ドイツの達人になる 就職雇用

消化できなかった有給休暇 消滅するの?

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消化できなかった有給休暇 消滅するの?

ドイツ人が三度の飯よりも好きなのは、

“Urlaub”(有給休暇)

です。

ドイツではその有給休暇は日本のように

「あっても取れない物。」

ではなく、本当に全部消化できます。

が、稀に有給休暇を消化できないケースもあります。

そんな時はどうすればいいのか、労働者の権利を解説します。

“Bundesurlaubsgesetz”(ドイツ有給休暇法)

ドイツ人にとって有給休暇は、と~っても大事な物。

この為、休暇については

“Bundesurlaubsgesetz”(ドイツ有給休暇法)

にて細部まで決められている。

 

日本ではどうなっているのか知らないが、有給休暇のための法律があるのはドイツくらいでは?

法的最低休暇日数

そもそもドイツで就職すると、一体、有給休暇はどのくらいもらえるのだろう?

法的最低休暇日数は、そのドイツ有給休暇法にて決められており、

週5日働く人の法的最低休暇日数は、年間で20日。

 

と決まっている。

 

これはあくまでも、

「最低」

の日数です。

最低賃金と同じように、法的最低休暇日数を提供する会社は人気がなく、いい人材が集まりません。

そこで法的最低休暇日数よりも多い有給休暇を提供するケースが、

「当たり前」

になっています。

お陰でドイツの平均有給休暇日数は、28.5日です。

 

日本では有給休暇の平均は10,1日。

 

「まるで中世の奴隷社会並み!」

って思いませんか?

ドイツで就職すれば、あなたの有給休暇日数は2.8倍です!

有給休暇がたくさんあっても、消化できなければ意味がない?

有給休暇がたくさんあっても、消化できなければ意味がない?

すると日本で働いている皆さんから、

「幾ら有給休暇がたくさんあっても、消化できなければ意味がない!」

という心の叫びが聞こえてきそうです。

日本であれば中世のような労働環境が

「当たり前」

かもしれませんが、それはアジアだけ~。

ドイツでは違法です。

たまり積もった有給休暇を

「みんな我慢している。」

という日本特有のへ理屈で消化させてもらえないなら、労働裁判所に訴えるだけ。

労働・雇用関連専門の弁護士事務所に相談に行くと、

「絶対に負けない裁判」

なので、大歓迎されます。

質問
でも、弁護士費用が払えない!

 

ドイツでは裁判に負けた側が、相手側の弁護士費用も負担させられます。

質問
でも、着手金が払えない!

 

ドイツには日本の着手金のような

「悪習」

はありません。

すなわち!

あなたには1セントも払う必要なく、会社を訴えて損害賠償を勝ち取ることができます!

もっとも通常は、弁護士事務所から会社にお手紙(訴状)が届いた瞬間に、

「裁判になったら、勝ち目はない。」

と、会社側は降参します。

消化できない有給休暇を金で払う?

時々、

「ドイツに詳しい日本人の上司」

が居て、

「消化できない有給休暇は、金で払えばいい。」

と豪語する方がいらっしゃいます。

違法です。

消化できない有給休暇を金で払うことができるのは、

「辞職・退職で有給休暇を消化できない場合だけ。」

と、ドイツ有給休暇法で決まっています。

しかしこれをやると、会社側には、高くつきます。

有給休暇を金で払うと

「ボーナス扱い」

になり、毎月のお給料よりも高額な税率が課されます。

加えて相応の健康保険代金まで、上乗せして税金を払わなければなりません。

これを避けるため、

「取らなかった有給休暇は、3年で消滅する。」

と、労働者の権利をまたしても踏みにじろうとする雇用者が居ました。

消化できなかった有給休暇 消滅するの?

ここで紹介する揉め事は、まさにそんなケースです。

2017年まで税理士事務所で働いていた助手さん、仕事量が半端じゃなくて休暇が取れませんでした。

溜まり積もった有給休暇の日数は、101日。

まるで日本並み!

「こんな労働環境では、働けない!」

と思ったかどうか、そこは不明。

2017年に会社を辞めた際、会社側は

「14日分だけお金で払ってやる。残りの消化しなかった有給休暇は消滅した。」

と言い渡したんです。

それは裁判になりますよね。

取らなかった有給休暇は3年で消滅する?

ドイツ有給休暇法にて、

「その年の有給休暇は年次内に消化されるべし。」

と書かれています。

が、業務上などの理由で有給休暇を消化できない場合は、

「翌年の3月までに消化すべし。」

と猶予期間が設けられています。

そうなんです。

有給休暇を3年も、

「貯める」

ことはできないんです。

しかし最高裁がある訴えの判決で、

「やむを得ない理由があれば、3年間までは有給休暇を貯める権利を有す。」

と判決したんです。

この為、ドイツ有給休暇法ではなく最高裁の判決、

「有給休暇は3年以内に消化すべし。さもないと消滅する。」

 

というのが大原則となっています。

すなわち!

税理士事務の助手さんは3年以上も有給休暇を貯めこんだので、

「3年以上前の有給休暇の請求権は消滅した。」

というのが、税理士事務所の言い分です。

社員に山のような仕事を押し付けておき、この仕打ちはひどいですよね。

この一件は、ドイツの最高裁まで行きました。

ここで最高裁が、

「欧州裁判所が、欧州全土に共通する判決を下す必要がある。」

と、この件を欧州裁判所に送ったんです。

そして今回、やっと欧州裁判所の判決が出ました。

欧州裁判所判決

欧州裁判所は原告の言い分を100%認めて、

「消化できなかった有給休暇は、3年後に自動消滅しない。」

 

との判決を下したんです。

欧州裁判所は判決理由で、

「雇用者は被雇用者に手紙かメールなどの書体で、〇月〇日までに有給休暇を取らないと消滅しますよ。」

と注意喚起をする必要があった。

これをしないで、

「3年経ったので、消化していない有給休暇は消滅すますた。」

“nicht zulässig”(許されない)

と判決理由を述べています。

すなわち!

このケースでは

101 – 14 = 87日分の有給休暇

を会社は現金で払う必要があるわけです。

自業自得ですな。

ドイツに移住

どうです?

日本のシステムがいかに時代遅れなのか、よっくわかりますよね。

  • お給料は上がらない。
  • 奴隷のような長時間労働。
  • 少ない有給も使えない。

そんな日本で頑張っていないで、さっさとドイツに移住しちゃいましょう!

-ドイツの達人になる, 就職雇用

執筆者:

nishi

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