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ドイツの国防大臣 休暇スキャンダルでまた炎上中!

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ドイツの国防大臣 休暇スキャンダルでまた炎上中!

ドイツの国防大臣 また炎上中だ。

国防大臣職は、

「辞任に追い込まれる確率が最も高い大臣職」

ではあるが、就任してからわずか半年で、これだけスキャンダルを繰り返す国防大臣も珍しい。

日本では報道されていないので、一人で楽しんでいないで、皆さんにもおすそ分け。

夢の仕事

質問
ドイツの国防大臣って誰?

 

という方のために、軽く説明を。

国防大臣の名前は

“Christine Lambrecht”

 

生業は弁護士。

所属する政党は社会民主党(SPD)。

メルケル政権下では法務大臣。

全くスキャンダルがなかった。

2021年、来る総選挙前で社会民主党が大敗を喫することは確実だったので、

「政界を引退して夢の仕事に戻る。」

と宣言していた。

ところが社会民主党が選挙で勝ってしまった。

これがきっかけで、数々の喜劇が生まれることになる。

男女平等の故の決定

社会民主党が選挙で勝つとランブレヒト女史は

「夢の仕事」

はそっちのけ。

大急ぎで

「椅子取り合戦」

に参加した。

法務大臣の椅子がFDPに行ってしまったので、

「内務大臣はどう?」

とショルツ氏に相談するも、ショルツ氏はフレイザー女史を内務大臣に任命した(*1)

本来であればランブレヒト女史はここで、

「夢の仕事」

に戻る筈だった。

ところが国防大臣の椅子が空いたままだった。

ショルツ氏は党内でメキメキと頭角を出してきた有能なクリングバイル氏を、国防大臣に任命したかった。

 

が、

「大臣の椅子は男女平等に分配する。」

を謳ってしまったので、能力・経験はさておいて、国防大臣には女性を就任させなくては!

そこでちょうど、

「内務大臣の椅子を!」

と頼まれていたのに、その願いを断っていたランブレヒト女史に、

「国防大臣はどうですか。」

と打診。

すると、

「喜んで国防大臣になります!」

という返事が返ってきたので、国防大臣に任命した経緯があった。

中尉と中佐の違いは?

ところがである。

ランブレヒト女史は

「ただの」

弁護士。

これまで軍事、あるいは軍隊とかかわってきたことはない。

素人が、

「軍隊の仕組み」

を理解するだけでも数か月かかる。

(武器・兵器を除く。)

例えば、

質問
参謀本部長は誰にしますか?

 

と聞かれても、素人にはそもそも参謀本部が何なのかもわからない。

ましてやドイツ軍が抱える問題を理解するには、

「少なくとも」

半年は必要だ。

案の定、ランブレヒト女史は就任後の記者会見で

「中尉と中佐の違いは?」

と聞かれて、返す言葉がなかった。

そんな

「ド素人」

を国防大臣に任命するショルツ氏の判断には、大いに疑問が残る。

少なくとも前々代の国防大臣は、

「経験不足」

を補うためにほぼ二カ月近くも国防相に閉じこもり、軍に関する書類を読み漁った。

一方、ランブレヒト女史は、まずは休暇を取った。

この国防相の態度をドイツ軍は

「やる気がない。」

と受け取った。

それは間違いではなかった。

最初のスキャンダル Bundes Marine

ドイツ海軍は正式には

“Deutsche Marine”(ドイツ海軍)

という。

 

ランブレヒト女史は、

“Bundes Marine”

とやった。

海上自衛隊を海軍と言うようなもの。

初歩的な間違いだったが、国防相が海軍の正式な名前さえ知らないなら

「残り」

は推して知るべしだろう。

ハイヒール スキャンダル

平時の軍隊は服装を重視する。

アイロンがかかってない軍服は、

「精神のたるみの証拠」

と見なされる。

これは何も軍隊に限ったことではない。

洪水に見舞われた被災地を

「革靴」

で訪問して批判を買った政治家は多い。

外務大臣と新国防大臣が、ドイツ軍が平和維持活動を行っているアフリカのマリを訪問することになった。

外務大臣は

「適した靴」

を履いて軍隊を訪問、司令官に現地での実情を聞くなど興味を見せた。

 

