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何故日本は国内総生産高でドイツに抜かれたのか

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何故日本は国内総生産高でドイツに抜かれたのか

日本が国内総生産高でドイツに抜かれて

「世界第四位」

に転落した。

ドイツの人口が日本の2/3である事を考えると、

「日本人は文字通り死ぬまで働いているのに、何故?」

と思わざるを得ない。

その原因を紹介します。

何故日本は国内総生産高でドイツに抜かれたのか

日本人の大好きな表現を使うと、日本は

「世界が驚く」

長時間労働の国。

こんなに長く働く国民は世界中探してもいない。

1億2500万の国民がこんなに

「身を粉にして」

働いているのに、労働時間が短い人口8300万人のドイツに抜かれる?

さらに!

私はドイツで24年も生活して

「痛いほど実感」

したのは、ドイツ人労働者の能力の低さ。

ドイツ人に

「これ、やっておいてね。」

と頼んだ仕事はまずなされない。

「なんでやらないの?」

と聞けば、

「いつまでにやればいいのか、言わなかっただろう。」

と真顔でいう。

怒りたいのを我慢して

「じゃ、金曜日までにお願い。」

と頼むとまだ何もやってない。

「なんでやらないの?」

と聞けば、

「どの金曜日なのか、言わなかっただろう。」

と真顔でいう。

又、そもそもメールを読まない。

たまに返事が来るとこちらが書いた内容を読まないで

「あてずっぽう」

で返事を書いてくる。

聞いたことに回答していないので、2回、3回と尋ねることになる。

毎回、返事に2週間かかるので、簡単な問い合わせでも1ヶ月以上かかる。

このように平均的なドイツ人の

「仕事能力」

は、日本人よりもかなり低い。

ちょうど先日、83か国で生徒の出来栄えを測る

“Pisa-Studie”

の結果が発表された。

あの日本の学校システムでも、日本人は勤勉なので5位。

一方、ドイツは25位。

この数字は私が肌で感じていた

「(平均的)ドイツ人の出来の悪さ」

を証明する。

なのにその能力の低いドイツ人が、日本の2/3の人口しかないのに、国内総生産高で日本を抜けるのだろう?

日本沈没の理由Nr.1 低賃金

日本がドイツに国内総生産高で抜かれた理由は、日本のメデイアが語っていたように

「円安のせいだけ」

ではない。

複数の要素がある。

その最たるものが日本の賃金の低さ。

私が大学生の頃、アルバイトの時給は100~1200円/時間だった。

30年後、日本の最低賃金は未だに1000円。

全く変わってない。

その一方で私がドイツに滞在していた24年間で、お給料は文字通り倍増した。

私がドイツで初めて就職した際、初任給は3000マルク(税込み)。

大体、1500ユーロだ。

今なら3000ユーロ以上もらえる。

何故日本では賃金が上がらないのか

では何故、日本では賃金が上がらないのだろう。

これも複数の理由がある。

主なものは

  • 転職に悪いイメージを持っている
  • 労働闘争をしない
  • お給与交渉をしない
  • 女性の寿退職

などがあげられる。

日本はかって

「終身雇用」

の国だった。

だから日本人は転職を

「裏切り」

と考える。

士農工商の時代じゃあるまいし。

考え方が古すぎる。

しかしお給料を上げるには転職しかない。

なのに日本人は転職に罪悪感を感じ、

「雀の涙」

の賞与アップで満足している。

もし今の仕事場でお給料を上げるには、労働闘争しかない。

が、日本人はストをしない。

デパートの従業員が

「たったの1日」

ストをしただけで、

「〇十年ぶりのスト」

と報道されるほど、日本人はストをしない。

ドイツで今、機関士の同労組合GDLが国を人質にとって、ストを実施している。

わずか数百人の労働者がドイツ全土で電車を止める。

すると経済も止まる。

まさに

「痛いところ」

を握られているので、会社側は労働組合の言うなり。

そこで給料の20%アップ、あるいは同じ給料で週4日勤務などの無茶苦茶な要求を通す。

米国ではフォードの労働者はストで

「33%の給与アップ」

を獲得した。

これが労使交渉だ。

日本には本当の労使交渉がない。

さらに!

日本女性は結婚をすると未だに寿退職をする。

が、子供が大きくなるとお金が足りない。

そこでパートで働き始めるがお給料が低い。

寿退職していなければ、倍の収入があっただろうに。

こうして

「日本人の秀いでた才能」

が安い給料で浪費されている。

ドイツには寿退職なんぞない。

ドイツ人女性は退職まで働くので、お給料もパートより断然高い。

これがGDP(国内総生産高)を押し上げるのは言うまでもない。

日本沈没の理由Nr.2 低い生産性

日本沈没の理由Nr.2 低い生産性

驚くほど

「仕事ができないドイツ人」

だが、不思議なことに生産性は日本人の比ではない。

日本は世界で24位の生産性の低さ。

チェコやスロベニアよりも低い。

一方ドイツは世界11位。

日本人よりも生産性が30%も高い。

当然、

「仕事のできないドイツ人の生産性が高いのは何故?」

と思うことだろう。

これが意外なところにあるんである。

発端は戦争?

