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プーチンの戦争 ロシアは何故ウクライナに勝てないのか?

投稿日:2022年3月17日 更新日:

プーチンがウクライナへの軍事侵攻を命令して3週間が過ぎた。

ロシアはキエフの陥落はおろか、ロシア国境から数十キロのハリコフ、クリム半島から日帰り距離のマウリポールさえ奪取できていない。

そうこうするうちに西側の経済政策が効果を発揮、

「キエフ奪取の前に、ロシアは国家破産する。」

と言われている。

独裁者プーチンが、停戦交渉に舵取りを始めたのも無理はない。

日本の報道に物申す!

今回も溜まり積もった

💢💢💢

から始めます。

それは日本の報道です。

プーチンが日々、女、子供を殺しているのは、

「編集されたテレビ報道」

からもわかります。

なのに日本では未だに、

「プーチン大統領」

とか、

「プーチン氏」

という敬語を使ってます。

それはまるで、

「ヒトラー総統」

と言っているのと同じ。

「プーチン」

で十分です。

これが

「独裁者プーチン」

ならさらに良し。

プーチンの戦争

ドイツでは

“Putinskrieg”(プーチンの戦争)

あるいは、

“Krieg in Ukraine”(ウクライナ侵攻)

という表現を使用しています。

なのに日本では

「ウクライナ戦争」

と呼んでいます。

💢💢💢

1939年にドイツ軍がポーランドに侵攻。

しかし誰も、

「ポーランド戦争」

と呼ばず、

「ドイツ軍のポーランド侵攻」

と呼んでます。

ここでも

「プーチンの戦争」

か、

「ロシアのウクライナ侵攻」

と呼ぶべき!!

コメンテーター

日本のテレビ局は、

「誰か戦争をコメントできる人を連れてこい。」

と言われ、

「ド素人」

にプーチンの戦争のコメントをさせています。

素人コメンテーターは、

「停戦交渉が始まったら、戦が下火になる。」

などと、お伽話を。

停戦交渉中は、

「少しでもいい条件を!」

と、戦いが激化するんです!

朝鮮戦争でもそうだったでしょ!

その他にも経済制裁が始めれば戦争が終わるとか、停戦交渉が始まれば、もう戦争が終わる?とか、

「目の上にトマトが載ってる」

としか思えないコメントの連続。

ドイツではドイツ軍の(元)将軍が、プーチンの戦争をコメントします。

とりわけ上の動画で登場する

「Nato軍の将軍」

の戦況分析は素晴らしい。

ロシア軍のウクライナ侵攻を、戦術面からこき下ろしています。

プーチンの戦争 ロシアは何故ウクライナに勝てないのか?

ロシアは何故、ウクライナに勝てないのか、上の動画で大方解説されています。

「何を言ってるのかわからない。」

という方のために解説を入れます。

攻撃の重点に欠ける

軍事作戦をする場合は、主攻撃目標を設定。

ここに主力を向けます。

大事なのは主攻撃を始める前、助攻撃を開始。

敵の軍勢をこちらにおびき寄せます。

敵が助攻撃に手一杯になった際に、

「ドン!」

と一気に主力で主攻撃。

ところがロシア軍はクリミア半島から、ウクライナ東部から、そしてウクライナ北部ではキエフとハリコフに分散して攻撃。

どこが主攻撃なの?

