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独・スペイン・韓国 三つ巴の潜水艦売り込み競争

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しばらく前の話だが、インド海軍は

「6隻の潜水艦」

の調達を公募した。

これに応じたのが、スペインと韓国。

今回、ドイツの国防大臣がインドを訪問して、

「ドイツの潜水艦」

の売り込みを行った。

結果として

「独・スペイン・韓国 三つ巴の潜水艦売り込み競争」

に発展。

その裏には何があるのだろう?

ウクライナ侵攻でジレンマに陥ったインド

インドは伝統的に軍事面でロシアと

「深い関係」

にある。

やかりやすい数字を挙げてみよう。

なんとインド軍の装備品の60%は、ロシア製、あるいはソビエト製だ。

これは常に隣国のパキスタンや中国と

「小競り合い」

が絶えないインドには、ゆゆしき事態である。

質問
なんで?

 

ロシアはウクライナに侵攻した

「侵攻部隊」

に武器・弾薬を供給することさえ、事欠いている。

「榴弾砲が壊れたから、新しいのを届けて!」

と発注しても、いつ届くのかわからない。

これをみて装備を

「自給自足」

できている中国軍が、

「失地を回復しよう。」

と軍を進めてくると、

「ちょっと待ってよ!」

ということになりかねない。

そこで装備品の調達先を増やすことを迫られている。

8年ぶりのインド訪問

もっとも

「インド海軍が潜水艦の調達を考えている。」

と最初に報道されたのは、2021年頃の話。

しかしこれまでは、ドイツも日本もあまり興味を見せてこなかった。

日本には装備品の輸出で

「ばかばかしい規制」

があるので、まあ、それは仕方ない。

が、ドイツは何故、今になって潜水艦の納入に興味を見せ始めたのだろう?

それは言うまでもなく、ロシアによるウクライナ侵攻が原因だ。

中国はまだ

「台湾軍事侵攻」

で脅しているだけ。

脅している限りは、武力侵攻はしない。

ウクライナに侵攻する直前のロシアのように、

「侵攻?ばかばかしい。そんなものはワシントンの対中プロパガンタだ!」

と中国が言動の調子を変えると、

「侵攻は目前」

というサインだ。

すなわち!

まだ台湾軍事侵攻は、

「絵に描かれた餅」

でしかない。

が、永遠にそのままである保証はない。

そこで、

「中国に対抗できるもうひとつの大国」

としてインドの重要性が増している。

質問
なんで?

 

仮に中国が台湾に侵攻したとしよう。

日本は

「絶対に許されない。」

と声明を上げるだけ。

無視すればいい。

無視できないのが、米国やインドの超大国の動き。

中国が侵攻で苦戦していると

「漁夫の利」

をねらってインドが武力侵攻を始めたら、

「2正面戦争」

になる。

かっての日本軍のように

「A.B.C.D包囲網」

になっては、勝てる見込みがない。

言い換えれば中国は、

「背面の脅威」

が高ければ、台湾軍事侵攻はそうおちおちと始められない。

だからインドを

「西側の武器」

で武装して、中国の対抗勢力として確立することが望まれる。

こうした理由があって、ドイツの国防大臣としては

「8年ぶりのインド訪問」

をしてコネを作った。

よろめく巨人 ThyssenKrupp Marinesystems

このような戦略的な理由に加えて、勿論、経済的な要因もあった。

日本で潜水艦を作っている造船所同様に、ドイツ海軍のご用達の造船所

”ThyssenKrupp Marinesystems”

も、不況に苦しんでいる。

親会社のテユッセンクルップは子会社の

「造船所」

を売却したいが、

  • 国家戦略の一端を担う会社でややこしい
  • 赤字経営

となれば、そんな会社を買いたい投資家は居ない。

そこで

「黒字の可能性」

を持たせて、売りに出したい。

だから以前、

「オーストラリアでの潜水艦公開入札」

では、日本に対抗して入札した。

ところがまさしく

「鳶に油揚げをさらわれる」

で、公募にも参加していない米国が、受注をかさらってしまった。

その後、ロシアのウクライナ侵攻がきっかけとなりドイツは

「1000億ユーロの特別調達費用」

を工面した。

その費用を使ってドイツ海軍から最新鋭の

「ステルス潜水艦」

の受注はあった。

が、たったの2隻。

これでは少なすぎる。

だからインド海軍の

「6隻の潜水艦」

の受注はでかい!

テユッセンクルップの狙い

そこで今回は

「面子をかけての入札」

となる。

まずはインド唯一の軍事関連造船所

”Mazagon Dock Shipbuilders”

と協定を結んだ。

テユッセンクルップは潜水艦建造に欠かせない

  • ノウハウ
  • 部品

を提供して、インドの造船所が、インドの労働者を使って潜水艦を建造する。

インドは賄賂が欠かせない国なので、

「インドを代表する造船所」

とタッグを組み、その造船所の

「コネ」

を使い潜水艦の受注を確保する狙いだ。

加えてインドのような大国は

「潜水艦6隻だけ。」

では済まない。

一度、インドが自国での潜水艦製造に成功すれば、おいしい後続注文が入ってくる。

だから利益が少ないタッグを組んでの応募でも、公開入札に参加する意義がある。

果たして入札の結果はどうなるだろう?

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執筆者:

nishi

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