ロシア軍の圧倒的な
- 兵力
- 兵器
- 物量
にも関わらず、その攻撃に150日を超えても抵抗をし続けるウクライナ軍。
当初は、
「兵器は提供しません。」
と言っていたドイツ政府、国際的な孤立を恐れて方向転換。
が、未だに重火器の提供を渋っている。
そこで国際的な非難を交わすためにドイツ政府が考えたのが、
“Ringtausch”
である。
この記事の目次
四面楚歌の社会民主党
今、政権にある社会民主党(SPD)はソビエトの時代から、ロシアとの関係が深い。
戦争中、ナチスに追われた(故)ブラント首相は、ソビエトに逃亡。
その後、秘書がスパイだったことがバレて、辞任。
(前々)シュレーダー首相は、ガスプロムの親会社の取締役員だ。
氏はロシアがウクライナに侵攻しても、
「ウクライナの挑発が原因だ。」
とプーチンの声を代弁している。
現、ショルツ首相は(控え目な表現で)慎重派。
しかしEU内からは、
「ドイツはもっとも真面目にウクライナを支援すべきだ。」
と言われている。
おまけに連立政権のパートナー
- 緑の党
- FDP
は、ウクライナへの直接の重火器の提供を要求している。
皆まで言えば、保守派の野党CDU/CSUは、当初から重火器の提供を要求してきた。
すなわち!
ドイツ国内で、ウクライナへの火器提供を渋っているのは
- 左派政党
- 社会民主党
- 極右党
だけ。
政権にある政党が、左翼や右翼と同じなのだ。
おまけに社会民主党の内部にも、ウクライナへの重火器の提供を擁護する議員もいる。
まさにショルツ首相は、四面楚歌の状態にある。
そこで考え出されたのが”Ringtaush”である。
Ringtaushとは?
ショルツ首相は、
「何処の国もウクライナに重火器を提供していない。だからドイツが真っ先に重火器を提供することはない。」
と言い訳をしてきた。
米国や英国は勿論、チェコ、ポーランド、スロバキア、リトアニアなど、各国が重火器を提供しているのに、
「国民は馬鹿だから、嘘を言ってもわかりやしないだろう。」
という首相の態度には毎回、あきれ返る。
この嘘が使い古されると、
「最新の火器を送っても、使えないから送らない。」
と言い訳。
が米国、英国が最新鋭の重火器に加えて、ウクライナ兵の訓練を始めると、この嘘も使えなくなってきた。
が、やはりウクライナに重火器を提供して、ロシアを害することは避けたい。
そこで誰かが首相に、
「旧ソビエト圏の国に重火器を提供するように、誘ってはどうだろうか。」
と入れ知恵した。
餌はドイツ製の装甲車と戦車。
すなわち!
というわけだ。
この方法ならウクライナに重火器を提供するのは、旧共産圏の国々。
だから、
「ドイツは直接、重火器を提供していません。」
と言い続けることができ、ロシアとの友好関係も持続させることができる。
ドイツ政府の大嘘にポーランド激怒!!
このドイツ政府の宣伝を信じて、旧共産圏の国々はウクライナに装甲車や戦車を提供した。
典型的な例が、ポーランド。
200両を超える装甲車や戦車をウクライナに提供した。
そこでドイツ政府に
「約束された装甲車や戦車を頂戴。」
を要請するとドイツ政府は、
「何の話ですか。」
とやった。
西側の政府が、これだけ堂々と嘘をつくのは実に珍しい。
ポーランド政府は激怒して、
「ドイツの嘘つき!」
と非難した。
この非難に気分を害した外務大臣、
「装甲車や戦車はクリックすれば、翌日に届くものではない。」
とドイツ政府の態度を正当化した。
日本なら、
「これにて一件落着!」
コマーシャルが流れて終わり。
首相にたてつく政治家は居ない。
ここから先がドイツと日本の政治の違い(のいい所)だ。
FDP Strack-Zimmermann女史
今、政権にある金持ちだけを優遇する正当、FDPは個人的には大嫌い。
本来ならお金持ちだけを支持基盤とする政党は、選挙で負ける。
何処の国でもお金持ちは少数派で、貧しい人の方がはるかに多いからだ。
私の周囲を見ても、
「お給料が少なくて、生活が大変。」
という人ほど、選挙に行かない。
逆に、収入が高くなるほど選挙に行く。
だからFDPのような政党が、存続できている。
普段なら見向きもしない政党だが、古参党員に
“Strack-Zimmermann”
という政治家がいる。
国防委員会に座っている国防(軍事)の専門家だ。
が、ロシアによるウクライナ侵攻前まで、誰も知らなかった。
が、プーチンの戦争で一躍注目を浴びている。
ショルツ首相が怒るのを承知で、
「ウクライナに重火器を提供せよ!」
と声高に主張してるいからだ。
ドイツの政治家としてキエフを最初に訪問したのも女史だ。
ゼレンスキー大統領に何か約束をしてきたのか、それは知る由ないが、帰国以来、
「ウクライナに重火器を!」
と主張して、首相を怒らせない日がない。
![](https://i0.wp.com/pfadfinder24.xsrv.jp/blog/wp-content/uploads/pz-linkcard/cache/5b0f47e15d487feae541427445e9a8ec464ea2de47a71acb08ebc1786cf6eff0.jpeg?w=700)
日本で言えば、自民党の影で議席を伸ばしている公明党が、岸田首相の政策を毎日、メデイアに向けて非難するようなもの。
日本ではあり得ない光景だ。
しかし、”Strack-Zimmermann女史がまたしても正しいことが証明された。
毎月1台提供?
メデイアからの非難にさらされたドイツ政府は、公式なコメントを出した。
それは、
という人をおちょくっている内容だった。
先回はドイツ政府の態度を正当化した外務大臣さえ、
「”Ringtausch”はうまく行かないかも?」
と、やっと事実を見た。
外務大臣が意見を変えるまで、2か月もかかった。
2か月前にドイツ政府が直接、ウクライナに戦車を提供していれば、ドンバス地方であれだけ多くの戦死者を出す事もなかったろう。
緑の党もやっと、
「直接、ウクライナに戦車を提供することも考えるべき。」
と言いだした。
“Strack-Zimmermann女史が、数ケ月前から主張していた通りだ。
あるドイツの政治家が
「危機が起きた時に初めて、政治家の真価がわかる。」
と言い残した。
ドイツは日本と同じく、平和ボケ。
そんな中では一向に注目を浴びることがなかった政治家が、危機になっていきなり頭角を現すようになるのは、非常に興味深い。