全部助攻撃。

結果、ひとつも攻撃目標が奪取できていない。

レコンに欠ける

軍事作戦の前にはレコン(偵察活動)をするもの。

これは鉄則です。

例外はありません。

レコンで敵の防御の弱点を見出し、ここに主力を投入します。

これが逆の意味で上手かったのが

「砂漠のキツネ」

と呼ばれたロンメル元帥。

エルアラメインで敗北後、敗走を続けるドイツ アフリカ軍団。

英軍がロンメルの陣地をレコンをして

「ここが弱い。」

と推測。

攻撃をしかけると、まさにロンメルはこれを予想。

ここに火砲の主力を配置していたので、追撃するイギリス軍は散々な目に。

ロンメル自身も言ってますが、

「強固な陣地を弱く見せ、弱い陣地を強固に見せる。」

のがロンメルの十八番。

そのロンメルが陣地を視察中、イタリア軍が虎の子、

「88m高射砲」

をイギリス軍に見えるように配置しているをみて激怒。

「敵機に爆撃、破壊されたらどうする!」

と怒鳴ったんです。

ところが近くに寄ってみると、実はコレ、イタリア兵が紙とペンキで作った偽の88mm高射砲。

流石のロンメルも苦笑い。

実際、ロンメルは空気を入れて膨らますだけの

「ゴム戦車」

を大量に装備。

敵に

「ドイツ軍の大量の戦車」

を見せるなど、まさに砂漠のキツネ。

とろろがロシア軍はレコンを(ほとんど)しないで、前身。

ウクライナ軍の待ち伏せに遭い、その都度後退。

お陰で過去2週間

「キエフの包囲」

もできず、死傷者数が増える一方。

空軍との共同作戦の欠如!

ドイツ軍が発明した電撃戦。

その鍵は、陸軍と空軍の密接な共同作戦です。

陸軍の進軍に合わせて空軍、急降下爆撃機のJu-87が敵の陣地を強襲。

空からの攻撃で

「ボロクソ」

に叩かれた陣地を、ドイツ軍の戦車が強襲。

「あっ」

という間に陣地を突破して、後方部隊に攻撃をしかけると、敵は驚いて右往左往の大混乱。

ロシア軍はその同じ電撃戦を行う軍事力があるのに、陸軍と空軍が共同作戦を行ってない。

何故?

日本の陸軍と空軍のように仲が悪いため?

理由は不明ですが、前進する陸軍部隊を空軍が援助する光景は、戦争開始の時だけ。

今では地対空ミサイルが怖いためか、陸軍はひとりぼっち。

これでキエフ包囲が進むわけがない!

補給不足

あのドイツ軍でさえ、十分な補給物資を準備してから攻撃。

すくなくとも1943年までは。

なのにロシア軍はたった3週間で兵士不足に陥り、義勇兵を募集。

 

足らないのは兵士だけではない。

補給物資にも欠けて、中国に軍事物資の援助を依頼。

 

たった3週間で兵士と補給物資に欠ける

「間抜けな軍事作戦」

と言えば、日本軍のインパール作戦くらい。

 

あのドイツ軍を破ったソビエトの伝統を受け継ぐのが、ロシア軍。

そのロシア軍が、日本陸軍の二の舞を踏むとは。

プーチンが参謀本部の意見を聞かず、強引に作戦を進めた故の結果です。

自分の首を絞めた演習

皆までいえば、ウクライナ侵攻の前に悠々自適の1ヶ月の軍事演習。

演習で弾薬を使い果たしてから軍事侵攻をしたのは歴史上、ロシア軍のウクライナ侵攻が最初で最後です。

士気の欠如

戦の行方は往々にして、兵隊の士気によって決まります。

勿論、ガダルカナルの空港奪還作戦やインパール作戦など、

「逆立ちしても勝ち目のない戦」

は別として。

ウクライナ軍は敵の侵攻に遭い、日々、子供や女性が殺されているので、士気は高いです。

その士気をさらに高めているのが、大統領のネット配信。

流石はプロのコメデイアン。

大衆の心をひきつける術を知っています。

さらに!

ドイツでボクサーとして活躍したクリチコ兄弟も、士気を高めるのに大いに貢献。

兄弟共に、ヘビー級のボクサーで世界チャンプ。

弟のウラジミール クリチコ。

兄のヴィタリ クリチコ。

兄のヴィタリ クリチコは現キエフ市長。

兄弟で前線を訪問して士気を鼓舞(*1)。

その一方でプーチンは謀反を恐れて、指揮官とはネット会議するだけ(*2)。

直接会うのは、若い女性だけ。

さらに!

「ナチからウクライナの兄弟を開放する!」

という大東亜共栄圏神話を信じて侵攻したロシア軍。

ウクライナで

「ナチスは出ていけ!」

と言われて、

「目からウロコ」

状態。

これで士気があがるわけがない。

モラルの低さの象徴が、放棄された戦車。

戦車兵が戦車を捨てて逃げるなんて、お母さんが子供を置いて二泊三日の旅行にいくようなもの。

完全にやる気がない限り、そんなことは起こりません。

遅々として進まないキエフ包囲

戦争初期の

「キエフ攻略」

に失敗したロシア軍。

軍の再編成をすると

「戦術の初心」

に帰ってキエフ包囲作戦に出ます。

ところが2週間経っても、包囲ができていないっ!

