今回のテーマはドイツで加入する 自動車保険 です。
言わずもがな、日本とシステムが異なる上、全部ドイツ語。
「どれに加入したらいいのかわかんない！」
から始まって
「何処を見ればいいのかわからない。」
という人も多い。
そこで今回はデユッセルドルフの保険代理店でも働いたことがあるドイツの達人が、ドイツで加入する自動車保険について解説します。
この記事の目次
自動車保険 伝説
初めてドイツで自動車保険に入ると、保険料がとても高い。
日本でも
「初めての方」
は保険料が割高にはなっているが、ドイツの比ではない。
日本で自動車保険に入っていた場合は、対抗策があるという。
なんでも、
- 日本の保険屋さんから保険加入証明書を英文で発行してもらい
- これをドイツの保険屋に提示すると
- 日本での等級が認められてドイツでも安く保険に加入できる。
という。
ちなみに日本で自動車保険に入る際、ドイツで加入していた保険の加入証明書を提示した。
すると、
「外国の書類は無効です。」
と、島国だけあってとても冷たい。
なのに日本の保険書類がドイツで保険に加入する際に使えるなんて、本当なんだろうか？
それともこれも
「ドイツ伝説」
のひとつだろうか。
結果は、、
実際に試してみました。
日本のチューリヒ保険の保険加入証明書をドイツの自動車クラブ、ADACで提示したんです。
すると、
との事。
それ、いわんこっちない。
皆まで言えば、このような事態をあらかじめ想定。
かってADACの自動車保険に加入していた書類を持参していた。
これを提示すると、
「記録が残っているので、当時の等級で保険に加入できます。」
とのこと。
当時の等級は”SF12″。
日本の無事故証明書よりも遥かに等級がいい。
ちなみに
“SF”
とは、
“Schadenfreiheitsklasse”（事故なしクラス）
の略。
“SF12”
は
「12年間事故なしの等級」
という事です。
ドイツで加入する 自動車保険
やっとここから本題です。
ドイツで加入する自動車保険は
- “Haftpflichversicherung”（強制保険）
- ”Vollkasko”（車両保険）
- “Teilkasko”（盗難保険）
の3つです。
以下に解説します。
“Hatftpflichtversicherung（強制保険）”
日本では強制保険にさえ入っていない人がいる。
そんな人が運転する車に惹かれたら、
「運が悪かったですね。」
となる社会のシステムが理解できない。
ドイツではそもそも強制保険に入っていないと、ナンバープレートが貰えない
「鉄壁」
のシステム。
これは強制保険なので、どこで加入しても同じ価格。
“Vollkasko”（車両保険）
珍しく日本の車両保険がそもまま提供できるのが
”Vollkasko”
です。
自損事故で車を修理したい方、あるいは自損事故で自身や同乗者の医療費保険に入りたい人はこちらに。
言うまでもなくべらぼうに高いです。
“Teilkasko”（盗難保険）
最近は日本でも自動車の盗難が増えてきました。
が、ヨーロッパの比ではありません。
高級車を買ったら、この盗難保険は欠かせません。
盗難保険とは言いますが、
さらに！
早朝に車を運転していると鹿が道路を横切ります。
これをはねてしまった際、車の修理に保険が効きます。
個人的には絶対に入る自動車保険です。
自動車保険 更新日
極端な例を挙げると、12月31日に初めてドイツで自動車保険に加入する。
等級は
“SF0”
で、保険料が馬鹿高い。
でも1日無事故で過ごせば、翌日からは
“SF1”
という安い等級になる。
私の場合は車を登録したのが8月10日。
保険期間は4ヶ月間となる。
しかし”SF12″にも関わらず、”Haftpflichtversicherung”（強制保険）が191.26ユーロ、”Teilkasko”（盗難保険）が110.82ユーロ、合計302.08ユーロと立派なお値段。
これが12ヶ月だったら、その3倍の900ユーロ。
流石、BMW。
2年前はメルセデスEクラスが12ヶ月、400ユーロ程度の保険料で済んだので、結構お高い。
自動車保険 解約方法
あっと言う間に時は流れてすでに11月。
上述の通り、車の保険は1月1日から新しく始まる。
もし保険を解約するなら、11月30日までに保険を解約する必要がある。
日本のように電話やメールでの解約は（通常は）不可。
書面で通知する必要がある。
仮に電話で可能でも、書面で解約すべき。
電話で、
「保険の解約、了解です。」
という言葉を信用していると、新年になって解約した筈の保険会社から保険証が届きます。
