投資 雨にも負けず

DAX サマーラリーの開幕? 5週連続で最高値更新

投稿日:2021年6月19日 更新日:

DAX サマーラリーの開幕? 5週連続で最高値更新

投資家の有名なセリフのひとつが、

“Sell in May & go away, but remenber to come back in September.”

いつも当たるわけじゃない。

が、当たったら、

「5月に売れって言ってるからね。」

と、何度も引用されます。

前半部分の根拠は、配当金が出た後の株価の低迷。

ちょくちょく5月以降、

「修正」

と呼ばれる一斉売りが始まります。

ところが今年は、一向に(期待していた)修正が来ない、、。

それどころが、

「サマーラリーの開幕だ!」

と言い出す投資家も。

一体、何が投資家を強気にしているのでしょう?

DAX サマーラリーの開幕?

と、わざわざ問うまでもなし。

先週は13年振りの高いインフレ率が発表されたのに、米国10年物国債の利率が下落。

これが株価の上昇を後押し。

とりわけ利率の上昇に敏感な、テクノロジー株の回復ラリーを後押ししました。

“Alles beim Alten.”(*1)

というわけです。

これが投資家の楽観に新たな材料を与え、

「サマーラリーの開幕だ!」

と言われ始めました。

そのサマーラリーの唯一の障害は、水曜日のFRBの金融政策発表。

もし、

「夏から金融緩和を引き締める。」

なんて言われた日には、ラリーは消散。

その一方で金融緩和の引き締めに言及がなければ、

“Alles beim Alten.”

というわけです。

果たしてFRBの金融政策発表は?

FRBの金融政策発表

結果から言えば、

“Alles beim Alten.”

でした。

唯一の予想外の発言は、

「2023年は2回まで利率の引き上げを行う。」

という言明だけ。

米国ではわずかに株価低迷、日本ではもうちょっと大きな売りが入りました。

5週連続で最高値更新

DAXは月曜日、過去最高値を更新しました。

先週書き忘れましたが、これで5週連続です。

その高度は夢のような15800台!

もっともその後、売りが入り長続きせず。

「FRBの金融性政策発表で売りが入る?」

と、2銘柄オーダーしていたんですが、

DAX チャート

「FRBの金融性政策なんて、関係ない。」

とばかりに上昇して終了。

残念。

そんな株式市場で注目を浴びた銘柄を紹介します。

鉄鋼価格下落で ThyssenKrupp また下落

原油ばかりか、銅や鉄鋼などの価格上昇がインフレを後押し。

今週になって、価格上昇にブレーキがかかりました。

何故?

理由はふたつ。

最初のひとつは単に価格がピークアウト、

「峠を越した。」

のが原因です。

もうひとつは中国政府が鉄鋼価格の上昇を抑えるため、

「国家戦略備蓄」

の使用を許可。

さらには、

「外国の高い商品ではなく、中国製の安い鉄鋼を買え。」

と指示。

これで世界中で鉄鋼価格が下落。

当然、鉄鋼株も下落。

ドイツ一の鉄鋼メーカーThyssenKrupp はもろに余波を受け、大きく下げました。

ThyssenKrupp株価

「安い!」

と買うのは要注意。

落ちるナイフです(*2)

鉄鋼株に投資するなら Klöckner & co

先回、

「どうしても鉄鋼株に投資したければ、Klöckner & co。」

と書きました。

こちらの株価はどう動いたんでしょう?

Klöckner & co株価

上昇しました。

だから言ったでしょ!

フランクフルト空港 利用客360%上昇

コロナ禍が収まってきたので、

“Re-Opening”

株のカムバックが進捗。

スタートを切ったのは、フランクフルト空港です。

「5月の空港使用率は、去年の同月比で360%上昇」

と、滅茶苦茶な数字。

株価も(ちょっと)上昇。

フランクフルト空港株

もっと上昇しなかったのは、

「織り込み済み」

が原因。

ルフトハンザ 増資を銀行に依頼

これで

「”Re-Opening”株のカムバックだ!」

と喜んだら、ルフトハンザ株はこの1週間、下げました。

ルフトハンザ株価

原因は、

「ルフトハンザ 増資を4銀行に依頼。」

というニュース。

理由。

余剰社員を多く抱えているので、クビにしたい。

でも国が最大株主である限り、大量解雇はタブー。

ましてや9月の総選挙では、

「国内フライトは禁止すべきだ。」

という緑の党が首相の座につきかねない。

面倒事を解決するなら今!

