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ロシア ドイツへのガス供給量を60%カット!

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ロシア ドイツへのガス供給量を60%カット!

ドイツ経済は、ロシアからの安いガスの供給の上に築かれている。

プーチンの戦争が勃発する前、ドイツはガス供給量の60%近くをロシアに依存していた。

そのロシアが、ドイツへのガス供給量を60%カットした。

7月11日からは

「パイプラインの定期検査」

の為、ガスの供給がほぼ止まる。

ドイツ政府は定期検査の後も

「ガスの供給が再開しない可能性がある。」

として、市民にガスの節約を呼び掛けている。

過去のツケ

ドイツは人件費が高いのに、ドイツ国内で多くの基本化学品を生産している。

これを可能にしているのは、ロシア産の安い天然ガス。

すでにシュレーダー政権時に、ドイツはロシア産のガスに依存する経済に舵を切った。

メルケル政権になると、この傾向はさらに強まった。

首相のロシア訪問にドイツの大企業の社長が同行して、新たな共同関係を築きあげてきた。

これは何もガス会社 & 電力会社だけではない。

とりわけ世界最大の化学薬品会社、

“BASF”

の例がドイツ経済の

「ロシア依存」

のいい例だ。

参照 : BASF

 

同社は石油の採掘もおこなっており、ロシアがガス田を開発するのに必要なノウハウを持っていた。

BASFはロシアにその技術を、惜しげもなく提供した。

その見返りに、ロシアはBASFに届く直通のガスのパイプラインを自腹で二本も敷設した。

お陰でBASFは世界市場で競争できる価格で、化学品を安価に提供することが可能になった。

こうした依存関係が、ドイツ経済のほぼ末端にまで行きわたっている。

ノルトストリーム 2

にもかかわらず、メルケル首相はこの依存関係をさらに深めようとした。

それが

“Nordstream2”

と呼ばれる新たなガスパイプラインの設置だ。

メルケル首相はウクライナやポーランドからの反対を、聞く素振りさえも見せなかった。

そしてプーチンの戦争が始まった今の時点でも、自身の政策の誤りを認めるそぶりさえもみせていない。

当初の計画では、ノルトストリーム2は2019年には完成する筈だった。

これを阻止したのが、あのトランプ政権だった。

トランプはノルトストリーム2に従事する企業を

「制裁リスト」

に載せる大統領令を発令。

ドイツはおろか、スイスの企業までノルトストリーム2に背を向けた。

これは何もトランプに

「先見の明」

があったわけではない。

単に米国製のLNGガスを、ヨーロッパに売りたかっただけの事。

この

「トランプの意地悪」

がドイツを救った。

もしノルトストリーム2によるガスの供給が始まっていれば、ドイツはプーチンのマリオネットになっていただろう。

LNGへの切り替え

とは言っても、60%ものガスをロシアに依存しているドイツは、

「急所を握られている」

も同然だ。

BASFの例を改めて持ち出すまでもなく、ロシアがガスの供給をストップすればドイツ経済は長い冬の時代に突入する。

だからドイツ政府がウクライナへの武器の提供に消極的なのも、もっともな事。

ドイツ政府は今、ロシアからのガス供給が止まる前に、

  • 新しいガスの提供先と契約
  • 国内のガス貯蔵庫を夏の間に満タンにする

ことに専念している。

もっとも新しいガスの供給先と言っても、

「来月からすぐに提供できます。」

というものではない。

ガス資源に恵まれているカターでさえ、これからガス田を採掘、LNGにして輸出する設備投資をしなくてはらない。

この為、カターがドイツにガスを輸出できるのは2024年から。

問題は2022年と2023年の冬。

一体、どうする?

米国産 LNGを調達!

ドイツ政府はこれまで、

「LNGガスは高くて、割りあわない。」

と米国産のLNGに興味を見せていなかった。

これがプーチンの戦争で一気に変わった。

ドイツを始めとしてEUは米国に、

「どうかLNGガスを売ってください。」

と頭を下げることになった。

米国のガス産業界は、笑いが止まらなかったに違いない。

米国はEUの願いを聞き入れ、150億㎥のLNGガスをEUに追加供給することに同意した。

しかも2022年内にだ!

これはEUがロシアから輸入しているガスの量の40%に相当する。

もっとも本当に約束された量のガスが届くかどうかは、

  • 米国のフラッキングガス産業界の増産体制
  • EU側のLNGガスターミナルの構築

にかかっている。

どちらかが欠けても、2022年の冬は凍てつく冬になる。

LNG ガスターミナル船を調達!

