ドイツの政治 ドイツの最新情報 ドイツの経済

ガス・電気価格ブレーキ法 国会で可決される!

投稿日:

ガス・電気価格ブレーキ法 国会で可決される!

2022年12月16日、今年最後の国会で

「ガス・電気価格ブレーキ法案」

が”Bundesrat”(上院)で可決された。

これで2023年3月からガス・電気価格ブレーキ法が施行され、家庭や企業を助けることになる。

なのに、ドイツ語を解しないため、

「何処かに申請する必要あるの?」

とお悩みの方のために、わかりやすく解説しておきます。

ガス・電気価格ブレーキ法

わざわざ解説するまでもないと思いますが、ドイツではプーチンの戦争でガス価格が3倍に!

ドイツではガス価格と電気価格は

「連動制」

を取っているので、電気価格も3倍に。

もっともガス・電気価格は8月にピークに達し、それからゆるやかな減少傾向にある。

 

それでもまだ、日本のガス・電気価格の2倍強。

このまま手をこまねいていては、ドイツはバブル崩壊後の日本のように、

「再起不能」

になってしまう。

そこで政府はエネルギー分野の専門家と経済学者からなる

「ガス委員会」

を設置、対抗策の考案を依頼した。

この委員会が作成したのが、ガス価格ブレーキ法案だった。

名前変更

ガス価格ブレーキ法案、国会で議論される頃には、

「ガス・電気価格ブレーキ法案」

と名前を変えていた。

価格ブレーキは電気価格にも適用されるので、

「名は体を表す」

と言われる通り、正確だからです。

もっとも価格ブレーキはペレットや遠距離暖房熱、暖房用の軽油等にも採用されるので、

「ガス・電気・ペレット・遠距離暖房熱・暖房用軽油等価格ブレーキ法案」

とした方が

「より正しい」

です。

そんな長い名前の法案はインパクトに欠けるので、

「ガス・電気価格ブレーキ法案」

となりました。

ガス・電気価格ブレーキ法 骨子

国会で可決された消費者向けのガス・電気価格ブレーキ法案の骨子は

  • 12月のガス・電気代は国が負担
  • 電気価格は40セント/kWs
  • ガス価格は12セント/kWs
  • 遠距離暖房熱は9.5セント/kWs

という内容。

ただし!

補助金が出るのは、去年の同月に消費したエネルギーの80%まで!

20%は市場価格を支払うことになる。

これで電気やガスの消費を節約する事を推奨する。

又、年収が7万5000ユーロを超える方には、補助金は課税対象となる。

中小企業や研究所、病院など施設に適用されるのガス・電気価格ブレーキ法案の骨子は

  • 電気価格は40セント/kWs
  • ガス価格は12セント/kWs
  • 遠距離暖房熱は7.5セント/kWs

という内容だ。

ただし!

補助金が出るのは、去年の同月に消費したエネルギーの80%まで!

補助金をもらう企業は重役へのボーナスの支払いが制限、あるいは一定額を超えると禁止される。

修正された点

ガス委員会が政府に出した提案では、価格ブレーキは2023年3月から効く事になっていた。

質問
1月、2月の電気・ガス代は?

 

「12月分を政府が負担するから、春まで我慢しなさい。」

というわけだ。

もっともすでに半年以上、高いエネルギー価格に悩まされている消費者、企業にしてみれば

「遅すぎる!」

という悲鳴が聞こえてきた。

この点に修正が加えられることになった。

しかし価格ブレーキ法の準備にはとても時間がかかるので、

「1月から施行されます。」

というわけにはいかない。

そこで法律の施行は計画通り3月からだが、

「価格ブレーキ法は、1月に遡って効く。」

という修正が加えられた。

すなわち!

「1月&2月分の電気・ガス代金は、3月以降に払い戻し。」

となる。

勿論、全額ではありません。

価格ブレーキ法の価格と、実際に支払った料金の差額が払い戻しになります。

もっと正確に言えば、払い戻しではなく、今後の支払いと相殺されます。

質問
どこかに申請しなくちゃ駄目なの?

 

申請は不要です。

あなたが契約している電気・ガス会社が去年の使用量を見て、価格ブレーキ法で決められている料金を算出します。

財源は?

政府はガス・電気価格ブレーキ法の為に、2000億ユーロの超大型予算を組んだ。

と言えば格好がいいが、日本円で30兆円ものお金を何処から持ってくる?

日本ではたかが1超円の防衛増税で、国をゆらがすほどの大騒ぎ。

その30倍もの金を、どこから持ってくる?

赤字国債の発行?

法人税率アップ?

いえいえ、政府は

「電気価格の上昇で大儲けしている会社が払う。」

と言ってます。

Zufallsgewinnensteuerとは?

Zufallsgewinnensteuerとは?

冒頭で述べた通り、ドイツではガス代金と電気料金は連動しています。

すなわち!

発電費用は変わっていないのに、発電した電気を2倍、3倍の価格で売れるわけです。

一番おいしいのが、2023年4月まで稼働を延長された原子力発電所。

燃料棒など、発電にかかるコストはもう支払い済み。

原子力発電なので、石炭もガスも要らず、安価に発電ができてしまう。

こんなにおいしい商売はない。

この

「特需」

“Zufallgewinn”

と言います。

この特需に掛ける税金を

“Zufallgewinnsteuer”

というわけです。

政府は特需で大儲けしている企業に33%の特需課税をして、ガス価格ブレーキで必要な費用を捻出するという。

果たしてうまくいくことやら?

日本でも電気・ガス代金の高騰で

「特需」

を享受している企業に同じように税金を課せば、1兆円なんかすぐに出ない?

-ドイツの政治, ドイツの最新情報, ドイツの経済

執筆者:

nishi

コメントを残す

アーカイブ