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プーチンの4月攻勢間近 補給が戦局を決める!

投稿日:2022年4月12日 更新日:

プーチンの4月攻勢間近 補給が戦局を決める!

ウクライナの一斉制圧を目指したプーチン。

その無謀な作戦で、ロシア軍はアフガン侵攻以来の敗北を味わった。

この敗北を国内で

「大勝利」

と宣伝するためにプーチンは新たな攻勢を計画している。

その攻勢の鍵を握るのは補給だ。

ウクライナ軍の戦術

日本では、

「ウクライナ軍の頑強な抵抗で、ロシア軍は甚大な被害を被った。」

と報道されている。

間違いではないのだが、正確ではない。

正確に言えば、

「ウクライナ軍の優れた戦術で、ロシア軍は甚大な被害を被った。」

となる。

質問
どこが良かったの?

 

国境でロシア軍に戦を挑まずに、国内奥深くに侵攻させたこと。(*2)

 

日本の

「軍事評論家」

は、そのロシア軍の侵攻を見て、

「1日で50Km以上も進撃するのは例がない。」

と感嘆していた。

実はコレ、ウクライナ参謀本部の作戦だった。

 

ウクライナ軍はロシア軍の戦車や装甲車をキエフの前面まで

「おびき寄せた。」

ここで抵抗を開始。

するとロシア軍は長い距離を走ってきたので、すぐに補給が必要になった。

ところが!である。

補給はベラルース領内から、延々とトラックで運ばなければならない。

ウクライナ軍は、そのロシア軍の長~い補給路に攻撃を仕掛けた。

お陰で前線のロシア軍には、燃料・弾薬・糧食に欠け、進軍も止まった。

近代稀に見る見事な戦術だった。

ロシア軍被害甚大なり!

その優れた戦略のお陰で、ロシア側はおよそ2万人が戦死か負傷、あるいは投降した。

装備の損出はもっと甚大で、

「約半分の装備を失った。」

と言われている(*2)。

このままキエフに侵攻しようものなら、ロシア軍は出血死する。

プーチンはこの事態に歯ぎしりしたが(*3)、だからと言って状況が改善するわけではない。

今、ベラルースでロシア兵士の死体が

「山積み」

になっている。

これが本国に送還されると、

「プーチン万歳」

から、一気に反戦ムードに転換しかねない。

それまでに国民に

「成果」

をプレゼンテーションしなくてはならない。

こうしてプーチンは参謀本部が推奨する、

「東ウクライナ占領」

「ウクライナ侵攻の第二ステージ」

に同意した。

足らない兵力

4月攻勢に備えて、ロシア軍はキエフ近郊から撤退した。

その際、大量の装備を失った。

しかしロシアは今でも軍事面では超大国。

失った装備は他の戦線、極東やグルジアなどから補填できる。

そう簡単に行かないのが、

「ぽっかり」

穴の開いた兵力。

ロシア軍は、グルジアに駐留している兵力をウクライナに回す命令を出した。

が、グルジアではメデイアの規制がない。

ウクライナで地獄が待っている事を知ってるロシア兵は、

「まっぴらごめん」

と300人が脱走した。

そこでロシア軍は真実が伝わっていない国内に目を向けると、極東軍に移動命令を下し、さらに予備役を招集し始めた。

 

プーチンの4月攻勢間近

ロシア軍はキエフ近郊から撤収した兵を、別の師団に配属している。

その理由は、一度敗北を味わった軍隊はモラルが低く、使い物にならない事。

同じ問題に悩まさていたのが、あのロンメル。

イタリア軍は敵を見るとすぐに逃げ出す。

すると戦線に

「ぽっかり」

穴が空く。

これを防ぐため、ロンメルはイタリア兵をドイツの部隊に組み込んだ。

すると不思議な事に、逃げ出すイタリア兵の数が激減した。

このように

「敗残兵」

を新しい師団に組み込むのは、意外と効果のある方策で、何処の軍隊でも用いている。

ただし!

兵隊が新しい部隊に慣れ、命令系統を理解して、ロシア国内から集めた装備を与え、

「戦闘準備良し!」

となるには、時間がかかる。

又、

「キエフ侵攻の失敗」

からロシア軍は教訓を学んだ筈。

今度は補給を十分に準備してから、4月攻勢を開始する。

だから今は、小康状態のようになっている。

ノルマンデイー上陸作戦

同じことがウクライナ軍についても言える。

ウクライナ近郊に展開していた軍を、東部に移動させなければならない。

「それだけ?」

と思うかもしれないが、敵が制空権を持っている戦場での軍の移動は非常に難しい。

いい例が連合軍のノルマンデイー上陸作戦だ。

奇遇なことに、ここで防衛部隊を率いていたのは、あのロンメルだった。

ロンメルは

「敵が制空権を持っていると、部隊の移動はほぼ不可能。」

だから、戦車部隊を海岸線近くに待機させることを望んだ。

しかし西部戦線の総責任者が、

「敵がカレーに上陸したらどうする?」

と戦車部隊を後方に待機させた。

そして連合軍が遂に、ノルマンデイーに上陸!

