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ドイツ政府 ウクライナ支援を巡り骨肉の争い

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ドイツ政府 ウクライナ支援を巡り骨肉の争い

ドイツ政府、正確には残存ドイツ政府がウクライナ支援を巡り、

「骨肉の争い」

を展開している。

総選挙まで一ヶ月もないのに、まだ揉めてるドイツ政府。

これで選挙に勝てると思ってるんだろうか?

詳しく解説します。

ウクライナ軍 全面撤退中

ドイツ政府内の

「争いの始まり」

はウクライナ支援です。

今、ウクライナ軍は全線で撤退中。

戦略上、意味のない

「クルスク侵攻」

で戦力を浪費。

結果、ドネツク地方の拠点、

“Pokrowsk”

を守る兵力がなく、陥落は時間の問題。

ポクロフスクは道路や鉄道の交わる場所。

日本で言えば米原。

ここが陥落すると、

「西日本」

への部隊や物資の補給が困難になります。

まさにポクロフスクがそれ。

それほど大事な拠点なのに、ウクライナ軍は

「ちっぽけなロシア領」

の占領に兵力を浪費してしまい、大事な戦略拠点を守るべき兵士も装備もない。

これ見て思い起こされるのは、

「ヒトラー最後の戦闘」

だ。

歴史は繰り返す?

第二次大戦末期(1945年1月)ヒトラーは

「ベルリン占領」

に向けて快進撃中の赤軍を止めることができる(かもしれない)

「最後の戦術予備」

であった第六機甲師団を、ハンガリーに送った。

スターリンはこの

「愚行」

に相好を崩して喜んだ。

お陰でベルリンは包囲されて独裁者は自害、やっと戦争が終わった。

もっともプーチンは

「クルスク侵攻」

には喜ばなかったろうが、ウクライナの

「誤った攻勢」

のお陰で、戦勝まであと一息だ。

ドイツ政府 ウクライナ援助 30億ユーロ

その

「虫の息」

のウクライナ軍を援助すべく、ドイツ政府は30億ユーロの支援金(軍需品)を用意した。

ところがである。

金欠のドイツ政府に、そんな大金はなかった。

質問
日本のように赤字国債を発行すればいいじゃない?

 

それができないように、ドイツ政府はご丁寧に

“Schuldenbremse”(借金ブレーキ法)

を、憲法に書き込んできたんです。

そこでショルツ首相は

「戦争」

という緊急事態を建前に、

「借金ブレーキ法の例外条項」

を発効、新たな借金でウクライナ支援を実施しようとした。

これにFDPが反対して、ドイツ信号政権は崩壊した

信号政権 遂に崩壊 悪者は誰だ!?

ドイツ政府に裏切られたウクライナ

言い換えれば

「ウクライナ支援」

を可能にするために、首相はリントナー財務大臣をクビにした。

で、邪魔者がいなくなったので、

「これでウクライナ支援を阻むものはない。」

と思いますよね。

ところが

“weit gefehlt”(大間違い)

なんです。

今度はショルツ首相自身が、ウクライナ支援に反対しているんです。

理解できます?

ウクライナ支援を可能にするために、連立政権を

「反故」

にした首相が、今度はウクライナ支援に反対しているんです。

 

ドイツ政府 ウクライナ支援を巡り骨肉の争い

崩壊したドイツ信号政権で、ウクライナ支援に消極的だったのは思想的に

「ロシア近い」

社会民主党だけ。

緑の党とFDPは

「ウクライナが堕ちれば次は我が身」

との危機感から、軍事援助に積極的だった。

なのに、窮地にあるウクライナを目前にしてショルツ首相の

「心代わり」

に緑の党は怒り心頭、

日々、ロシアの攻撃で苦しんでいるウクライナ国民を選挙運動に利用している。

 

と、まだ連立政権を組んでいるパートナーに、この厳しい言葉。

ウクライナ支援を理由に財務大臣をクビになったリントナー氏に至ると、

(首相は)酔っ払いのようにこの前、言った事を覚えてない。

 

と、首相をこきおろしている。

その心は?

ではここで皆さんに質問です。

質問
何でショルツ首相は前言を翻したのでしょう?

 

その答えは、ドイツに住んでいない人にはわからないと思います。

ショルツ首相の

「心変わり」

の原因は、あと3週間ほどに迫った総選挙なんです。

ウクライナ支援はドイツ国民に人気がありません。

今、ここで新たなウクライナ支援を実施すると、

「なんで自国民ではなく、外国を助ける。」

という

「近視眼的な国民の反発」

を恐れているんです。

どうせショルツ首相は選挙で負けるのだから、ウクライナ支援を

「国民の反対」

にも拘わらず実施すれば、歴史上

「大義の為に理念を曲げなかった首相」

として名前を残せたのに、、、

これでは

「ヒトラーの次に最低な首相」

として名を残す事になる。

言い訳

総選挙を前に

「四面楚歌」

のショルツ首相。

どのみち項羽のように

「自刃」

する運命にある。

でも一応、その言い訳だけは聞いていこう。

ショルツ首相の言い分は、

  1. ウクライナ支援を可能にする財源がない。
  2. これを裏切り行為と呼ぶなら、財源を示せ!
  3. 財源を示さず、支援を要求する者は嘘つきだ!

である。

気のせいか、自民党の税制調査会のような言い分だ。

これを受けて緑の党、それに野党は、

「2024年の軍事予算にまだ使ってない40億ユーロが眠っている。これを使えばいいではないか!」

と反論。

ショルツ首相はこの反論を

「聞こえないフリ」

でスルーしている。

来月、国民の審判が下されるのが待ちきれない。

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執筆者:

nishi

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