしウクライナ軍が攻勢に成功すれば、プーチンの威信はさらに落ちる。

プーチンがどんなに自国民を脅しても、

「プーチンの為なら死んでもいい。」

という兵士は見つからず、戦争継続は困難になる。

予備が底をついたロシア

第二次大戦末期、ドイツ軍は予備が底をついていた。

虎の子の

「教育師団」

を実践に投入して、

「それでも足らない。」

と、16歳の少年を全線に放り出した。

今、メデイアでも報道されている通り、ロシアは戦争末期のドイツの状況に似ている。

予備役兵に十分な訓練も武器も与えず

“Kanonenfutter”(大砲の餌)

として前線に投入するなど、予備が底を付いている証拠だ。

しかるに露軍は今、ヘルソン州の防衛に兵を送り込んでいる。

旧日本軍の

「大決戦に勝利して戦争に勝つ」

という心理がうかがえる。

プーチンは自身の名声を救うため、ヘルソンを死守する計画だ。

もしプーチンがこれに成功すれば、ウクライナ軍には大きな打撃となる。

戦車などの重火器をまた大量に失えば、プーチンの戦争に勝利して戦争を終わらせるという

「ウクライナの悲願」

は不可能になるかもしれない。

じゃどうすればいい?

じゃ、どうすればいいのだろう?

それでも危険を冒してヘルソン州奪回の攻勢に出るべきか?

私がウクライナ軍なら、

「おいでやす」

と手ぐすねを引いて待っている露軍を、そのまま待たせておく。

時々、威力偵察や狙いすました砲撃で、ゆっくり敵の戦力を奪う。

そう、敵が

「じり貧」

になる事を恐れて、反攻に出るまで待つ!(*2)

反攻に出た露軍を撃退すれば、一気に突破口が開ける。

あるいは東部で攻勢に出る。

東部でウクライナ軍がルハンスク州を奪回すれば、ヘルソン州奪回と同じ大きなダメージになるからだ。

ましてやルハンスク州なら、危険な市街戦も避けられる。

しかし!

ドンバス地方の冬は半端なく寒い。

大寒波がやってくるとマイナス30度。

軍事作戦も事実上、凍ってしまう。

その一方で

「南部」

のヘルソン州では、軍事作戦もある程度は可能。

すなわち!

敵が防衛の準備を整えたヘルソン州か、地獄の寒さのドンバス州か?

あなたならどっち?

注釈

*1     実際には引き分け。ロシアは賠償金の支払いを拒否したが、日本には戦争を継続する金も戦力もなく、講和条約で上手く逃げた。

*2    クルスクの瘤を切り取るため、ドイツ軍は敵の防衛ラインに突撃。文字通り失血死した。無茶な突撃をしないで、敵が攻勢に出るまで待って入れば戦争の行方は変わっていた?

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執筆者:

nishi

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