一歩、国防大臣はこともあろうに砂漠で任務に就く軍隊を

👠

を履いて訪問した。

兵隊は40度超える灼熱のマリで長袖、長ズボン、さらには防弾チョッキにヘルメットを一日中着ている。

なのに国防大臣はたかが半日の訪問なのに、風通しのいい靴を選んだ。

これで現地の兵隊の苦労がわかるわけがない。

軍隊内部で国防相の評価は地に落ちた。

ヘルメットをかぶらない国防大臣

ドイツ陸軍に新型の主力戦車

Leopard 2A7V

が納入された。

新装備が納入されると国防相が現地を訪問して、

「納入された兵器を検閲する。」

が世界の軍隊の習わしだ(*2)。

ランブレヒト国防相も

「ピカピカの戦車」

に乗車して、

“PR用”

写真の提供に貢献した。

しかし!

である。

かっての戦車乗りの立場から言わせてもらえば、

「戦車に乗るならヘルメット装着」

は義務。

戦車は凸凹しており、思いもよらない箇所が突起している。

ここに頭をぶつけると、ヘルメットをしてても痛いっ!

なのに国防相は

「雀の巣」

のようなヘアスタイルを気にして、ヘルメットの装着を断った。

そして戦車の上で髪が乱れまくり青ざめた顔の国防大臣の写真が、新聞各紙の表紙を飾った。

だからいわんこっちゃない。

5000個のヘルメット スキャンダル

このように、国防大臣は平時でも大変な職務。

ど素人には。

なのに、よりによって

「過去30年でもっとも頼りない国防大臣」

の任期中に戦争が勃発したからさあ大変!

ランブレヒト国防相はドイツのウクライナへの武器支援として、

「5000個のヘルメットを提供する。」

と誇らしげに発表した。

この声明にポーランドの首相は、

「冗談か?」

と尋ねたが、

ランブレヒト国防相は本当に、5000個のヘルメット提供が軍事支援だと思っていた。

 

お陰でドイツは、日本でも紹介されるほど、世界中の笑い物になった。

それもこれも、

「ど素人の弁護士」

を国防大臣なんぞに任命するからだ。

家族大臣シュピーゲル女史の辞任

ウクライナ戦争に注意と時間を取られて、ここで紹介することができなかったスキャンダルが幾つかある。

その中でも

「一番面白い物」

が家族大臣シュピーゲル女史の辞任だ。

彼女がまだラインラントーファルツ州の環境大臣だった際、大洪水が発生した。

袖をまくりあげて

「働いている姿をアピール」

する絶好の機会なのに、翌日からおフランスでの休暇に出かけてしまった。

それも4週間。

休暇中、

「メデイアに悪口を書かれそう。」

と心配しているメールを送ったが、その心配は大当たり。

まさにそのメールをメデイアがすっぱ抜いた。

そのタイミングが絶妙だった。

誰も知らない田舎の州で環境大臣だったシュピーゲル女史、緑の党が総選挙で勝利したのでベルリンに出世して、家族大臣に就任していた。

その家族大臣が、地元の選挙民が洪水に見舞われて命を落としているのに、

  1. おフランスでの休暇を中断しないで
  2. 自分のイメージばかり心配していた。

メデイアがこれを報道すると家族大臣は、

「ごめんなさい。」

と素直に謝った。

緑の党は、

「謝罪をしたので、この件は一件落着!」

と水戸黄門のように宣言したが、問題はさらに悪化した。

シュピーゲル家族大臣が釈明で述べた、

「休暇は続けたが、オンラインで閣僚会議に出席していた。」

が、完全なでっち上げだとわかったのだ。

流石にこれでは緑の党も、クビを切るしかなかった。

ドイツ国防大臣 休暇スキャンダルでまた炎上中!

同僚が

「休暇スキャンダル」

で辞任したばかりなのに、

ランブレヒト国防相はプーチンの戦争が勃発すると(また)休暇に出かけた。

 

戦争という有事なのに国防大臣が、

「まずは休暇」

に出かけるとは、どういう良識だろう。

ましてやシュピーゲル家族大臣が目の前で、

「休暇スキャンダル」

で辞任に追い込まれたばかり。

「懲りない面々」

というこういう人種を指すのだろう。

ところがスキャンダルはここから!

息子が写真をSNSに投稿!