そこで国が持つ株を買い取り民営化、大量解雇を実施するのが目的です。

「2024年にはコロナ前のレベル、利益率8%を回復する。」

と、株主に約束して、増資の苦薬をオブラートに包みました。

増資は30億~50億ユーロの大きさ。

「どの大きさになるか、まだ未定」

との事。

どうせやるなら、一気に50億ユーロでやってくれ!

TUI また増資?

「休暇旅行の申し込みが多過ぎて、困っちゃう!」

と悲鳴を上げてる世界最大の旅行会社 TUI。

「株価上昇!」

と期待してたのに、この1週間、下げました。

理由はルフトハンザとほぼ同じ。

国から借りてる金を返したいが、その金がない。

そこで

  • 社債を発行
  • 増資する

のオプションを思案中。

今年の春先に増資したばかりなのに、また?(*3)

ここでも緑の党の躍進を心配しているようです。

社債の発行、増資、どっちになっても、株価は下落。

なら少しでも儲かる増資の方がいい!

戦術予備を蓄えなくっちゃ!

株の買いオーダー、取り消しました。

これで増資がなかったら、マジで怒るよ!

キュバック コロナワクチン開発に失敗

先週、キュアバック社がコロナワクチン認可申請を8月に変更。

「こんなことを繰り返していると、投資家の信頼を失うよ!」

と警告。

杞憂ではありませんでした。

水曜日の深夜、

「コロナワクチンの免疫率は47%だった。」

と発表。

道理で毎回、ワクチンの認可申請をずらしてきたわけだ!

株価暴落。

5日間チャートでご覧あれ。

キュアバック株価

最高で50%以上、下げました。

不思議なことに、少し回復。

これにより、

「開発が遅れる。」

ではなく、

「今後もコロナワクチンの開発を継続するか?」

という疑問が浮上。

ひいては会社の命運も危うくなってきました。(*4)

利益確保で死んだ者はなし

知人がキュアバックに

「一財産」

を投資しています。

先週の時点で、数10万ユーロの大儲け。

2週間前、

“Kein Mensch ist bisher an Gewinnmitnahmen gestorben.”

とアドバイス。(*5)

日本語では、

「利益確保で死んだ者はなし。」

アドバイスを実行に移したことを祈るのみ。

商売敵の失敗は蜜の味 ビオンテック株急騰

キュアバックのコロナワクチン開発失敗で喜んだ会社はどこでしょう?

チャンスは3つまで。(*6)

ビオンテック株、急騰しました!

ビオンテック株価

「商売敵の失敗は蜜の味」

とはこの事です。

DAX 30銘柄中 28赤字

金曜日の夕方にここまで書き終えて、

「土曜日の0時に公開。」

をセット。

すると金曜日、日本時間の夜間から深夜に株価急落!

Dax チャート

DAX 30銘柄中 28が赤字で終わりました。

午前中はのんびり始まったのに、13時以降、急速に悪化。

一体、何があったの?

ドイツで、13時以降に株価が大きく変動する理由はひとつ。

米国のヒューチャー(オープン前の株式指数)が、大きく変動したのが原因です。

ほら!

何が原因なの?

いろんな説があります。

連邦銀行の評議会メンバーが、

「2022年内の利上げを要求した。」

も理由に挙げられていました。

その一方で、インフレ懸念が1週遅れで再燃したという説も。

この説明が奇妙。

インフレ、物価上昇は経済の調子がいいから起きるもの。

これが

「ピークを迎えた。あとは下がるだけ。」

というのは、

「経済の調子もピークを過ぎて、あとは下がるだけ?」

と、経済の先行きが心配になったという説。

もうひとつは、カレンダー問題説。

「6月の第三金曜日 & 続く月曜日は、株価が大きく落ちる。」

という過去のデータ。

米国のテレビ番組でも、この過去のデータを見て1週間前、

「来週はひどい様になるぞ!」

と、警告を鳴らしてました。

本当に、ひどい様になっちゃったね!

半日前までは、

「サマーラリー開幕か?」

だったのに、1日で雰囲気が変わるのが株式市況。

注釈 – DAX サマーラリーの開幕?

*1    そのま訳すと、「全部、昔のまま。」すなわち、これまでのコロナ回復ラリーが続くという意味。

*2    落ちるナイフを掴むと、血だらけになるという比喩。

*3    半年も経たないで増資をする会社(のマネージメント)は信用しては、駄目。

*4    社長は(辞めとけばいいのに)「免疫率47%でも認可して、アフリカなどに配布すべきだ!」と主張、物議を醸しだしました。

*5   投資家の名台詞のひとつ。

*6    馬鹿でもわかるクイズを出した際に、言う常套句。

-投資, 雨にも負けず

執筆者:

nishi

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