デルタ株によるコロナ新規感染者数は、ドイツでも増加の一歩。
「9月にはまたロックダウンか。」
と心配させる一方で、勇気づけてくれるのはイギリスの感染状況。
2週間前、ほぼすべてのコロナ規制を解除。
一時は新規感染者が5万人まで感染者が上昇して、
「ヤバイ。」
と思ったら、7月21日を境に感染者は減少の一途。
集団ワクチン接種と集団感染で、本当に集団免疫を獲得。
ジョンソン首相の、
「今やらなきゃ、いつやる?」
が成功を収めつつあります(*1)。
そのイギリスのワクチン2回接種率は58%。
ドイツは54%なので、2週間ほどで今のイギリスのレベルまで達成します。
9月に訪れるであろう
「しんどい2週間」
を辛抱すれば、コロナ規制なしでもイギリスのように感染者数下がる期待が。
株価もそこが底辺で、9月末からは上昇に転じる筈(*2)。
そこで今から
「購入候補」
を選んでおきましょう。
その銘柄選びに今週も、将来有望な会社、そうでない会社を紹介いたします。
この記事の目次
DAX デルタ株にも関わらず最高値圏まで回復
DAXは今週、
- デルタ株による感染者数の増加
- 半導体不足による生産ラインの停止
- 3,8%ものインフレ率
- 原料不足 & 価格高騰
という四重苦にも関わらず、先週の中国ショック & アマゾン ショックから回復しました。
この微妙な時期に、1.6%の上昇は立派。
ドイツ人は
「最高値まで、猫飛び(*3)しか離れていない。」
とウキウキ。
問題は金曜日の米国の雇用統計。
前予想は90万人。
これを大きく割る可能性 > 大きく上回る可能性
です。
黒字と赤字の狭間にある株は、
「救いの対岸」
に上げておいたほうがいい(*4)。
アマゾン株(もう)売却
先週、アマゾンショックを利用してアマゾン株を購入。
1週間チャートが示す通り、わずかな上昇。
「大きく下げた株は、大きく上げる。」
ものですが、当てが外れました。
なれば長く保有していても、ろくなことはない。
さっさと売りました。
利益は190ユーロにも満たない。
銀行が手数料を100ユーロも取ったので、
「雀めの涙」
ほどの黒字。
自慢の、
「これで2回しか赤字を出したことがない。」
を死守、名誉は守られました。
コメルツ銀行 またしても大赤字
アマゾン株を売った理由は、米国の雇用統計の他にもうひとつ。
それはコメルツ銀行です。
今週、決算発表がありました。
株価の動きをご覧あれ。
5%下げました~。
米国の大銀行は
「過去最高の黒字」
を出しているのに、また5千270万ユーロの大赤字。
銀行の言葉によれば、銀行の改造コストのため。
もっとも2020年の決算で、
「銀行の改造コストのため」
と称して29億ユーロの損益を計上。
なのに2021年のは上半期でさらに、(合計)9千7600万ユーロの損益を計上(*5)。
お金を吸いこむブラックホールです。
こんな会社の株は、長いポールの先っぽでも、触っては駄目!
ただもう8500株も所有しているので、買い足さないと来年になっても赤字のまま。
その資金作りでアマゾン株を売却。
く~。
RWE 2021年度行業績予測を上方修正
ドイツ最大の電力会社、RWE。
6週間前に、株を購入。
4週間後、ドイツ西部を襲った大洪水で発電所が破損、操業停止の憂き目に。
株価を大きく下げました。
そのRWEが今週、2021年度業績予測を上方修正!
“Huraaaa!”
電気代の高騰です。
皆さんもお手元にも、
「電気料金改定のお知らせ。」
が届いていませんでしたか?
物価上昇で電気代も上昇。
2021年度の電気市場での販売額は(最高でも)3億5000万ユーロと予想。
実際には半年で目標を超える売り上げ、5億2500ユーロを達成。
2021年の業績を20%近く上方修正すると株価は、
業績上方修正の日、株価はマイナスに。
1週間でもほとんど変化なし。
アナリスト曰く、
「今後も電気代が高値安定する証拠はない。」
と、かなり否定的。
年間目標を半年で達しているのに、それはないよね。
アナリストに嫌われているので、大きな上昇も当分望めません。
バイヤー 業績見通し上昇修正
かってはドイツで
「最も価値のある会社」
だったバイヤー。
今の社長になってから、株価は落ちるばかり。
今週業績発表がありました。
2021年度の業績見通しを上方修正。
すると株価は、
最大で8%も落としました。
原因は物価上昇、為替の影響、それに未だに解決してないランドアップ除草剤の癌訴訟でのマージン悪化。
金曜日は、
「お買い得!」
と買い注文が殺到、3%も上昇しました(午前中)。
“Bullenfalle”(牛の罠)
にはまらないように要注意。
アリアンツ 米国での損害賠償の危険!
欧州で最大の保険会社がドイツのアリアンツ。
本社はミュンヘン。
2週間前の洪水で、かなりの被害報告が懸念されます。
でも配当株なので、株価は素早く回復。
木曜日、いきなり7%も下げました。
国民の年金を投資している米国の投資ファンドに、
「約束を破った!」
として損害賠償を求めて訴えられたんです。
アリアンツは保険を提供する一方で、自らが投資会社を運営しています。
その投資会社が、
「安心・確実な投資」
としてアリアンツへの投資を推奨。
ところがコロナ禍で投資額が大きくマイナス。
「安心・確実な投資じゃない!」
と訴えられました。
賠償請求額は40億ドル。
告訴を受けてアリアンツは、
「収支に大きな穴が空くかもしれない。」
と規定通り、株主に報告したのが原因。
投資には危険は付き物。
投資ファンドはそれは百も承知。
問題はアリアンツの
「安心・確実な投資」
という書き方。
これはマズイかも。
アリアンツ 業績を上方修正
「アリアンツの株は当分、手が出せない。」
と思った翌日、株価が一時4%もリバンド!
