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ウクライナ軍 東部戦線で後退中 何がまずかった?

投稿日:2024年3月9日 更新日:

ウクライナ軍 東部戦線で後退中 何がまずかった?

ウクライナ軍がロシア軍に押されて後退中だ。

それもほぼ東部戦線全域で。

お陰で選挙戦真っただ中のプーチンは、

「特殊軍事作戦の戦果」

を宣伝できる上、反対派の抹殺でイケイケドンドン。

さらに!

トランプが次期、米国の大統領になる確率も日に日に高まっている。

このままではヤバイ、非常にヤバイ。

戦況分析

ロシア軍は今、東部戦線で投入できる戦力をすべて前線に投入、攻勢に出ている。

戦略アナリストは

「ロシア軍は今、”All in!”」

とも言っている。

ウクライナ軍にはこの攻勢に対抗できる

  • 戦力(兵士)
  • 火器(火砲)
  • 弾薬(弾頭)

がなく、前線からの後退を強いられている。

今、ウクライナ軍にできるのは、

「何処を防御して、何処を放棄するか。」

を決定するだけ。

この前は

「ウクライナ軍の反転攻勢!」

だったのに立場が逆転した。

何がまずかったのだろう。

何故、ウクライナ軍の反転攻勢は失敗したのか?

ロシア軍の攻勢を招いた最大の理由は、去年のウクライナ軍の反転攻勢の失敗だ。

ウクライナ軍将官は、ロシア軍が

「おいでやす。」

と手ぐすねを引いて待っている地雷原に、西側から提供された戦車や装甲車を突撃させた。

結果は、皆さんがニュースで御覧になられた通りだ。

ドイツ軍のレオパルト戦車は破壊されて、ロシア軍に捕獲された。

もっとひどいのは人的な損害。

無能な司令官が地雷原に兵士を投入した。

多くの兵士は戦士するか、一生直らない深い傷を負った。

さらに!

ザルジニー総司令はロシア軍を見くびり、

「全線で反転攻勢に出る。」

という過ちを犯した。

ちょうど2年前、ロシア軍が

「キエフ攻略」

に集中しないで戦力を分散、キエフを攻略する前に力尽きたのと全く同じ。

ウクライナ軍の司令官は総じてロシアで軍事教育を受けているので、戦略はそっくり同じもの。

違うのはロシア軍のような豊富な戦力がない点だけ。

アメリカ軍(Nato軍)からの圧力で、

「トクマック攻略」

に戦略を切り替えたが、時すでに遅し。

ウクライナ軍の反転攻勢 成功する しない?

反転攻勢は戦略目標を何一つ達成することなく、冬を迎えてしまった。

ウクライナ軍の三重苦

それだけならまだよかった。

ウクライナ軍の置かれた状況は

「モスクワ前面で凍り付いたドイツ軍」

のように一気に悪化した。

それが上で書いた

  • 戦力(兵士)
  • 火器(火砲)
  • 弾薬(弾頭)

のウクライナ軍の三重苦だ。

ザルジニー司令官、そしてゼレンスキー大領領は

「戒厳令」

にも拘わらず、新兵の招集を怠った。

前線には2年間、休みなく戦いづくめで疲労困憊したウクライナ兵だけ。

それも反転攻勢の失敗で、数が大きく減っている。

すでに夏に新たな動兵令を出し、新兵を訓練、冬に備えるべきだった。

これを今になって大急ぎで実行しているが、訓練された兵が前戦に届くのは初夏になる。

そしてアメリカの国内事情でウクライナ援助が途絶えた。

トランプ派の共和党議員が、バイデン大統領のウクライナ軍事援助に反対しているのだ。

お陰でウクライナ軍は弾薬が尽きかけている。

とりわけ致命的なのは、パトリオットを含む地対空ミサイル弾頭。

弾がないのでロシア軍のロケットやドローンを打ち落とせず、市民が犠牲になっている。

さらに!

EUは去年、

「100万発の弾薬を供給する。」

と大見得をはった。

実際に届いたのは40万発程度。

後進国の北朝鮮でさえ、100万発の弾薬をロシアに提供している。

EUが束になっても、北朝鮮の支援にも劣るのだ!

EUの

「頼りがいのなさ」

は筆舌に尽きる。

加えて火器が不足している。

榴弾砲、迫撃砲、そして戦車砲まで、打つたびに摩耗する。

1年以上も

「日夜使いっぱなし」

の火砲は、銃身を取り換える必要がある。

が、新たな供給はほとんどない。

これでどうやって

「戦え!」

というのだろう。

日本への教訓

話は飛びますが先日、ウクライナで

”Sanitätar”(衛生兵)

をしていたドイツ人女性が戦死。

 

稀に見る勇気と高貴な意思を持ったドイツ人でした。

皆さん、この状況で

「死んでもいいから、ウクライナで戦いたい!」

と思いますか?

そんな勇気のある人は、一人も居ないと思います。

でも日本の周囲は

  • ロシア
  • 北朝鮮
  • 中国

など、武力で他国を侵略する事を

「屁」

とも思わない国ばかり。

将来、日本が侵略されたらどうします?

アメリカが助けてくれる?

あのトランプが?

