今回のテーマは世界中が関心を持つ「アメリカはイランを空爆するの?」
です。
さまざまな憶測がされてますが、私には、
「火を見るよりも明らか」
なんです。
なんでそうなのか、以下に説明します。
この記事の目次
イ・イ戦争
皆さん、
「イ・イ戦争」
ってご存じですか?
違います。
イラン・イラク戦争です。
1980年、世界第四位の軍事力を誇るサダムフセインが、
「領土の拡大」
を夢見て、イラン領に侵略を開始したんです。
アメリカの支援を受けて。
初戦は最新の軍備を誇るイランが、イケイケドンドン。
後半からイランが
「人海戦術」
で巻き返します。
結局、
イラン軍の人海戦術
そもそもイランは人口100億近い大国です。
イラクはその半分以下。
それでも最初は、豊富な軍備で占領地域を拡大します。
が地上戦、正確には
「肉弾戦」
になると話は別。
イラン軍は子供たちに
「ホメイニ師に信仰の証を届けよう!」
と、未成年の子供達をイラン軍の陣地に向けて放ったんです。
これを見たイラク軍の兵士は目が点。
それが自国民の子供でも。
ほぼ第ニ次大戦中の日本軍と同じ。
さらに!
ホメイニ師は侵略してきたイラクを決して許さず、
結局、両軍が疲労して戦果が下火になり、
「なんとなく」
戦争が終結したんです。
イランの宗教指導者は、原爆を落とされても、
「降伏はしない!」
と意地を張った日本軍と同じ。
この点をお忘れなく。
イケイケドンドンのイスラエル軍
これまでイスラエル軍は度々、
「ガザ地区」
に軍事侵攻してきました。
最後は確か2008年。
散々な戦死者を出して、侵攻は失敗に終わりました。
以降、
「ガザの掌握は無理。」
が定説となりました。
そのガザよりもはるかにデカイのが、レバノンのヒズボラ支配地域です。
この為、イスラエルはヒズボラとの正面衝突を避け、
「おっかなびっくり」
の扱いをしてきました。
ところがです!
2024年、イスラエルはガザ侵攻にあたりまずは空軍を使って、敵の拠点を
「木っ端みじん」
にしてから、地上侵攻。
壮絶な市民の死者を無視するなら、この戦術は
「大きな戦術上の成果」
を上げました。
かってシンガポールのリークアンユー首相は、
「うまく行く方法を見つけたら、これを繰り返せ!」
と言ってます。
それが投資でも、政治でも、戦術でも。
ヒズボラほぼ壊滅
イスラエル軍の次のターゲットは憎っくきヒズボラです。
しかし日本の
「軍事レポーター」
は
「ヒズボラはガザのハマスとは比べ物にならない。ガザとは違う」
と警告。
ところがどっこい!
モサドはまず、
「日本製のポケットベル」
で組織の幹部を殺害。
そして一気に空爆で叩き込みます。
そう、ガザに対して使った戦略と同じです。
ここでもその戦術は効果覿面。
ヒズボラはその戦闘力を奪われて、
「ほぼ現地の暴力団」
のレベルになりました。
同盟国シリアの脱落
さらに今、イスラエルの
「背中」
を押しているのが、シリアのアサド政権の崩壊です。
シリアはイランの最大の同盟国だったんです。
シリアを通じて、武器、弾薬がヒズボラ、そしてハマスに流れてました。
そのシリアが同盟国として欠落。
すなわち!
イランには国境を接する同盟国がなくなったんです。
そのイランをまだ
「推して」
いるのは中国とロシアだけ。
第二次大戦中の
「鉄血同盟」
と同じです。
世界最強のドイツが同盟国でも、
「遠すぎて、実際の利益はほとんどない」
です。
言い替えると、本来ならハマス、ヒズボラ、シリア、それにイランを同時に相手にする必要があったのに、
こんなチャンスは二度と来ません。
これをイスラエルが見逃す筈はない!
イスラエル イランを空爆
案の定、イスラエルはイラン空爆に打って出ます。
ここまでは想定内。
想定外だったのは、イランの防空システムが
「あっ!」
と言う間に破壊された事。
そもそもイスラエル軍は1981年、ドイツの協力で完成したばかりの原子力発電所を空爆します。
これでイランの
「イスラエルを地図から抹殺してやる!」
という夢が潰えました。
この為、
「イランの防空システムは今や、鉄壁ちゃう?」
と思ってたんです。
が、3日も持たずに壊滅。
イスラエルはイランの制空権をいとも簡単に奪取。
これは想定外。
地下の原子力施設の空爆
ただし!