その理由は、

  • 空軍との共同作戦の欠如
  • ウクライナ軍の待ち伏せ
  • 西側が届けた援助物資の到着

があげられます。

西側の援助物資の到着

ドイツには政府が経営している語学学校があります。

【割引中!】ゲーテ・インスティテュート

言うまでもなく、ドイツ語の学校。

この学校の仕事が遅いっ!

お客さんからの申し込みをコンファームするのは、10分もかからない仕事です。

その

「10分もかからない仕事」

に、10日から2週間もかかります。

ドイツ政府が、

「ウクライナに武器を提供する。」

と発表した際、

「武器が届くのは、いつの頃やら?」

と思ってたんです。

ところが!

発表から10日後にYoutubeにアップされたビデヲで、

ウクライナ兵がドイツが提供した

“Panzerfaust 3”

を抱えてる!(*3

軍事作戦が計画・遂行され、動画を編集してアップされるまでの時間を考えれば、

ドイツ政府の発表から1週間で武器がキエフに到着して、部隊に渡された事を意味します。

 

なんという速さ!

平和時のドイツ人の仕事のペースじゃないっ!

それもこれもロシア軍が、キエフの包囲に成功していないが為です。

キエフを包囲していれば、西側の援助物資も届かなかっただろうに!

キエフ侵攻をためらう上層部

もう1週間前から、

「ロシア軍のキエフ侵攻はまじか?」

と報道されているが、一向にキエフ侵攻が始まらない。

そして始まることは(当分)ない。

米国の情報筋の発表で、すでに7000人を超えるロシア兵が命を落としている。

血なまぐさいアフガン侵攻の10年で、ソビエトが失った損失は14000人+(*4)。

なんと3週間でアフガン侵攻の半分の死者を出している。

この上さらに西側から届いた武器が

「山ほどある」

キエフに侵攻すれば、ロシア軍は出血死する。

だからロシア軍は安全なベラルース領から、ミサイルを撃ち込んで民間人を殺傷することに専念。

ウクライナ軍が、

「ロシア人が馬鹿で良かった。」

と漏らしていたが、守備隊が手ぐすね引いて待ち受けているキエフ侵攻をするほど、馬鹿ではない。

キエフに侵攻するなら、まずは包囲を完成させて、弾薬と食料が尽きてからだ。

停戦の可能性

停戦の可能性

これまでの停戦交渉はただの見せかけ。

ロシアは

「勝つに決まっている。」

と信じていたので、ウクライナの非武装化という絶対に飲めない条件を上げてきた。

ただここにきて、微妙にロシア側の主張に変化が出てきた。

ロシアがウクライナに戦争で勝つ見込みが、限りなく低くなった為だ。

これに拍車をかけているのが、ロシア国家破産が切羽詰まっている事。

3月と4月にロシアはドル国債の利子払いと、国債の清算の期限が迫っている。

ロシア中央銀行が貯め込んだ外貨が半分以上、西側に凍結されている今、ロシアはドル国債を清算するだけの金がない。

仮に3月、4月の清算が出来ない場合でも、

「30日の支払い猶予期限」

がある。

すなわち!

遅くても5月には停戦に同意してお金を工面しないと、ロシアは国家破産する。

ウクライナ側が、

「5月には戦争が終わる。もっと(ずっと)早くなるかもしれない。」

と言っているのは、こうした背景がある。

実際、あのプーチンが、

「ウクライナ側が真面目に停戦交渉に臨まない。」

と愚痴を言い出した。

これまでいかなる譲歩も拒絶していたあのプーチンがだ。

中国がロシアを援助しない限りという条件付きだが、ようやくプーチンの戦争の終わりが見えてきた。

注釈 – プーチンの戦争

*1     日本のテレビ局はクリチコ兄弟の区別ができず、「キエフ市長、前線で兵士の結婚を祝福」と、超~間抜けな報道。

*2     軍、あるいは情報局がプーチンを逮捕して、戦争が終結する可能性も有り。

*3     ポーランド製のPGR-76、スウエーデン製のAT4もウクライナ兵が携行している。

*4     そのアフガン侵攻の「終わり」から二年後、ソビエト連邦が崩壊した。

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執筆者:

nishi

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