ロンメルは戦車部隊の派遣を頼んだが、

「本当の上陸作戦はこれから別の場所で起こる。」

と、状況を理解しない上官の(愚かな)反対に遭った。

結果、連合軍がノルマンデイーに橋頭保を築いた後で、やっと戦車部隊に移動命令が下った。

が、移動中の戦車部隊は空軍にボロクソに叩かれて、壊滅してしまった。

ウクライナ軍がこのドイツ軍の二の舞を踏まないように、部隊を装備を

「すぐ使える前線まで」

運ぶ必要がある。

補給が戦局を決める!

ドイツでは、

「アマチュアは武器について語り、プロは補給と士気について語る。」

 

と言う。

日本の自衛隊でも

「補給隊」

の地位は低い。

未だに攻撃部隊にばかり、注目されている。

しかしプーチンの戦争がはっきりと示したように、どんなに優れた武器を大量に持っていても、補給が続かないと戦闘は続けられない。

だから今、ロシア軍とウクライナ軍との間で

「装備を前線に運ぶ競争」

が始まっている。

この競争を制するものが、来る戦を有利に進める。

ドイツの拒否姿勢

そこで今度はウクライナ軍の補給面を見てみよう。

ウクライナ政府はドイツ政府に旧型の装甲車、

「マーダー」

の提供を頼んだ。

しかしドイツ政府はこれを拒否。

「じゃ、製造元から買わせてくれ。」

とのウクライナ政府の願いも、ドイツ政府は拒否(*4)。

しかし!

西側の政府はドイツ政府のような

「腰抜け」

政権ばかりではない!

あの小国、エストニアはドイツの数倍の武器をウクライナに提供している。

 

イギリスも然りで、新たに装甲車120台をウクライナに提供する。

スロバキアからは地対空ミサイルが提供された。

米軍からの武器提供は言うまでもない。

こうした武器をポーランドから、

「でかいウクライナの領土」

を横断して、東ウクライナの部隊まで運ぶのは、ノルマンデイーの例を出すまでもなく、大変な事。

さらに!

新しい武器が届いても使い方がわからなければ、意味がない!

一番時間がかかるのは、地対空ミサイル。

これが間に合って装備されれば、ロシア軍は(また)ひどい目に遭うだろう。

プーチンの4月攻勢 いつ始まる?

プーチンの4月攻勢 いつ始まる?

今、世界が注目しているのが、

「プーチンの4月攻勢はいつ始まるのか?」

という点だ。

軍事的に見れば、4月に攻勢を開始するなんぞ、愚の骨頂。

質問
なんで?

 

すでに3月の時点で雪解けが始まっている。

お陰で多くのロシアの装甲車は、泥沼にはまって放棄された。

結果、ロシア軍の装甲車は舗装された道路しか使えない。

とりわけウクライナ東部は森も少なく、大草原地帯。

隠れる場所が(少)ない。

そんな場所で道路に集中すると、ウクライナ軍に狙い撃ちされる。

だからナポレオンからヒトラーまで、

「ロシア侵攻」

は6月まで遅らせた(*5)。

本来であれば軍事作戦は、せめて地面が乾き始める5月まで遅らせるべき。

だがプーチンには、6月まで遅らせることができない事情がある。

それが5月9日の戦勝記念日だ。

ここで

「ナチに勝った。」

と宣言したい。

なればあとは逆算すれば、4月攻勢の開始時期が見えてくる。

攻撃が

「バターを切る熱いナイフ」

のようにスイスイと進展しても、ウクライナ軍の主力が守っている東部を占領するには2~3週間かかる。

だから攻勢は今週末までに、開始する必要がある。

果たしてウクライナはそれまでに、部隊の移動と装備の配備を終えることができるだろうか?

注釈

*1      ソビエト軍は国境付近でドイツ軍に戦を挑み、大敗を喫した。

*2      撤退をすると多くの装備品を失う。これが原因で、ヒトラーはスターリングラードで包囲された第六軍の脱出を禁じた。

*3  ソビエト侵攻後、ヒトラーはドイツの戦車より優れたソビエト製の戦車と遭遇、「劣等民族になんでこんなものが作れる!」と怒った。

*4      ウクライナへの武器提供は首相官邸が決裁権を持つ。ショルツ首相はロシアがガスの提供を辞める事を恐れて、武器の提供には消極的。

*5       二人とも6月22日に侵攻を開始、そして二人とも失敗した。

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執筆者:

nishi

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