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ドイツ経済 2023年度は景気後退確実 でも何故?

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ドイツ経済 2023年度は景気後退確実 でも何故?

去年、中央銀行が利上げを始めると、

「2023年の景気後退は間違いない。」

と珍しく経済アナリスト達は一致した意見だった。

違いがあるとすれば、

「ソフトランデイング(短期の景気後退)か、それともハードランデング(長期の景気後退)か?」

だけ。

「1年も先の事がわかるなんて、やっぱり経済アナリストは凄い!」

と思っていたが、予想は大外れ。

唯一の例外がドイツ。

ドイツ経済、2023年度は

「景気後退間違いなし!」

と言われている。

何故だろう?

景気後退とは?

景気後退とは?

でも景気後退ってどう図るのだろう?

これには定義があり、

「2期連続でBIPがマイナス成長をすると景気後退」

と決まっている。

まあ、あくまでの

「数字の上での定義」

ではあるが。

質問
なんで景気が後退するの?

 

中央銀行の利上げにより、経済の動脈である

「金の巡り」

が悪くなる。

金利が高いので億の金を運用する企業が、投資を渋るためだ。

が、経済は常に投資していないと成長しないので、

「金の流入」

が減れば、経済成長が滞る。

結果としてインフレを退治できる。

が、やりすぎると経済は

「大不況時代」

に突入する。

だから中央銀行は金の巡りを抑制してインフレは下げるが、景気後退が長期化しないように

「適度に切り上げる。」

ことが欠かせない。

が、早めに切り上げるとインフレが再燃する。

まさに微妙な

「舵取り」

が必要になる。

そしてこれに失敗すると

「死ぬまで語り草」

になる。

成功してもアナリストからこきおろされる。

どんなに高給をもらっても、中央銀行の立場にはなりたくない。

景気が後退しない?

冒頭で述べた通り、アナリストは

「景気後退は避けられない。」

という点で一致していた。

ところがである。

資本主義の旗手である米国の経済は、景気後退の

「兆し」

さえもみせていない。

実際、2023年の4月~6月期に米国経済は2.4%も成長した。

企業がインフレにより物やサービスの値段を上げると、従業員の給料もこれに比例して上昇するという

「景気の好転換」

が起きているので、消費者が消費を抑える必要性を感じてないのが原因だ。

これまで世界経済の成長率に大きく貢献してきた

「中国経済のスピードダウン」

が心配だが、

「内需が最も大事な経済要因」

である米国経済への影響は限定的。

すると経済アナリストは、

「景気後退に陥らない可能性ある。」

とこっそり軌道修正を始めた。

ドイツ経済 2023年度は景気後退確実?

ところが

「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」

と言う通り、経済アナリストが

「見事に言い当てたケース」

もないわけではない。

それがドイツ経済だ。

ショルツ首相は去年、

「ドイツは景気後退に陥ることはない。」

と宣言した。

しかし2022年の4半期に経済は-0.4%のマイナス成長。

2023年の1半期も-0.1%のマイナス成長。

こうしてドイツ経済は(数字の上では)景気後退に突入した。

幸い2023年の2半期は

「経済成長率0%」

で、景気後退からは脱出した。

とは言っても、

「経済停滞」

でいいことはひとつもない。

ドイツ政府はまだ

「ドイツ経済はそれでも2023年には成長に転じる。」

と主張しているが、経済研究所は悲観的で

「2023年度は-0.3%のマイナス成長」

と見込んでいる。

何故ドイツ経済は弱い?

あの日本でさえ経済成長しているのに、

何故、ドイツ経済は弱いのだろう?

これにはドイツ経済の体質に関係している。

ドイツは米国や日本と比べて国内市場が小さい。

日本の国内市場は、

「そこそこデカイ」

ので、日本企業の多くが

「国内市場でしか通用しない商品」

を作っている。

その一方でドイツ企業は最初から

「世界市場で通用する製品」

を製造してる。

そして

「経済のグローバル化」

はドイツ式経済に恩恵をもたらした。

ドイツで製造した製品は、ほぼそのまま世界中に輸出できるので、

「輸出高世界一」

を誇ってきた。

お陰でドイツ経済は人口が4000万人も多い日本を追い抜いて、

「世界第三の経済大国」

になる勢いがある。

が、何もいい事ばかりではない。

世界経済が不景気になると、ドイツ経済は

「人一倍」

その影響を受ける。

加えてドイツの輸出経済が

「中国様様」

だったことも、経済成長率に災いをもたらしている。

ドイツのメデイアはセンセーションが好きなので

“Der kranke Mann Europas”(欧州の病人)

とドイツを呼んではしゃいでいるが、実はそうではない。

ドイツ経済が輸出を前提としているのが原因。

経済の波は必ずあるものだから、

「好景気の際にため込んだ蓄え」

でしのぐしかない。

改善の見込みは?

ではドイツ経済改善の見込みはどうだろう?

政府が言う通り、

「経済成長」

に転換するのだろうか?

残念ながら、

「経済成長は望み薄」

と言わざるを得ない。

というのもこれまで

「頼りの綱」

だった中国経済が不調。

加えて中国経済は

「不動産市場の崩壊リスク」

を含んでいる。

おまけにプーチンの戦争で、欧州各国は大金を武器弾薬の生産に回さざるを得ない。

ことを考えると、おいそれとはドイツ経済が

「イケイケドンドン」

には戻れる気がしない。

例外はウクライナでの戦況。

来年、プーチンが

「もう勝てない。」

と停戦に応じれば、ドイツ経済の転換点となるかもしれない。

が、しばらくはしんどい状況が続きそうだ。

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執筆者:

nishi

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