私がそもそもドイツに行った理由は、

「なんであんなに小さな国がヨーロッパを席捲できたのか?」

だった。

第二次大戦前、

「歩兵が陸戦の女王様」

という古い観念が

「攻撃の鉄則」

だった。

自衛隊では今でも変わらない。

しかしドイツ軍は陸軍の主役を戦車に変えたことが、

「大躍進」

に大いに寄与した。

が、最大の要因はその生産性だった。

アフリカ戦線からギリシャ、フランス、そしてソビエトまでドイツ軍は欧州全土で躍進した。

今のロシアのウクライナ侵攻を見て欲しい。

あのロシアでさえ、北朝鮮からの支援がなければ十分な弾薬さえも前線に供給できない。

当時ドイツは欧州全土で戦うドイツ軍だけでなく、同盟国にドイツの武器を提供していた。

一体、あんなに小さな国でどうやって膨大な量の武器を製造することができたのか?

その答えは

  • 完全請負制
  • DINの導入

のふたつ。

軍需相のシュペーアは政府が受注量を決めて発注するのではなく、産業に

「生産すれば全部買い取る。」

という自由采配を与えた。

経済界は大儲けをするために創意工夫。

これで生産性が一気にあがった。

加えて導入されたのが

“DIN”

だ。

さまざまな工場で生産されるので

“DIN”(規格)

を統一する必要があった。

そこでドイツ全土はおろか、占領地でも同じ規格を導入した。

こうしてドイツは米国、イギリス、ソビエトを相手にして戦えるほどの武器・弾薬を製造した。

一方、日本では当時、

「風船爆弾」

に象徴されるように労働者の精神力で対抗した。

これで生産性があがるわけがない。

ドイツ人の生産性が高いのは何故?

ドイツは戦争で負けたが、戦争中に導入された生産方法を堅持した。

瓦礫を撤去して工場を建て、工作機械が作動を始めるとドイツでは

「嘘!」

のような生産性の高さで世界の市場を席捲した。

「ドイツ製の機械は高いが生産性がいい。」

と、ドイツ製の機械は世界中で売れた。

これに加えてドイツ人は、

「規格を制する者が市場を制する。」

と早いうちから理解して、世界で通用するスタンダードを作り上げてしまった。

わかりやすい例を挙げよう。

私たちが日々手にする

「A4」

の紙。

これはドイツで1922年に導入された。

その規格が100年経っても、世界中で使用されている。

あるいは証明写真。

ドイツで

「証明写真」

と言えば3,5cn x4,5cmのひとつだけ。

だからわざわざサイズを言わず、

「証明写真を持ってきて。」

とだけ言う。

「サイズは?」

と聞くのは日本人。

あるいは家電。

日本で食器洗浄機やオーブンを買うと、その規格はメーカーによってさまざま。

ドイツではどのメーカーでも同じ寸法。

サイズなんぞ図らないで、新しいコンロ、食器洗浄機やオーブンを買える。

規格は何も工業製品だけではない。

職人の分野でも

「見習い工はこれを出来る事。」

というドイツ全土で通用する規格を導入。

だからアウグスブルクの見習い工が、デュッセルドルフの見たこともない会社で働ける。

仕事内容が同じなのだ。

日本だったら職場によって異なる。

ありとあらゆる場所で規格を導入しているので、無駄がなく生産性が高くなる。

日本では労働者の高い能力に依存しているが、ドイツの労働市場は

「馬鹿でも仕事ができる」

ように規格化してしまっている。

だから仕事の無駄が(少)なく、仕事時間が短いのに生産性が高くなる。

一方、日本人は

「枝葉のこと」

に執着、どうでもいいことに長時間を費やす。

よく言えば

「気配り」

だろうが、生産性を下げる結果となっている。

日本沈没の理由Nr.3 国内市場に頼る日本企業

ドイツ企業は

“DIN”

のお陰もあって、世界でその製品を売っている。

別の言い方をすれば、他に生き残る道がない。

ドイツ国内市場は、東ドイツ吸収までたったの人口63万人市場だった。

その小さな市場に特化した製品を作っても、生き残れない。

だからEU全域で使える製品を開発する。

が、日本には1億2500万人の市場がある。

困った(嬉しい)ことに、日本企業は国内市場だけで生き残れてしまう。

だから日本国内でしか販売できない製品ばかり作る。

最たる例が白物家電。

日本の冷蔵庫、洗濯機、掃除機、そのどれひとつとしてドイツでは売られていない。

それでも

「まだ儲かっている」

間はそれでもよかった。

ところが海外で

「ブイブイ」

いわした製品が入ってくると、日本の家電製品は売れなくなった。

いままで

「儲かっているのに、なんで戦略を変える必要がある。」

と、ふんぞりかえっていた日本企業は撤退に次ぐ撤退。

初戦の好成績で調子に乗り、あとは白旗を上げるまで撤退に次ぐ撤退。

第二次大戦と同じ経過だ。

例えば東芝はボロボロになり、テレビ事業を中国企業に売却。

それだけでは

「焼け石に水」

なので

「ひれ肉」

の半導体事業を売却。

最後は身売り。

シャープも同じ運命に。

「残る日本人の誇り」

であるパナソニックも、次から次に事業を手放している。

欧米では、

「次はパナソニック」

と言われている。

まさに日本企業総崩れである。

それもこれも世界を見ず、

「井の中の蛙」

で生きて来たからこそだ。

日本沈没の理由Nr.4 日本人の誤った誇り

ドイツ滞在中、何度もイギリス人と遭った。

こんなに近いのに、ドイツ人とは考え方が明らかに違い、

「大英帝国は世界一」

と勘違いしている英国人が多かった。

皆さん、

”Made in England”

の製品、何か浮かびますか?

