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党内左派の復讐 SPD マニフェスト で炎上中

投稿日:2025年6月19日 更新日:

今回取り上げるのは、「SPD マニフェスト(問題)」です。

簡単に言うと党内左派が、

「プーチン寄りの政策に舵を取れ!」

との声明を、党大会前に党員に向けて配布。

大炎上中です。

以下に詳しく紹介します。

SPD(社会民主党)

そもそもSPD(社会民主党)は19世紀、

「産業革命のど真ん中」

「労働者の仕事・生活環境の改善」

を目標に掲げて結成された。

参照 : SPD

 

当時は、子供が労働環境の過酷な炭鉱で働かされるなど、

「搾取」

の時代です。

これを見たカールマルクスが

 

労働者革命を呼び掛けて共産主義を唱えるほど

「悲惨な時代」

だったわけです。

その呼びかけを真に受けて

「共産革命」

を実行した

「母なるロシア」

に対して

「憧れの念」

を抱いているのが、SPDの党内左派。

もっとも最近では

「党内中道派」

がメインストリームです。

が、未だに

「ガチの共産主義者」

を、多く抱えているのが社会民主党です。

控え目なウクライナ軍事支援

2022年2月、ロシアが兄弟国、ウクライナに軍事侵攻

ウクライナ侵攻始まる! 口先だけの西側の対ロシア経済制裁

ドイツの(前)国防大臣は、

「ウクライナ軍事支援として5000個のヘルメットを送る。」

「これはドイツ政府のウクライナに対する支援の証である。」

とドヤ顔。

 

世界中で、嘲笑の対象になった。

その後も、ドイツのウクライナ軍事支援はかなり消極的。

それはショルツ首相のアドバイザー(官房長官)が

「党内左派」

だったからです。

結局は世論、それにNATO加盟国パートナーからの

「激励」

により、ショルツ首相は次第に考えを修正していきます。

しかし、首相は党の国会議員団長に

「ロシア寄りの政治家」

で知られるミュテニヒ氏を起用。

 

すなわち!

ショルツ首相は最後まで、党内左派の影響下にあったわけです。

党内中道派のカムバック

2025年2月の総選挙でSPDは

「これ以上ない」

くらいにぼろ負け。

2025年総選挙 予想通りの勝者と敗者?

その責任を負うはずの党首クリンクバイル氏は、敗北の責任をもうひとりの党首であるエスケン女史の責任に

「すり替える」

ことに成功。

そのエスケン女史は勿論、党内左派。

「引退する前に、一度でいいから大臣になってみたい。」

という彼女の

「最後の望み」

も聞き入れられず。

来週の党大会で

「エスケンおばさん」

「責任を取って辞任」

することになっている。

クリンクバイル党首は同時に、

「ガチの新ロシア派」

だった国会議員団長のミュテェニヒ氏も、

「敗戦の責任」

を負わせて解任した。

後任は同じく党内左派ながら、

「話ができるレベル」

のミルシュ氏を起用した。

党内左派の復讐 SPD マニフェスト

党内左派はクリンクバイル党首の人事を、

「党内左派は冷や飯を食わされた。」

と理解した。

まあ、間違っていない。

そこで党内左派の急先鋒で知られるシュテグナー議員(ページトップ写真の人物)、それに要職を失ったミュテェニヒ氏が

「音頭」

をとって

SPD マニフェスト(声明文)

を作成、公表した。

参照 : Manifest

マニフェスト の内容

興味がある方は、マニフェストを読んでください。

そんな気がない人に要約すると、

  1. ドイツの軍事力の増強は誤り
  2. ロシアとの対話で問題解決を
  3. 中距離ミサイルのドイツ駐留は誤り

が大きな柱です。

まさにプーチンが主張している内容と100%合致。

そもそもシュテグナー議員は、ロシアがウクライナに侵攻する前、

「ロシアは侵攻しない。ロシアを批判する一方的な報道は辞めよ!」

と主張。

そのすぐ後にロシアが軍事侵攻。

なのに今日まで

「誤り」

を決してみとめない

「ガチの左派」

である。

ノーベル平和賞が欲しいあのトランプも

「ウクライナ侵攻の調停」

に挑戦したが、ロシアは和平に全く興味を見せなかった。

そのロシアと

「対話で問題解決を!」

と主張する党内左派。

その主張がどれだけ現実と乖離しているか、わかってない。

加えてロシアがウクライナで勝利すれば、次はバルト三国だ。

ドイツにも危険が迫っているのに、ダチョウのように現実を拒否。

ヒトラーを融和政策でなだめることができると考えた、チェンバリンにそっくりだ。

マニフェスト で炎上中

一番厳しくマニフェストを批判したのは、国防大臣(SPD)のピストーリウス氏。

「侵攻を始め、対話を拒否しているのはロシアなのに、その逆を主張する現実離れた内容。」

と、厳しく指摘した。

本来は党内左派である国会議員団長のミルシュ氏でさえ、

「賛同できない。」

と、その主張を否定。

その一方でSPDの幹部は、

「シュテグナーとミュテェニヒがロシア寄りなのは、誰もが知っている事実。何も目新しい事はない。」

と、問題の沈静化を図っている。

しかしすでに国民には、

「SPDは党内でさえ意見の一致ができないのに、国政なんか任せられない。」

とのイメージが広がった。

今回のマニフェストはまさに

「自分の足を撃つ」

ような間抜けな声明だった。

両者共に60代。

こんないい年して、

「何も学んでいない。」

なら、今後、何を期待できるだろう?

もっとも日本にも備蓄米を

「動物の餌」

と言い炎上する国会議員が、後を絶たない。

他の議員が同じ声明で炎上したのに、一向に学ばない。

ドイツでも国会議員は

「隔離された世界」

で生きているので、現実が見えないようです。

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執筆者:

nishi

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