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ドイツ イスラエル製ドローン TP-Heron を導入!

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ドイツ イスラエル製ドローン TP-Heron を導入!

ドイツ政府は気の遠くなるような議論の末、イスラエル製のドローン Heron TPの導入を決めた。

と言われても、日本の皆さんには

「何を議論してたの?」

と、さっぱりわからないだろう。

そこで今回はドイツのイスラエル製のドローン Heron TP導入に至るまでの

「葛藤」

を紹介したい。

何故、ドローン?

ドイツ軍がドローンの導入を訴えたのは、アフガニスタンでの

「平和維持活動」

がきっかけだ。

ドイツ軍はドローンを一機も所有しておらず、タリバンは待ち伏せし放題。

ドイツ軍は罠が仕掛けらている道を、偵察なしでパトロールする事を迫られた。

待ち伏せに遭って死傷者が出てからは、

「助けて頂戴。」

と、毎回、米軍にお願い。

しかし米軍は自分の軍隊を守るのが最優先で、

「足手まとい」

のドイツ軍の願いは、叶えられないことが多かった。

ドイツ軍が政治家に

「至急に」

ドローンの調達を陳情したのも無理はない。

政治家のためらい

政治家は軍隊を戦地に送り、戦況が悪化すると

「後は知らない。」

と、見捨てることが多い。

例えば日本軍。

勝ち目がなければ撤退すればいいのに、派遣軍に

「玉砕命令」

を出すのが日本の伝統。

ベトナム戦争の米軍も似たり寄ったり。

ソビエトのアフガン侵攻もしかり。

ではドイツは?

ドイツ軍がアフガンの平和任務で苦労していると、

「じゃ、ドローンを送ってやる。」

と考えないで、

「殺傷能力を持つドローンの購入には、問題がある。」

と言い出した(*1)。

ドイツ軍がアフガンで死の危険と直面しているのに、

「機械が人を殺すのは問題だ。」

という呑気な議論をできるのは、平和ボケしているドイツと日本くらい。

オイロフォーク調達の破綻

オイロフォーク

そこでドイツ政府は攻撃能力のない米国製のグロ-バルフォークを購入。

 

米国製だと国民に受けが悪いので(*2)、

「オイロフォーク」

と改名した。

ところがである。

航空安全局が、無人機の飛行を認めなかった。

 

結果、無人機を飛ばす際は、これを監視する有人機が一緒に飛ぶことになり、

「これでは意味がない。」

と、オイロフォーク調達は破綻に終わった。

ドイツ IAI Heronの導入を決定!

こうした紆余曲折の末、ドイツ政府はイスラエル製のドローン IAI Heronの導入を決めた。

その理由がとってもドイツ的。

ドイツ政府は呑気にも、

「殺傷能力を持つドローンにすべきかどうか。」

という議論を永遠にやっていた。

社会民主党や緑の党が、

「テレビゲーム気分で人(敵)を殺傷することは許されない。」

と、殺傷能力を持つドローンの導入に反対したからだ(*3)。

「これは答えが出ない。」

とメルケル政権は、

「攻撃能力を後から搭載できるドローンはないか?」

と探して見つかったのが、イスラエル製のドローン IAI Heronだった!(*4)

こうしてドイツ政府はイスラエル政府と偵察用ドローンの

「リース契約」

を結んだ。

それまで4年もの年月が無駄に費やされ、リースされたのはたったの3機。

そのドローンも任務中、エンジンや無線の不調で何度かアフガンで墜落。

どれだけドイツ軍の危険軽減に役にたったのか、大きな疑問が残る。

社会民主党の裏切り

2021年、ドイツ軍はアフガンから撤退。

アフガンで

「戦士」

した54名のドイツ軍兵士は何のために、命を落としたのか?

どのみちタリバンにアフガンを差し出すなら、さっさと撤退していればよかった。

だから政治家は信頼できない。

その政治家はまだ、

「殺傷能力を持つドローンにすべきかどうか。」

議論していた。

2020年、その議論にいよいよ終止符が打たれた!

メルケル政権下で社会民主党が譲歩、殺傷能力を持つドローンの導入が決まった!

ところがである。

社会民主党内の左派から、

「許されない行為だ!」

と脅されて、同意を翻した。

ドイツ イスラエル製ドローン TP-Heron を購入!

ドイツ軍が、

「ドローンが要る。」

と政治家に助けを求めてから14年後、ドイツ政府は殺傷能力を持つイスラエル製のドローン TP-Heronの導入を決めた。

そう、プーチンの戦争が原因だ。

よりによってあの

「殺傷能力を持つドローンの導入」

に反対だった社会民主党と緑の党が、今、政権にある。

その平和ボケ政党が、殺傷能力を持つイスラエル製のドローン TP-Heronの導入を決めた(*5)。

これ以上の皮肉はないだろう。

購入されるドローンの数は140機。

60機は訓練用。

80機が実戦配備となる。

数が少なすぎて、

「戦力」

という言葉を使うのがはばかれるほど、ドイツらしい導入だった。

導入条件

という苦情はあるが、とにかくこれで

「国土を守れる装備」

が揃ったと思ったのたが、甘かった。

政治家は、

「ドローンの使用は、外国任務を行うドイツ軍の防御にのみ使用すべし。」

という導入条件を付けた。

そう、ロシア軍がベルリンに向かって進軍してきても、

「外国任務じゃないから使えない。」

というワケだ。

流石、ドイツ。

今のSPD / 緑の党/ FDP政権には何も期待しないほうがいい。

注釈

*1     日本のミサイル防衛と全く同じ。

*2     当時、米軍のドローンによる誤爆により民間人の殺害が大きな社会問題になっていたから。

*3     左翼政党も反対してましたが、政治上、あまり意味がないので省略。

*4     米国製のプレデターは名前からしてヤバい攻撃ドローンだったので、選択肢から落ちた。

*5     連立政権メンバーのFDPは昔から、殺傷能力を持つドローンの導入に賛成。

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執筆者:

nishi

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