そしてちゃっかり保険料が引き落とされます。
「電話で解約したじゃやない！」
と怒っても、
「知りません。」
と言われます。
口約束は無効なり
保険会社の人間が、
「絶対に大丈夫。」
と言っても、絶対に信用しては駄目です。
これは客を騙して保険を継続する常套手段です。
すると、
「11月30日までに解約の書類を送ればいいのですか。」
とお客さん。
解約の書類は、11月30日までに保険会社に届いている必要があります。
「29日に送ったので、30日には届いている筈！」
では駄目です。
「筈」ではなく、確実に届くように11月始めには、解約の書類を送くってください。
そこで私は自動車保険を解約する為、11月の1週目に解約の手紙を郵送。
2週間待っても返事が来ない。
そこで電話で確認すると、
「解約の通知は受け取りました。」
との事。
「書面でコンファームしてくれますか。」
と頼むと、
「わかりました。」
との事。
念のため、
「あなたの名前を教えてください。」
と聞いておこう。
名前が聞き取れないので、
「アルファベットでお願いします。」
と確認。
そして名前と日付と時間をメモ。
あとで
「解約した、していない！」
というトラブルになった際、
「○月○日○時に○○さんと話ました。」
と、このメモが立派な証拠になるからだ。
さらに保険会社の人間にも、
「この人は証拠を取っている。」
とわかるので、ちゃんと仕事をする。
さもないと彼女の責任になるからだ。
こうして解約の通知を送ってから3週間して、ようやく解約のコンファームをゲット。
安い自動車保険は落とし穴
ネットで検索すると、”HUK”の保険料が異常に安い。
1年で400ユーロ少々の保険料。
“ADAC”の保険料の半額以下。
この保険料の差は一体どこから来るのだろう?
すでにここで何度も紹介している通り、保険料が安いのは「お得」なのではなく、保証を削っているのが理由です。
原因を究明すべくネットで検索。
すると出るわ、出るわ、苦情の山。
- 「返事が全く来ない。」
- 「誰も電話を取らない。」
- 「保険料を払わないので、訴えた。」
など苦情の宝庫。
事故を起こして、
「超～ブル～。」
なときに、保険が役に立たないと精神的なダメージが大きい。
この保険はパス。
検索で目に付いた保険が”AllSecure”。
聞いたことがない。
外国の保険会社？
ぐぐってみるとアリアンツの子会社で、
「アリアンツは保険料が高い。」
という客に向け、支店を節約してオンラインでのみ保険を提供する保険会社だ。
編集後記
“AllSecure”は結局、親会社のアリアンツに統一されました。
保険選びの注意点
最後に保険選びの注意点を紹介。
往々にして、
「車の修理は保険会社の指定する修理工場で。」
を選択すると、保険料が安くなります。
これは保険会社が修理工場と契約して、安い値段で車の修理を請け負ってもらうので、このような契約にすれば保険料が安くなります。
もっとも町の外れの修理工場だったり、いい加減な修理をする修理工場も多いので、ここで妥協するかどうか微妙。
車を高く売りたい方は、正規代理店で修理できるように、自分で修理工場を選べる契約の方がよい。
動物との衝突事故
大事なのが”Teilkasko”の補償範囲。
通常この保険で保障されている
「動物との衝突」
は、
「毛の生えている動物。」
に限られいます。
例えば猪や鹿。
もし農家から豚が逃げ出して、これに衝突しても保険料は、
「毛が生えていませんから、保険は効きません。」
と言われて終わりです。
コツは毛の生えていない動物との衝突、さらには “grobe Fahrlässigkeit”（過度の落ち度）が原因の事故でも、保険が効く内容を選ぶこと。
しかし保険範囲を広げれば、保険料が高くなる。
保険料は変動する！？
この保障内容で、修理工場を自由に選べるを選択すると、”SF13″で合計536ユーロの保険料。
「明日決めよう。」
と思っていたら、翌日には保険料が10％も上昇。
そう、保険料は毎日、変動します。
自動車保険が一番安いのは11月です。
11月中に保険の解約、そして新しい保険の加入をお忘れなく。
「去年買えたばかりだから、今年は変えなくていいや。」
と油断していると、保険料が上昇します。
これは保険会社の常套手段。
安い料金で客を獲得、2年目から高い保険料でしっかりお金を稼ぎます。
「しまった！」
と思われた方、あきらめるのはまだ早い。
保険会社が保険料を上げたら、保険を解約する権利が生まれます。
すぐに解約の手紙を書いて、安い他の保険に加入しましょう。