連合軍の爆撃に悩まされたドイツ軍が、
「軍需施設をすべて地下に建設」
したように、イランも
「ウラン濃縮施設」
は山岳部の地下に建設。
この地下にある施設を破壊できるのは、
“Bunkderbuster”(バンカーバスター)
だけ。
そんな爆弾を持っているのは米国だけ。
言い替えると、
数年遅れても、イランはウランの濃縮を推し進め、いずれは原爆を手に入れるからです。
そこでナタニヤフはトランプを
「千載一遇のチャンス!」
と説得。
あのトランプでも、
「こんなチャンスは二度とこない!」
と悟ります。
例えれば日米開戦の前、
「米国の空母艦隊が四国沖に停泊。」
しているようなもの。
逃す手はない!
お陰で
「G7の首脳会談で関税交渉に進展を!」
と期待していた石破首相を置き去りにして、さっさと帰国。
早速、トランプは帰国中の機内で
「もう我慢は、とっくに限界に達した。」
「無条件降伏せよ。」
と発言して、イランに圧力をかけます。
アメリカはイランを空爆するの?
注目して欲しいのは、トランプの使っている
「無条件降伏」
という文句。
日本はすでに1943年、連合国から
「無条件降伏」
のチャンスを与えられた。
結局、
「軍部のメンツ」
のために、無駄に戦争を2年延長させて、無条件降伏。
すなわち!
すでに優勢にある国が
「無条件降伏」
を呼びかける場合、
この文句の本当の目的は、言い訳作りです。
お陰でアメリカ人は今でも、
「日本には降伏する機会を与えたのに、これを拒否したから原爆を投下した。」
と言います。
腹立たしいが言い返せない。
これが目的です。
さもなきゃBunkerbusterを搭載できるB2爆撃機を、わざわざインド洋に展開しない。
アメリカがイランを空爆するもうひとつの理由
加えてもうひとつ、アメリカがイランを喫緊に空爆する理由がある。
今、イスラエルはイランが発射したロケットの80~90%を迎撃している。
その防空システムのひとつが、
“arrow defense system”
だ。
実に効果的だが、一発なんと200万ドル。
せいぜい数百発の備蓄が限界だ。
しかし度重なる使用で弾頭が、底を尽き欠けている。
迎撃ミサイルがなくなれば、イランのミサイル攻撃に対してイスラエルは丸裸同然。
これを避けるため、米国はイラン空爆を先送りできない。
イスラエルおよび危険地域に滞在する大使館人、その家族を退避させるためです。
今、トランプが
「最終決定はまだしていない。」
と言うのは真っ赤な嘘で、米国人退避の時間稼ぎに過ぎません。
追い詰められたハメネイ氏
勿論、イランが
「核開発は辞めます。」
と言えば、米国は爆撃できるチャンスを失う。
が、米国、イスラエルにとって幸いなことに、相手はイランの宗教指導者だ。
イ・イ戦争でもかたくなに
「停戦」
を拒否した宗教指導者が、考え直すことはない。
これに加えてハメネイ史は今、その権力のバックグランドを失いつつある。
イラクの黒幕はナチスのSSと同じ革命防衛隊。
幹部が国営企業の社長に収まっており、まさにイラン国家そのもの。
しかしイスラエルの空爆で幹部が次々に殺されている。
彼らはおいしい生活ができているのは、
「ハメネイ師のお陰」
なので忠誠心に厚い。
が、その下の
「冷や飯を食わされている層」
は、それほど忠誠心は厚くない。
ピンチになれば、すぐに裏切る。
こうした連中に
「にらみ」
を効かせるため、
「米国に対する強気姿勢」
は崩すことはない。
空爆が回避される可能性
とは言っても、
「米軍が空爆する確率は100%」
というわけではない。
- イランが核開発を断念する
- ハメネイ師が失脚する
場合は、空爆は回避される。
が、とてもあり得る可能性とは思えない。
だって我が日本軍は
「玉音放送」
さえも、阻止しようとしたんですよ!
面子を保つ為に!!
この場に至っても!!
それとも他に
「空爆を回避する説」
があります?