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【プーチンの戦争】 何故、停戦交渉は進捗しないのか?

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【プーチンの戦争】 何故、停戦交渉は進捗しないのか?

プーチンか、そのプロパガンタを信じているロシア国民でなければ、

「一日も早く、ウクライナでの停戦が実現して欲しい。」

と思っている筈。

が、

「戦争を終えるのは、始めるよりもはるかに難しい。」

と言われる通り、停戦交渉はいばらの道。

ドイツ風に言えば、

“Minenfelder”(地雷原)を歩くようなもの。

早すぎると、

「反逆罪」

で死刑になります。

でも遅すぎると、日本やドイツのように焼け野原しか残らない。

そこで今回は、

「何故、停戦交渉は進捗しないのか?」

について解説しよう。

【プーチンの戦争】 何故、停戦交渉は進捗しないのか?

不謹慎ではありますが、停戦を実現させるには片思いが相思相愛になる必要があります。

例を挙げてみます。

1943年、日本は

「もう勝ち目はない。」

と、連合国側に降伏の条件を打診。

すると示された条件は、

  • 三国同盟からの脱退
  • すべて占領地からの撤退
  • 天皇制の廃止

だったんです。

「上の2つは問題ないが、最後の条項だけは譲れない。」

と、勝ち目のない戦争をさらに2年も続行。

数百万人が死んだ後、さらに厳しい

「無条件降伏」

を飲まされることに。

このように停戦が実現するには、都合のいい片思いでは駄目なんです。

双方が心から停戦を望むまで、プーチンの戦争は続きます。

すなわち!

焦点は、

プーチンはどうなったら停戦交渉を真面目にする気になるのか?

 

という点に絞られます。

真っ赤なストーブに触るようなもの?

1943年、

「クルスクの大戦車戦」

での敗退後、ドイツはすべての戦線で撤退中。

この時点でも勝利を信じているのは、ヒトラーと狂信的なナチ党員だけ。

そう、今のプーチンの置かれている状況と酷似しています。

酷似しているのは状況だけではなく、独裁者同士で考え方もそっくり。

では当時、ヒトラーは何故、停戦しなかったのでしょう?

1944年、ソビエト軍はベルリン攻略に向けて、大攻勢を準備中。

そこで外務大臣のリッベントロップが、

「ソビエトに和平を打診してみましょうか。」

とヒトラーに持ち掛けます。

するとヒトラーは、

「今、ソビエトに和平を持ち掛けるのは、真っ赤に燃えるストーブを

『熱いかどうか』

触ってみるようなもの。大火傷をするだけだ。」

と回答。

和平交渉の話の前に、大きな戦術的な勝利が必要だ。

 

と和平交渉の条件を持ち出します。

そうなんです。

和平交渉を有利に進めるために、

「まずは名だたる大勝利」

を上げ、ふんぞり返って、

「停戦交渉に臨んでもよい。」

という殿様気分(*1)。

これがまさに今のプーチンの心境です。

名だたる戦術上の勝利

そのプーチンが期待している

「名だたる戦術上の勝利」

が、来たる4月攻勢です。

今、ずさんな計画で始めたウクライナ侵攻で、ロシア軍は世界の笑い物。

ロシア軍兵士が腹を立て上官を戦車で轢いたり、味方の戦闘機を打ち落とすなど、

「ロシア軍ってこんなに弱かったの?」

と、誰もが思い始めてる。

しかし!

4月攻勢で

「名だたる戦術上の勝利」

を上げれば、世界は再びロシアを尊重する(筈)。

それから和平交渉に臨んでも良い。

 

これが独裁者、正確に言えば、

「負け組の独裁者」

の考え方です。

単純な算数の問題

が、ロシア軍が4月攻勢で名だたる勝利を挙げる可能性は低い。

「そんなことはない!」

と、思っている方はこのビデヲをご覧あれ。

ドイツ軍の戦車将軍が、

「何故、ロシア軍は勝てないのか。」

実にわかりやすく解説している。

わかりやすく言うと、攻撃する側は防御する側の3倍の兵力が要る。

これは日本軍のように、撤退を許さない単純思考の軍隊が相手の場合です。

「攻めると撤退、撤退すると攻撃する」

ウクライナ軍のような戦い方をする相手の場合、6倍の兵力が要る。

質問
なんで?

 

占領地に軍隊を駐屯させる必要があるからです。

すなわち!

敵地を先に進めば進むほど、軍は兵力を割かざるを得ません。

結果として攻撃力が鈍ります。

さらに!

ウクライナ軍のように市街戦をする相手を攻撃する場合、相手側の8~10倍の軍が必要です。

質問
なんで?

 

建物をひとつひとつ、チェックしていく必要があるからです。

これは血みどろの戦になり、スターリングラードのように攻撃側が出血死します。

しかしロシア軍が用意できるのは、

  • チェチェン義勇軍
  • 傭兵部隊

を数えても、20万未満。

その程度の軍勢で、正規軍だけで20万を要するウクライナを制することができないのは、

「軍算算術から明らか」

と、ドイツ軍の戦車将軍が語ってます。

停戦の可能性薄し?

もしですよ。

ロシア軍が4月攻勢で

「名だたる戦術上の勝利」

を上げれば、ウクライナは原爆投下後の日本と同じ。

停戦になるでしょう。

問題は、ロシア軍が勝てなかった場合。

あのヒトラーは、ドイツがボロボロになるまで敗北を認める事を拒否。

最後は責任逃れの自殺。

独裁者プーチンも、絶対に負けを認めません。

 

すると停戦になる可能性が見当たらない。

Es sei denn,(例外は)、プーチンが権力の座から落ちる事。

クーデターは起きるのか?

あのヒトラー、何回、暗殺を生き延びたか知ってますか?

39回です。

 

そのヒトラーは、

“Vorsehung”(運命)が私を守ってくれている。

と言ってましたが、これを信じたくなるなるような数(*2)。

結局、ヒトラー自身が手を下すまで、誰もヒトラーを殺すことはできませんでした(*3)。

プーチンは?

すでに身の危険を感じているようで、側近と遇うのはオンラインか、10m離れたテーブルの向こう側。

逮捕 &暗殺は至極難しい。

そう考えると、ソビエトのアフガン侵攻のような形(*4)しか、停戦の可能性が見えてこない。

注釈

*1      結局、大きな戦術的勝利を挙げることはなく、ドイツは無条件降伏。

*2  あの第一次世界大戦で前線で4年間も戦って、死ななかったのが不思議。

*3     1944年の暗殺未遂事件まで、将校は拳銃の携行が認められていたんです!

*4     戦士した兵士の母が路上で抗議活動。国は戦費が増して破産寸前。共産主義の崩壊を避けるために撤退を決断。

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執筆者:

nishi

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