あなたが、

「ウクライナの為に死ぬなんて、まっぴら御免!」

と考えている通りアメリカ人は、

「防衛費をケチって侵略された日本の為に死ぬなんて、まっぴら御免!」

と考えます。

だからこそ、日本は今、ウクライナを支援する必要があるんです。

 

将来、日本が同じ立場になった際、助けてもらえるように。

(EUの助けはあてにならないが。)

なのに、

「国の予算はウクライナではなく、日本の為に使え!」

と思っている人は

「視野」

が狭過ぎ。

まさに井の中の蛙。

日本が

「精一杯」

ウクライナを支援してロシアが負ければ、

「あのロシアが負けるなら、台湾侵略はマズイ。」

と中国にブレーキをかけることができる。

直近の利益だけ見ないで、もっと視野を広げて

「全般状況」

を見て欲しい。

どうするウクライナ?

今年初め、ゼレンスキー大領領ははザルジニー司令官を解任した。

これは戦争を成功裏に進めるには、欠かせない処置。

ドイツ軍の電撃作戦で

「崩壊の瀬戸際」

まで追い詰められたソビエトを思い出してほしい。

スターリンは次々に司令官を解任、前線で手柄を上げたジューコフ将軍などを昇進させた。

そしてゼレンスキー大領領はロシア軍の

「キエフ陥落」

を、見事な手腕で防いだシルスキー将軍を総司令官に任命した。

彼もロシアの軍事アカデミー出身なのだが、ザルジニー司令官とは正反対。

私が毎回言っている通り、無駄な

“Heldentot”(英雄死)*1

を避け、敵により多くの被害を与えながら後退して転機をうかがう案の信奉者。

正面からがっつり組み合っても、勝てる相手ではない。

だから敵が打ってきたら、下がる。

敵が下がれば出る。

一人でも多くの死傷者を出させ、ロシア国内での

「もう戦争なんて御免だ!」

という風潮を作るしか、ウクライナ軍には勝ち目はない。

ただし!

ここ数か月はウクライナ軍にとって

「超~ブル~」

な時期となる。

下手をすれば去年、ロシア軍から奪還したクピヤンスクが陥落するかもしれない。

が、大事なのは

「決定的な戦力」

を失う事なく、

「最後の勝利」

の日まで戦力を保持する事。

アメリカがベトナム戦争に負けたのも、軍事力で負けたのではない。

「勝てない戦争」

に愛想をつかした国内の反戦ムードが、政府を停戦交渉に説得した。

ウクライナが戦争に勝つには、コレしかない!

足らない弾薬

それには西側の武器弾薬提供が欠かせない。

が、西側にはその能力がない。

プーチンの戦争が2年目になって、また、

「トランプの脅し」

が効いて、やっと西側が武器製造に本腰を入れ始めた。

ラインメタル社は先月、新しい弾薬工場の建設を始めた。

この新工場だけで年間、20万発の製造が可能だ。

同社の他の工場を合わせると、年間50万発。

他社の製造能力も合算すると、ドイツ国内の総生産数は60万発になる。

これでやっとウクライナに弾薬を提供しながら、

「空」

になった弾薬庫を(ゆっくり)補充できる。

が、新工場が生産を始めるのは2025年。

2024年はどうする?

80万発の弾薬

面白いエピソードがある。

経済力で見ると、ソビエトに一番ひどい目あわされたバルト三国が、最もウクライナに武器・弾薬を提供している。

武器・弾薬の提供をしぶっているのが、フランスとスペインだ。

スペインは昔から左翼支持者が多く、今、政権に居るのは左派政党。

ウクライナ援助を渋るのはまあ、わからないわけではない。

フランスの大統領は、去年

「ロシアを辱める事はしてはならない。」

と発言したほど、武器援助には慎重。

そのマクロン大統領の

「地上軍の派遣発言」

「口だけ支援」

の骨頂。

武器・弾薬を提供せず、口だけでウクライナを支援しようとした。

しかし結果は正反対。

同盟国から、

「いやいや、地上軍の投入なんてあるわけない。」

との即否定。

赤っ恥を書いたマクロン大統領。

その正反対がチェコのパヴェル大統領。

「ウクライナを助けるには、タブーに縛られず、あらゆる手段を考慮する必要がある。」

と発言。

EUの政治家は発言だけで終わるのもだが、パヴェル大統領は国内の

「死の商人」

「世界中から弾薬を集められるだけ、集めろ!」

と指示。

(チェコ国内には武器商人が多い。)

すると武器商人はなんと80万発の弾薬を、どこからか見つけてきた。

 

EUは1年かけてたった40万発しか提供していないのに、パヴェル大統領は数か月で80万発見つけてきた。

さらに!

「問題が起きなければ数週間でウクライナ提供を始められる。」

という。

こういう人物を

「有言実行の人」

という。

この弾薬があれば、ウクライナ軍は

「しばらくは」

ロシアの猛攻に耐えられるかもしれない。

補足

*1

ちょうど1年前、ゼレンスキー大統領は戦略的には大きな意味のない都市

「バハムートの死守」

を命じた。

しかしロシア軍の攻勢で、バハムートへの補給路が絶たれてしまう。

するとザルジニー司令官はウクライナ最強の特殊部隊

„Da Vincis Wölfe Bataillons“(ダビンチの狼大隊)

「補給路を奪回せよ!」

と命令。

ダビンチの狼大隊は多数の戦死者を出すも、補給路を奪回した。

が、司令官は壮絶な戦死。

ゼレンスキー大統領は国葬でその死を弔った。

 

その後、バハムートはロシア軍に席捲され、ウクライナ軍は多数の戦死者を出してバハムートから撤退。

一体、英雄死にどんな価値があったろう。

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執筆者:

nishi

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