LNGガスターミナルを建設するには、とても長い時間が必要だ。

ターミナルの建設計画に2年。

自治体に建設許可を取るのにさらに2年。

建設自体にさらに2年。

すべて順調に行っても6年かかる。

そんな悠長な建設計画では、

「箸にも棒にも掛からぬ」

である。

幸い、ドイツにはすでに複数のLNGガスターミナル建設計画があり、自治体に建設が申請されていた!

経済産業大臣は

「LNGガスターミナル建設許可を迅速に下す事を可能にする法律」

を国会に出して、与党の賛成多数で通過させた。

が、ドイツ初のLNGガスターミナルが出来るのは2024年。

「箸にも棒にも掛からぬ」

である。

そこで経済産業省は、移動式のLNGガスターミナル船の購入を決定した。

が、稼働できるのは2023年の冬。

2022年の冬はどうする?

ロシア ドイツへのガス供給量を60%カット!

敵の弱点を突くのが戦術の基本。

プーチンはまだドイツが、

「どうしてもロシアのガスが要る。」

今、圧力をかけてきた。

まずは手始めに、パイプライン ノルトスリーム1の不具合の為として、ドイツへのガス供給量を60%もカットした。

 

そして来る7月11日からは

「恒例」

のパイプラインの定期検査が始まり、ガスの供給量はゼロまで落ちる。

うぶな日本人なら、

「定期検査が終われば、ガスが供給されるでしょ。」

と思うだろう。

そこは

「大人」

の経済産業大臣。

「ロシアがパイプラインの欠陥を理由に、ガスの供給を再開しないことも十分にある。」

と警告してガスアラームを発令。

経済産業省は

「いざ鎌倉」

に備えて、ガスの供給の優先リストを作成した。

ガス供給がカットされたら?

ガス供給がカットされたら?

ロシアが定期検査の後、ガスの供給を再開しない場合、まず最初にドイツの基幹産業への供給が最初にカットされる。

BASFは言うに及ばす、ガラス工場、陶器工場など、ガスを必要とするドイツのありとあらゆる産業が止ってしまう。

政府は少ないガスを生活に欠かせないインフラ、ガス発電所や医療機関、そして市民に優先的に供給する。

それでも足らない場合は、

“Preisanpassungsklausel”(価格調整条項)

を発動する。

これは発電所などがガス市場で購入した高価なガス価格を、即時に消費者への価格に上乗せする事を許す条項だ。

これによりガスは

「滅茶苦茶高い贅沢」

になり、消費者がガスの消費を節約することが期待できる。

が、市民の生活はさらに苦しくなり、政権が支持率を落とすになる

「諸刃の剣」

である。

Uniper 国に援助を要請

その危機的な状況にある中、ドイツ最大のロシア産ガスの輸入元である

“Uniper”

が国に援助を要求した。

Uniperはロシアが一方的にカットしたガスの供給分を、ガス市場で高く買い入れている。

これによる損益は9億ユーロ/月。

日本円で毎月1兆3000億円の損益だ。

支払い不能になる前に国に援助を求めたのも無理はない。

政府は大急ぎでガス危機による産業の救済法案を国会に提出、今週中に議決される見込みだ。

日本のガス事業 サハリン2 あっけない終焉

ロシアのウクライナ侵攻が始まると、西欧の企業はロシア企業との

「ジョイントベンチャー」

から撤退した。

あの

「金の亡者」

のオイル業界さえ、共同事業を二束三文で売却した。

これが正しかったことが今週、証明された。

日本政府はロシアによるウクライナ侵攻後も、LNGガス事業

「サハリン2」

からは撤退しないと発表した。

ロシアへの経済制裁には参加するが、痛みを伴う制裁は行わない。

 

という実に日本的な政策だった。

ところが、

「そうは問屋が卸さない。」

と、プーチンは日本企業のサハリン2の共同事業を

「無償で」

譲渡するように命令をしてきた。

これに岸田首相は、

「中身を見てみないとわかりません。」

との口上で逃げた。

選挙前にネガテイブなニュースを避けたいのはわかるが、情けない。

首相たる者、戦時には最悪の事態を想定して、

「プランB」

を用意するもの。

日本政府は

「プランA」

だけ。

これが頓挫すると

「困った。」

で終わり。

まさかロシアに経済制裁は課すが、ロシアがこれを甘受するとも思っていたのだろうか?

日本のナイーブさが証明された一件だった。

パニックを煽る日本の報道

サハリン2が日本の需要に占める割合は、わずか8.8%。

なのに、

「日本のガス供給に大きな打撃!」

と、ただでもパニックになりやすい国民にパニックを煽る日本の報道。

よくもまあ、たかが8.8%のガス供給が減るくらいで、あれほど大騒ぎできるものだ。

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執筆者:

nishi

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