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オーストリア 極右政党に陥落す

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オーストリア 極右政党に陥落す

遂にオーストリアも極右政党に陥落した。

欧州内で極右政党が政権を奪取したのは、なにもオーストリアが初めてではない。

しかしこの国はあの

「ヒトラー」

を生んだ国。

その国で極右政党が首相に就任。

国民は過去から何も学んでいない?

連立政権交渉

まずはこれまでのおさらいから。

2024年9月にオーストリアで総選挙があった。

ここで

「快勝」

したのが

“FPÖ”(自由党)

という名の隠れ蓑で正体を隠している極右政党だった。

参照 : Wikipedia

 

しかしオーストリア大統領は選挙で負けた”ÖVP”(国民党)に政権の樹立を依頼した。

オーストリア大統領 極右党首の政権依頼を拒否

ところがである。

3ヶ月経っても、

「落としどころ」

が見つからず、未だに

「審議継続中」

だった。

緊縮財政

と聞けば当然、

「何を揉めているの?」

と聞きたくなるだろう。

実はオーストリア、ドイツと同様に経済がボロボロ。

停滞するドイツ経済 旬はすでに過ぎたか?

「兄弟国」

だけあって、経済停滞の理由も、似たり寄ったり。

オーストリアの製造業が落ち目なのだ。

政府としては

「大規模な経済活性化対策」

を実施したいが、その金がない。

EU加盟国は、

「国家予算の借金率は3%が上限」

となっているのに、すでに4%を超えている。

数年続きで。

今年こそ上限を守らないと、EUから制裁(罰金)を課される!

そこで国民党は緊縮財政を敷いて借金を減らし、EUからの制裁を避けたい。

連立政権交渉決裂

ところがである。

連立候補の

「頼みの綱」

である社会民主党には左派の派閥がある。

これが

「ほぼ共産主義」

で、緊縮財政など国民に犠牲を求める政策には、聞く耳を持たない。

ちょうど日本の、

「103万円の壁」

と同じで、自民党と国民民主党の押し合いようなもの。

そしてNeos(リベラル派)は、国民党と社会民主党の政策のどちらにも反対という有様。

これでまとまるわけがない。

真っ先に、

「もうやってらんね!」

と匙を投げたのはNeosだった。

にもかかわらず首相は、

「国民党と社会民主党で連立交渉を続ける。」

と言った。

それから、数日後、

「連立交渉は決裂した。」

と告げネーマイヤー首相は

「責任を取って辞任する。」

と告げた。

ユダの登場

いわずもがな、これに狂喜したのは

「そもそも勝者」

だったナチス(自由党)だった。

しかし!

ナチだけでは過半数に及ばない。

だから総選挙後、

「主義主張は違っても、ナチを政権に就けてはならない!」

という点で一致した残りの政党が

「自由党とは連立しない!」

と、紳士協定を結んでいた。

ところが金と権力にめがくらんだ”ÖVP”(国民党)がこの協定を破り

「ナチと連合政権を組みます!」

と言い出した!

現代のユダの登場だ。

オーストリア 極右政党に陥落す

こうしてオーストリアも極右政権に陥落した。

欧州ではハンガリー、オランダ、ノルウエー、スロバカイ、それにイタリアに次いで6番目だ。

しかし

「オーストリアのケース」

はかなり深刻だ。

そもそもあのヒトラーを生んだ国で、国民がナチを選ぶなんて

「過去から何も学んでいない」

証拠である。

第二次大戦で筆舌に尽きる犠牲を払ったのに、またナチを政権に選ぶなんてオーストリア人はどうかしている。

来月の総選挙で、ドイツまでもナチに陥落しない事を祈るばかり。

極右政党 期待を裏切ったケース

もっとも

「ナチ党」

でもいい意味で

「期待を裏切ったケース」

もある。

それはイタリアのファシスト政党の党首、メローニ首相。

参照 : Wikipedia

 

EU委員長(一番偉い人)を選ぶ際、女史は

「極右連合」

に加わらず、現委員長のフォンデアライン女史に投票。

こうしてフォンデアライン女史は一回目の投票で過半数を制し、委員長の座を死守。

これはメローニ首相の支援がなければ、不可能だった。

当然、

「自分の利益の為」

にフォンデアライン女史に投票したわけだが、

「恩を売った」

メローニ首相はEU内で発言力を増している。

それどころかメローニ首相は

「あのマスクとトランプ」

とも仲がいい。

今後、EUは米国との貿易交渉が必要になるが、メローニ首相の発言力はますます増しそうだ。

極右政党 党首キッケル氏

が、自由党の党首キッケル氏には期待しないほうがいい。

かってキッケル氏は国民党と組んで政権を担当した際、内務大臣に就いていた。

すると各国の諜報機関が共有した機密情報が、

「ロシアに筒抜け」

になった。

そう、オーストリアの極右も何故か、

「親プーチン」

なのだ。

そんな

「親プーチン派」

の人物、もっとはっきり言えば、

「プーチンの操り人形」

が首相に就くわけだ。

西側にとっては、ロシアがシリアを失ったような大きなダメージになる。

まあ、それでもかってのヒトラーのように

「国民の総意」

で首相に就くわけだから、何が起きても自業自得。

この前ほど、大きな災いにならない事を祈るのみ。

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執筆者:

nishi

  1. […] これではオーストリアの二の舞だ。 […]

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