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今度はデジタル無線機スキャンダル 国防大臣マジで怒る!

投稿日:2023年10月26日 更新日:

今度はデジタル無線機スキャンダル 国防大臣マジで怒る!

ドイツ軍の

「癌巣」

は調達局。

その調達局が今度やらかしたのは、デジタル無線機スキャンダル。

国防大臣も怒っている。

一人で

「やっぱりドイツ~。」

と喜んでいないで、皆さんとこの喜びを共有したい。

デジタル無線機の利点

デジタル無線機の利点

ドイツでは警察や消防などでデジタル無線機が導入されている。

その利点は

  • 安全性
  • 安定性
  • データ量

にある。

ハリウッド映画に出てくるような警察のアナログ無線機では、ニュースを最初に報道したい報道機関はもとより、犯罪組織にまで通信内容が筒抜け。

これがデジタル無線機になると警察の無線機を奪わない限り、盗聴は不可能になる。

くわえて格段に聞き易くなる。

そしてデジタル無線機になると、音声ばかりかデジタル電報も送れるようになる。

絶対に外部に漏れてはならない命令などを、このデジタル電報で送れば、安全性がさらに増す。

当然、そんな便利な無線機は軍隊に導入されるべき!

そこでNatoでは、

「2025年までにデジタル無線機の標準装備」

を加盟国に通達。

期限まで2年を切った2023年には、加盟国の軍隊ではとっくに標準装備なっていた。

勿論、例外もある。

それがドイツである。

ドイツ軍の癌巣 調達局

ドイツ軍で使用される装備品は官舎の毛布から戦車まで

“Bundesamt für Ausrüstung, Informationstechnik und Nutzung der Bundeswehr”

で調達される。

名前が長いので

“BAAINBw”

が略称。

でもその略称が長すぎ。

そこでここでは

「調達局」

と言います。

でも長いのは名前だけじゃないんです。

調達局の本部は

「プロイセンの伝統」

を引き継いで、今でもコブレンツにある。

なんと6800人もの

「公務員」

が働いている

「ドイツで一番デカイ役所」

でもある。

その特徴は仕事の遅さ。

どんなに緊急に必要な装備でも、

「届くまで10年」

が相場だ。

現国防大臣は今年の2月に就任したばかりだが、

「癌巣」

が何処にあるか、就任前から熟知していたようだ、

というのも就任早々、調達局のトップを更迭した。

加えてドイツ軍のトップ

“Generalinspekteur”

も入れ替えた。

これで装備品の調達のスピードがあがる筈だった。

今度はデジタル無線機スキャンダル

ほぼ10年前、調達局がドイツ軍の装備品としてドイツメーカーに、

「デジタル無線機」

を13億ユーロ(2000億円)もの大金で発注した。

これが今年になって次々と納入されてきた。

これを車両に装備されているアナログ無線機と入れ替えようとしたら、

「サイズが合わない!」

ことが判明した。

なんと調達局は、

「既存の車両に埋め込めるかどうか」

をチェックもしないで、2000億円もの大金を使っていた。

輸送用のトラックから装甲車、戦車まで、

「相応の改造」

が必要なのだ。

これにどれだけ金と時間がかかるか、言うまでもなし。

メデイアが

「ドイツ軍、今度はデジタル無線スキャンダル!」

と報道するも国防大臣は、

「そんなことはない。誇張報道は謹んで!」

となだめようとした。

国防大臣マジで怒る!

ところがである。

「恰好は悪くてもいいから、とにかく車両に埋め込め!」

と命令が下達されたが、

「無理なものは無理!」

と現場から返事が返ってきた。

これによりリトアニアに派遣されているドイツ軍の

「Nato遠征軍」

が、援軍と無線連絡できないという

「恥」

が表面化。

おまけにNato派遣軍の指揮権はドイツ軍にあるのに、

「交信できない。」

という赤っ恥。

ここにきて国防大臣は、

「私が就任する前の時代の調達であった。」

と責任を回避しよとした。

しかし、

「調達を急げ!」

とせかしたピストーリス現国防大臣にも、

「責任の一端。」

がある。

記者に

「車両に合うかどうかチェックもしないで、2000億円もの注文をそもそも出す?」

と聞かれた大臣は、

「少なからず怒ってる。」

と正直に回答した。

調達局の改革を命令!

皆まで言えば、調達局が注文したデジタル無線機、

  • すぐに熱くなるので冷却が必要
  • 電池がすぐになくなる

という欠点も露出。

米軍ならまずは調達予定の装備品は半年から1年間かけて、

“auf Herz und Nieren”(使用環境に合わせた徹底チェック)

をする。

が、明らかに調達局はこれをしないで、役人が

「紙に書かれたスペック」

だけ見て注文を出してしまった。

怒った国防大臣はすぐさま

「調達の過程には役人だけでなく、軍と産業も参加する。」

と改革を命令した。

今後、ドイツ軍は1000億ユーロの

“Sondervermögen”(特別軍事予算)

で大量の装備品を買い入れる。

今回のスキャンダルが繰り返されなければいいのだが、、。

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執筆者:

nishi

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