アマゾン株に期待して起きなかった、リバウンド。
購入しなかったアリアンツで起きちゃった~。
原因は金曜日の業績発表。
洪水被害 & 米国での告訴にも関わらず、2021年度の業績目標を上方修正。
皮肉にも大洪水でアリアンツの洪水保険への需要が急増したんです。
業績の上方修正に加えて株アリアンツは金曜日、
「株の買い戻しプランを開始する。」
と発表。
これで株価を大きく戻しました。
株の買い戻しをするんだから、(多分)配当金は安全?
今の株価で換算して、配当率はほぼ5%+。
注意して観察しておきましょう。
Northern data 第二のワイヤーカード?
フランクフルトに
“Northern Data”
という会社があります。
主要な業務は、日本でも注目され始めたサーバー会社です。
これからますますクラウド事業が広がるので、
「濡れ手に粟」
の事業です。
2年で株価は5倍になりました。
が今週は5日間で、26%も下落。
その後も下落が止まりません。
“Northern Data”、2010年度の決算報告をまだ出していないんです。
8月に予定していた決算報告を、
「9月より前には無理」
とまた延期。
ワイヤーカードの再来?
ビオンテック どこまで株価が上昇する?
今度は上昇銘柄を紹介。
世界で最初にコロナワクチンの開発に成功した、マインツに本社を置くビオンテック社。
木曜日、
「第三回目のワクチン接種が必要になる。」
として米国政府が新たにワクチンを確保。
ただでも高価だった株価が、1日で18%も上昇。
一時は30%を超えてたよ!
1年で株価は8倍に。
ワクチン(一発)の価格も値上げされて、結構ないい値段。
単純に生産コストと販売価格だけ見れば、利益率は80%近いぼろ儲け。
これが今後、10年、20年と続くのだから、たまらない(*6)。
株価が落ちてきたら狙い目です。
ジーメンス 今年三度目の業績上方修正
最後はドイツが誇るテクノロジー会社、ジーメンスです。
本社はミュンヘン。
日本で言えば東芝、いや日立の方が近いかな?
原子力発電所から洗濯機まで、何でも作ってました。
あんまり多岐にわたるので、かなり整理されました(*7)。
携帯事業は台湾のBenQに売却後、倒産。
パソコン事業は、富士通に売却。
照明事業は”Osram”として独立。
その後中国企業に買収され、
「パテントをもらったら、もう要らない。」
と、工場閉鎖の憂き目に。
発電事業はジーメンス エナジーにまとめて、独立させました。
健康事業はジーメンス ヘルシニーアにまとめて、独立させました。
親会社の主要な収入源は
- 電車事業
- 産業のデジタル化 & オートメーション事業
- 建設事業へのインフラ提供
です。
と言っても、縁がないのでなかなかわからんです。
例えばあなたが工場で、昔ながらの方法で車の部品を製造しているとします。
「工場をオートメーション化 & デジタル化したい!」
というニーズに答えるのがジーメンス。
クラウドを使って、自動化された効率のいい生産体制を作ってくれます。
極端な話、デジタルで管理できるので、工場長が省けます。
これが好調。
今週業績発表があり、去年比で儲けは3倍の14億3000万ユーロに。
お仕事の受注は44%も増して、200億ユーロを超える仕事が溜まってます。
あまりに景気がいいので、今年三度目の業績上方修正。
1年チャートで株価をご覧ください。
配当率は低いですが、外すことが少ない会社です。
株価が一気に安くなった時には是非、押さえておきたいです。
米国雇用統計 ほぼ100万人の雇用を達成!
金曜日、米国で7月の雇用統計が発表されました。
デルタ株の影響で、
「雇用の増加に歯止めがかかったのでは?」
との不安を裏切り、予想を超える94万もの雇用が増加。
この思わぬいいニュースに、DAXは一時最高値圏に到達!
あと数ポイント欠けました。
2万800台に達した瞬間に、舵を南に取りミニプラス。
来週は最高値更新?
それとも金融緩和の緩和、
「テーパリング」
が重荷になり、修正局面に入るか、どっちもあり!
資金を準備して、株式市場の動きに備えよう!
注釈 – デルタ株にも関わらず最高値圏まで回復
*1 イギリス人は昔から、前後の見境なく敵に猪突猛進する国民性があります。
*2 8月~9月にかけて株価は落ちるとの想定。
*3 ドイツ人の言う、”Katzensprung”です。猫は長距離飛べないので、「ほんのちょっとしか離れていない。」という意味で使用。
*4 ドイツ人の言う、”rettenden Ufer”です。
*5 楽天家のアナリストは、「今が一番悪い(これからはあがる)。」と、惚れ惚れするほどの解説をしてました。
*6 「世界の非常時なので、パテントを剥奪しろ!」という左派の叫びも理解できる?
*7 ジーメンスの株を買ったヘッジファンドが、「子会社を独立させて利益率を上げろ!」と、圧力をかけたのがきっかけ。