今回はドイツの交通法規を取り上げます。
それも事故に遭った際に
「どうすればいいのか？」
という点に関してです。
ドイツで車の運転をする前に、是非、読んでおいてください。
この記事の目次
ドイツの交通法規 – 事故に遭った際の正しい行動
車を運転すると事故は避けられません。
自分がぶつけなくても、ぶつけられることがあります。
横の車が安全確認をしないで、車線変更。
横から
「ドカン！」
なんて日常茶飯事です。
ではここで質問。
警察に通報？
違います。
怪我人が道路に転がっているのに警察に、
「今、事故があってね。」
なんて暢気に通報するのではなく、怪我人の介護が最優先です。
交差点で衝突しているのに、そのまま交通を封鎖して警察を待つと罰金を課されることもあります。
事故の直後に集まってくる野次馬の中から事故を目撃している人を探し、証人になってくれるようにお願いして、車を移動させましょう。
居なければ、事故現場の写真でも可。
物損事故の処理
「警察を呼んで現場検証をしてもらわないと、保険が降りない。」
と考える人が多いです。
でも、ただの物損では警察は呼ぶ必要がありません。
とりわけ
- 被害額が低い場合
- 事故の状況がはっきりしている場合
は、お互いに情報を交換しておわりです。
この目的の為に、
「事故の際はこの紙を事故の相手に渡してください。」
という用紙が車の保険会社から送られてきています。
これを相手に渡し、自宅に帰ってから、
「車をぶつけたので、事故処理をお願いします。」
と保険会社に報告するだけ。
それは警察を呼ぶと、
「あなたが悪い。」
と外国人の責任され、事故の調書の左側にあなたの名前を記入します。
そして罰金を請求されます。
「えっつ？罰金？」
そう、ドイツでは事故を起こすと罰金を課されます。
ですから軽度の物損では警察を呼ばないほうが賢明です。
とりわけあなたが事故を起こした場合は。
そして警察の調書の左側に記入されている人物が、事故を引き起こした張本人という判断です。
間違っているケースも少なくありません。
でも警察の判断を覆すには証人を探して、裁判所に訴える必要があります。
当て逃げに注意！
日本人が知らずに犯罪を犯してしまうのが当て逃げです。
駐車の際に、
「ドン！」
と車を駐車している車にぶつけて、
「ここに連絡してください。」
とメモを残してその場を立ち去ると
すると刑罰が非常に重くなり、免許証停止処分をくらいます。
「でも、ちゃんと名前と住所を残してきました。」
と怒りさめやらぬ日本人。
ドイツの交通法規では、相手が居ない場所で物損事故を起こした場合、相手が帰って来るまで、あるいは警察が来るまで
なっています。
連絡先を残して事故現場を離れると、当て逃げになります。
「じゃ、車の所有者が戻ってくるまで、何時間でも待てというのですか！」
と怒りさめやらぬ方。
原則、その通りです。
あるいは現場から警察に連絡、現場で警察の到着を待ちます。
じゃ、警察に連絡するために現場を離れたらどうなの？
厳密に言えば、この場合でも当て逃げになります。
でも警察に電話すると証拠が残るので、事故処理をする警察官の一存で
「逃げたのではなく、警察に連絡をしに行った。」
と判断され、免停を逃れる可能性が高いです。
ドイツの交通法規 – 救助義務
次のケースです。
事故の加害者でも被害者でもなく、
現場の写真を撮って、
「事故目撃！」
とSNSに載せる？
それとも見て見ぬフリ？
救助を行わず、ひっくり返っている車を通り過ぎると、これまた罰金+点数までもらえます。
罪逃れに、
「前の車だって、止まらなかったじゃないか！」
と言うと、
「前の人が信号無視をして事故を起こしたら、あなたもここに突っ込みますか？」
と警察に言われ
「ぐうの音」
も出て気ません。
ただし！
「今日はこれから就職の面接がある。」
とか、
「空港に向かう途中です。」
というやむにやむをえない事情がある場合は、情状酌量してもらえることもあります。
罰せられたくなければ、事故現場で車を停めて
“die erste Hilfe”（最初の救助）
を行う事が欠かせません。
あなたが事故に遇って大怪我をしているのに、車が通り過ぎていったら、うらめしいですよね？
警察の誘導尋問に注意！
ドイツの交通法規と言えば、まずは交通違反。
違反を犯して捕まった際の
「正しい反応」
もも重要です。
警察に車を止められると、
実はコレ、警察のトリックです。
「スピード違反でしょ。」
なんて余計な事を言うと過失ではなく、
「故意にスピード違反を犯した。」
として罰金が倍。
すると警察官の検挙率につながり、とってもおいしい。
警察は毎月、検挙目標を上げていますので、警察の手口にはまらないようにしましょう。
罰金は自治体の大事な収入源
加えて罰金は地方自治体の大事な収入源です。
街中の
“Blitzer”（スピード違反、信号無視を写真撮影する装置）
は、自治体が運営しています。
お金のない自治体は監視カメラをたくさん設置して、収入を改善しています。
デュッセルドルフでは空港近くの46号線が、そんな罠。
ケルンではライン川にかかる橋の上。
悪態は厳罰
ドイツの警察はとっても高飛車なので、嫌味のひとつも言ってやりたいです。
ドイツ語ができれば。
これをやってしまったのがドイツの有名なサッカー選手。
警察に”Arschloch”（馬鹿野朗）って口を滑らしたので、罰金1万ユーロ。
そこまではっきりした罵詈雑言でなくても、
“Grüne Zwerge”（緑の小人）
なんて嫌味でも、侮辱罪で罰金刑を課せられたドイツ人もいます。
悔しくても悪口はぐっと飲み込んで、
「なんで止められたのか、全然わかんない。」
というと警察は心の中で地団駄を踏みます。
もっといいのは、英語もドイツ語もできないフリをすること。
弁護士もいないのに、余計なことは言うべきではありません。
ドイツの交通法規 – 駐車違反車両のレッカー移動
最後に違法駐車に関して。
駐車場の入り口/出口に違法駐車されて、車を車庫に入れられない場合どうします？
日本人なら、
「警察を呼んでレッカー移動してもらえばいい。」
と考えます。
ところが、そうは問屋がおろさない。
ドイツでは違法駐車で車庫から車が出れない場合はレッカー移動が正当化されます。
でも違法駐車車両により車庫に入れない場合は、
“Pech gehabt.”（残念でした。）
という事で、レッカー移動させることはできません。
勿論、自分の費用で移動させることは可能です。
でも、
「違法駐車の運転手から料金を徴収してください。」
という方法は無理です。
レッカー移動を依頼したあなたに、レッカー移動費用を払う必要があります。
そこで、
「毎日、所有地に無断駐車されて困っている。」
という方にアドバス。
無断駐車の車両を自費でレッカー移動させます。
車の所有者が戻ってくると、
「レッカー移動の費用を払うなら、どこに車を移動させたか教えてあげる。」
という方法は恐喝のように見えますが、最高裁判所は合法と判断しています。
スーパーの駐車場の無断駐車
別のケースではスーパーの駐車場に無断駐車したドイツ人が。
「レッカー移動費」
として、250ユーロもの費用を請求されました。
これを払う必要があるのか？
これも最高裁が、
「一般的な料金の請求はできるがそれ以上は不可。」
と判断しています。
一般的な値段とはざっくり言って125～175ユーロ。
ただし！
身体障害者専用の駐車場に駐車してレッカー移動されると、罰金の80ユーロ（程度）がレッカー移動費用に上乗せされます。
間違っても身体障害者専用の駐車場は悪用されませんように。
