
今回はウクライナが開発したフラミンゴ巡航ミサイルを取り上げます。
ドイツ政府はウクライナが
「喉から手が出る」
ほど欲しいタウルス巡航ミサイルの提供を拒否。
これを非難した野党 CDU が政権を取ると、
「タウルス?何の事でしょうか?」
と、すっとぼけるメルツ首相。
そこでウクライナが
「もう西側には頼らない!」
と自国で開発したのが、フラミンゴ巡航ミサイルだ。
この記事の目次
トマホーク巡航ミサイル 駐留白紙に!

2024年、当時のドイツ政府はトマホーク巡航ミサイルの
「ドイツ駐留」
を決めた。
言わずもがな、ロシアの侵攻に備えるためである。
ところが米国はイラン戦争でトマホーク巡航ミサイルを打ちまくり、在庫が
「空」
になった。
ドイツに駐留する前に、まずは自国の備蓄を補充する必要がある。
そこでメルツ首相が大嫌いなトランプは、
「トマホーク巡航ミサイルのドイツ駐留」
を白紙に戻した。
困ったドイツ政府に
「トマホークの代わり」
としてウクライナ政府が、フラミンゴ巡航ミサイルの提供を申し出た。
なんという皮肉だろ
ドイツはタウルス巡航ミサイルの提供を拒否したのに、ウクライナが、
「お困りでしたら提供しますよ。」
というわけだ。
フラミンゴ巡航ミサイル
そのウクライナが開発した
「フラミンゴ巡航ミサイル」
を簡素に説明すると、既存の爆弾
“FAB-1500”
に翼とジェットエンジンを付けたもの。
この為、フラミンゴ巡航ミサイルは滅茶苦茶重い。
なんと6トンもある。
トマホーク巡航ミサイルは1.5トンほどだから、違いがよくわかるだろう。
6トンもある巨体を
「宙に浮かさる」
為、発射時には
「ロケットブースター」
を使用する。
そう、第二大戦中にドイツ空軍が開発した空飛ぶ爆弾
“Fieseler Fi-103”
通称
“V-1”
と同じ仕組みである。
ウクライナの開発者が参考にしたのは、想像に難くない。
名前の由来
フラミンゴ巡航ミサイルの正式名称は
“FP-5”
である。
愛称はフラミンゴ。
ミサイルの開発時、何故かピンク色に塗られていた。
そこでついた愛称だ。
ドイツ人も巨大な野戦砲を
“dicke Bertha”(でぶっちょのベルタ)
と呼んだ。
ベルタとは野戦砲の製造元、クルップ社の娘の名前。
ウクライナ人も冗談が好きなようです。
射程距離
ドイツのタウルス巡航ミサイルの射程距離は500Km。
これではロシア奥地の戦術目標を叩けない。
そこでウクライナはフラミンゴ巡航ミサイルの開発段階で
「射程距離3000Km」
とした。
これを可能にするため、ジェット燃料を大量に積む。
だから6トンもの巨体になってしまった。
もっとも
「射程距離を3000Km」
は
“mehr oder weniger”(ある程度)
プロパガンタ(過大広告)であると思われる。
現時点で確認されている最長の攻撃は1400Km先の目標である。
今後、徐々にロシアの奥地にある標的を狙っていくだろうから、どこまで射程距離を伸ばすか興味津々。
ちなみにトマホークの
「カタログ上の射程距離」
は最大射程が2500Kmである。
フラミンゴ 巡航ミサイル 搭載火薬量
フラミンゴ巡航ミサイルがトマホークやタウルスよりも優れているのは、火薬の搭載量。
FAB-1500 の 1500 とは火薬の搭載量を示す。
そう、1.5トンもの火薬を積んでいる。
一方、トマホークは火薬搭載量が
「たったの」
450Kgである。
英国がウクライナに提供しているストームシャドウ巡航ミサイルも
火薬搭載量は450Kgである。
フラミンゴ巡航ミサイルとは比べ物にならない。
ちなみにドイツが大戦中に開発した
“V-2”
は、900Kgの最大搭載量だった。
目標誘導システム
一時、ウクライナ軍の反抗で大いに活躍をしたハイマースミサイル。
ところがロシア軍が
「GPSの妨害装置」
を部隊に配置してから、
「無用の長物」
と化してしまった。
そこでウクライナはフラミンゴ巡航ミサイルは敵のレーダー網を潜り抜けるため、15~100mの低高度を飛行する。
又、目標誘導システムでは二段階の誘導方式を採用。
当初、ミサイルは目標に向けてGPSで誘導される。
目標到達前、誘導方式は
“Optoelektronische Endphasenlenkung”(画像識別誘導)
に切り替えられる。
ミサイルに搭載されているセンサーがカメラが撮影する画像と、メモリに記憶されている画像を比較して、的確な目標到達を可能にする。
この画像識別誘導はドイツの巡航ミサイルタウルスにも到達されている。
もっともフラミンゴ巡航ミサイルはそこまで精度が高くなく、誤差は80~200m。
トマホークは誤差が60~80m。
正確性ではトマホークに劣る。
もっともトマホークの3倍もの火薬量で、近くに着弾すれば目標を破壊できる。
ミサイル開発に何年もかけるわけにいかないウクライナは
「理想的な値」
よりも
「現実的な解決方法」
を採用した。
フラミンゴ 巡航ミサイル コスト
ウクライナのフラミンゴ巡航ミサイルがとりわけ優れているのが、コスト。
一発あたり50万ドルと言われている。
トマホークの1/3である。
これだったらひとつの目標に3発撃っても、まだトマホークより安い。
文字通り、
「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」
で、命中精度の低さはコスト安と火薬搭載量でカバーできてしまう。
フラミンゴ 巡航ミサイル ドイツに駐留?
とは言っても、ドイツがフラミンゴ巡航ミサイルを
「そのまま」
購入して駐留されることはなさそうだ。
というのもフラミンゴの生産台数は100基/月程度。
これではロシアの標的への攻撃で手一杯。
ドイツに回せるだけの生産量がない。
加えて将来の生産にも不安が残る。
というのもフラミンゴに搭載されているジェットエンジンは、ウクライナの企業が世界市場で買い集めた中古品。
数に限りがある。
加えてフラミンゴの発射システムにも問題がある。
広大なウクライナであれば、発射ブースターが畑に落下しても問題ない。
ドイツ国内では発射ブースターが、住宅地に落下する。
そこでドイツの国防相はウクライナを訪問、
アメリカが当てにできない現状では、
「自然の成り行き」
だろう。
ちなみに自衛隊に装備された
「12式地対艦誘導弾能力向上型」
の射程距離は1500KM程度。
武器の輸出が可能になった今、是非、ドイツに売り込んでもらいたい。
ただ
「12式地対艦誘導弾能力向上型」
という名前だけは、売り込む前に考え直してもらいたい。
こんな名前では売り込めない。
ドイツ人は
「タウルス」
でわかるようにギリシャ語(ラテン語)が好き。
だったら
“Medusa”(メドウーサ)
なんてどうだろう。
「12式地対艦誘導弾能力向上型」
よりは全然いい。