ランブレヒト国防相のお気に入りの休暇先は北ドイツにある

“Sylt”

での休暇。

参照 : Sylt

 

お金持ち専用の保養地だ。

ランブレヒト国防相は公務を終えてすぐに

「大好きなジルト」

に行けるように、休暇先からわずか20Kmしか離れていない場所にあるドイツ軍の

「レーダー部隊」

の視察を組んだ。

国防大臣の視察であるから、

「何もない北ドイツのレーダー基地」

への視察にはドイツ空軍のヘリを使用した。

するとランブレヒト国防相はこの視察旅行に馬鹿、もとい最愛の息子を同乗させた。

その息子が

「空軍のヘリだぞ!カッコいいだろう!」

とSNSに写真を投稿したことから、スキャンダルが始まった。

国防機密の漏洩

役に立たない大臣でも、その日程は極秘だ。

かってシャーピン国防大臣が愛人とのデートで、ドイツ軍の進軍ルートを明かしたことがある。

時のシュレーダー首相は本人に事実確認をした後で、クビにした。

なのに息子が大臣の行動をSNSで明かすなと、国防機密の漏洩に相当する。

ましてや軍用機のコックピットは機密扱い。

写真を撮ってはいけない。

なのにランブレヒト国防相は自ら、コックピット入りで馬鹿息子、もとい、ご子息の写真を携帯で撮ってやった。

メデイアに圧力をかける国防大臣

このスキャンダルを最初に掴んだのは”Welt”紙。

新聞に載せる前に大臣に事実関係とコメントを尋ねた。

すると生来弁護士の国防相は、

「家族の事を公にするなら、相応の法的措置を取る。」

と新聞社を脅した。

新聞社がこの

「大臣からの脅しのメール」

と一緒に、ランブレヒト国防相の休暇スキャンダルをすっぱ抜いた。

 

こうしてランブレヒト国防大臣の

「休暇スキャンダル」

が公になった。

空軍をルフトハンザと一緒にするな!

5月15日には

「一番大事な州選挙」

と言われるNRW州での州選挙がある。

伝統的にここで勝った政党が、3年後、総選挙で勝利する。

その大事な州選挙を控えて、

「休暇スキャンダル」

は野党のCDUにとって、

“gefundenes Fressen”(棚ぼた)

である。

「国防大臣は”Luftwaffe(空軍)を”Lufthansa”(ルフトハンザ)と勘違いしている。」

という指摘は韻を踏んでおり、一番多く引用された。

自身の防衛に手一杯の防衛大臣

(前)シュレーダー首相だったら、こんな大臣はとっくにクビにしていた。

しかしすでに家族大臣が休暇スキャンダルで辞任した後。

ショルツ首相はここでも躊躇した。

ウクライナへの武器提供と全く同じだ。

その躊躇が社会民主党の支持率を低下させた。

「五分五分の戦」

と言われたNRW州での州選挙で、CDUは大勝、SPDは大敗した。

その原因をわざわざ説明するまでもないだろう。

指導者の役割

前メルケル首相の政治は、

「テフロン戦略」

と言われた。

何を言っても、テフロンのようにくっつかないのだ。

ショルツ首相の政治スタイルは、躊躇。

もうどうにもならない事態に追い込まれてから、やっと決断する。

ある有名な政治家が言ったセリフがある。

指導者/Führerとは国民を導く(führen)から、その名前がついている。

そして才能がある政治家は、”agieren”(先手を打つ)政治を行う。

その一方で才能がない政治家は、出来事が起きてから”reagieren”(反応する)だけ。

これは指導者ではない。

ランブレヒト国防相が就任から6ヶ月で達成したスキャンダルは、ギネス物。

そんな大臣を、ショルツ首相はあと3年以上も閣僚に置いておくのだろうか?

注釈

*1      ショルツ氏のランブレヒト女史の評価は低かった。

*2     あのアドルフ ヒトラーも新型戦車のお披露目にやってきた。ヒトラーが戦車に搭乗して、実弾の射撃訓練も体験する予定になっていた。

砲手が、「これから撃つので、注意してください。」と気を遣うと、ヒトラーは怒って訓練を中止した。

「砲手はいかなる時も、目をスコープ(照準器)から離してはならぬ!」と、プンプン怒っていた。

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執筆者:

nishi

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