ロールスロイス?

BMWに買収されました。

ジャガー?

インド企業に買収されました。

ローバーは?

インド企業に買収されました。

なのにイギリス人は未だに、

「大英帝国は世界一」

と勘違いしている。

全く同じことが日本人について言える。

何かあれば、

「やはり優れた日本製。」

という。

今、どれだけ日本製の家電製品が残っているだろう。

パソコンからテレビまで主力は外国製だ。

そもそも

「日本製が優れていた」

のは90年代まで。

21世紀から韓国勢に抜かれた。

今では続々と中国勢に抜かれている。

なのに日本人は

「やっぱり日本製が一番。」

と現実をみようとしない。

英国人と全く同じ。

ちゃんと現実を受け止めて対抗策を実施すれば、

「まだ助かるかも?」

という企業がたくさんある。

例えば鈴木自動車。

が、何を言っても駄目。

イスラム国の原理主義者のような頑固者が会社のトップを占めている。

スズキ自動車、とりわけオートバイ事業に未来はない。

電気自動車の敗北

日本人の誤った誇りを象徴するのは、日本が完全に寝過ごした電気自動車事業。

欧州では8年も前に電気自動車に舵を切った。

すると日本人は、

「日本のハイブリット技術を出し抜くための、欧州の汚い戦略」

と考えて、一向に対抗措置を取らなかった。

第二次大戦時の

「鬼畜米英」

と同じ考え方で、日本人はとりわけ被害妄想が激しい。

「ハイブリット技術では、世界で取り決めた二酸化炭素排出量の削減基準を守れない。」

という簡単な論拠を無視して感情に走る。

お陰で日本の自動車業界は

「世界一の自動車市場」

である中国市場で大苦戦。

三菱自動車はついに撤退。

「世界の本田」

でさえ、中国市場からの撤退を机上演習中。

もう

「ジリ貧」

から

「ドカ貧」

の転換点に来ているのに、未だに現実逃避。

皆さん、スーパーに車で買い物に行って

「急速充電柱」

を何本見かけます?

一本もないですよね。

ドイツならそこら中に急速充電柱が立っており、駐車中に充電できてしまう。

日本政府は

「購入補助金だけ出せばいい。」

と考えており、急速充電柱の整備をしない。

だから誰も電気自動車を買わない。

すると日本人は

「日本で誰も買わないから、世界でも同じ。」

と誤った結論。

結果、日本の自動車業界は負け組だ。

日本沈没の理由Nr.5 情報収集能力の低さ

多くの日本人は英語さえ解さない。

ただでも

「島国」

という孤立された環境にあるのに、海外情報を拒絶。

結果、

「ガラパゴス現象」

が起きて、世界で例をみない社会構造が出来上がっている。

上で述べた長時間労働もそのひとつ。

これだけインターネットが発達しているのに、日本人は日本語オンリー。

これで世界の動向がわかるわけもない。

これを象徴するのが、

「世界が注目した日本の出来事」

というテーマ。

日本人は

「そんなに日本が人気なのか?」

と勘違い、世界が日本に感嘆していると勘違いして悦に入っている。

まさに裸の王様。

次はインドに抜かれる日本

次はインドに抜かれる日本

「いやいや、それでも日本は世界で第四の経済大国だよ!」

と自信満々の貴方。

3年後にはインドに抜かれて、世界第五の経済大国になるので、

「覚悟」

しておいたほうがいい。

その次はインドネシアに抜かれるだろう。

吹くか神風?

今回、このテーマで記事を書くことにしたのは、日頃出会う日本人労働者の優秀さ、勤勉さに心を打たれたから。

それこそドイツ人に

「爪の垢を煎じて飲ませたい。」

と思うほど、天と地の違い。

なのにその能力と努力が

「二束三文」

の薄給で無駄遣いされているのを見て、悔しくて仕方ない。

あの優秀な日本の労働者と勤勉さがあれば、火星探査ロケットだって作れてしまう。

なのに国が、政治家が、会社が

「あの様」

なので、日本はまた負け戦のど真ん中。

その昔、日本人は

「政治は二流だが、経済は一流」

とうそぶいていた。

今や、

「政治は茶番、経済は奈落の底にまっさかさま。」

だ。

それとも天照大御神が現れて

「神風」

で、敵を一掃してくれるだろうか?

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執筆者:

nishi

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