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ドイツ軍 新標準突撃銃G95 (また)的に当たらない?

投稿日:2024年1月31日 更新日:

ドイツ軍 新標準突撃銃G95 (また)的に当たらない?

紆余曲折の末、

「ドイツ軍の新標準突撃銃」

に決まったG95。

が、また

「的に当たらない問題」

が浮上している。

日本では報道されてないので、是非、日本の皆さんにも紹介したい。

何故、突撃銃?

突撃銃

ドイツ軍では伝統的に

“Ordonnanzwaffe”(標準銃)

“Sturmgewehr”(突撃銃)と呼ばれる。

第二次大戦中、ドイツ軍は

「吐いて捨てるほどいるソビエト兵」

と対峙した。

38式歩兵銃では、

多勢に無勢。

絶対に勝てない。

そこで銃弾を大量に発射できる

「携行型機関銃」

の必要性が高まった。

前線からの要求に応えて生まれたのが

”Sturmgewehr 44”(44式突撃銃)だ。

勿論、通常ライフルとしての使用(単発発射)も可能。

戦後、この突撃銃は赤軍でコピーされ

”AK47″

の名前で世界中で知れ渡った。

以来、ドイツ軍はおろか世界中の軍隊で突撃銃は標準装備となった。

世界中で?

ここでも日本だけは例外。

38式歩兵銃の伝統を守り、一発、一発発射することに重点が置かれ

「小銃」

と呼ばれている。

ドイツ軍 標準突撃銃の歴史

戦後、

「共産圏に対抗する軍隊が必要だ。」

と米国が判断。

これには大戦中、米軍を痛い目に遭わせたドイツ軍ほどピッタリの軍隊はない。

そこで1955年、

“Bundeswehr”(共和国軍)

の創設となった。

その際、再建されたドイツ軍には多くの

「隠れナチス」

が採用されたのは公然の秘密。

それも二階級特進で。

その際、標準突撃銃はベルギー製の

“FN FAL”

に決まった。

多くの西側軍で標準装備となった銃だ。

その後、ヘックラーコッホ社が新しい突撃銃

“HK-3”

を発表すると

1959年以降、

“G-3”

の名前でドイツ軍の標準突撃銃として採用された。

その開発史が面白い。

”G-3″の開発が始まったのはまだ戦争中。

自衛隊の小銃は火薬燃焼時に出るガスを使い、次の弾薬を装填する。

が、この銃は

「後進装填型」

という世界で初めての機能を有していた。

設計者は

「戦後、必ず日の目をみる日が来る。」

と確信、設計図を地中に埋めると、ソビエト軍に占領される前に西側に逃走。

その設計図を基に設計されたのが”G-3″だった。

頑丈で壊れないこの突撃銃は大ヒット。

今でもアフリカなどで使用されている。

その名機”G-3″の後続モデルがG-36だった。

G-36 的に当たらない問題

ところがである。

アフガニスタンに派遣されているドイツ軍から、

「灼熱の環境下では命中精度が落ちる。」

という苦情があがった。

これを元に当時の国防大臣のフォンデアライン女史が、

「標準突撃銃の入れ替え」

を宣言した。

こうして導入が決まった新標準突撃銃が、MK556だった。

MK556 ドイツ軍の新しい標準突撃銃決定!

これにヘックラーコッホ社が

「パテントを盗んでいる!」

と意義を唱えた。

こうしてMK556はボツになった。

その後、新標準突撃銃はヘックラーコッホ社の

“G-95”

に決まった。

平たく言えば、ヘックラーコッホ社の

「ロビー活動」

の成果である。

悪く言えば癒着。

HK 416

この突撃銃はヘックラーコッホ社のカタログでは

”HK 416″

という名前で載っている。

ドイツ軍 新標準突撃銃G95 (また)的に当たらない?

ところがである。

その新標準突撃銃G95が

「(また)的に当たらない?」

という問題が浮上した。

事の発端は政府の支出を検査する公的な機関、

”Rechnungshof”

が、ドイツ軍調達局の

「テスト方法」

「企業の要請に合わせて緩くした。」

という非難だった。

もっともそんな報告書は誰も読まないので、長くテーマにならなかった。

ところが週刊誌

“Spiegel”の記者が100ページにも上る報告書を本当に読んで、

「ドイツ軍調達局の忖度」

を記事にした。

ドイツ軍調達局の忖度

その記事によると、

「精密射撃」

にてG95は

「要求される最低限度の命中精度」

に達しなかった。

この

「テスト結果」

がヘックラーコッホ社に届くと同社は軍用弾薬ではなく

「民間用の精密射撃弾薬」

の使用を要求。

さらに!

「射撃と射撃の間に冷却用の十分な時間を取る事」

を要求。

調達局の役人は

「わかりますた。」

と、言われた通りの方法で再テスト。

将来の就職先の言うことは絶対である。

すると

「テスト合格!」

という一抹だ。

そもそも戦時には

「軍用弾薬」

を使用する。

おまけに敵は

「銃が十分に冷えるまで」

待ってくれない。

報告書では

「突撃銃の採用基準を勝手に下げた。」

事が非難されている。

この非難にさらされた調達局は、

「そんなことはありません。」

と自己弁護。

ドイツでも

「軍事品の調圧は癒着なしには不可能である。」

という新たな証である。

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執筆者:

nishi

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