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国を信じると馬鹿を見る?リースター年金の深い闇

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国を信じると馬鹿を見る?リースター年金の深い闇

以前、ここで取り上げたこともある

“Riester-Rente”(リースター年金)

「絶対にやっては駄目!」

と警告したのに、

「アンタよりも国を信じるわ。」

と言う方が圧倒的に多かった。

日本人の

「お上」

に対する信頼は子供のように純真で、ゆらぎない。

その純真さがどんな結末を招いたか、ここで実例を挙げて紹介したい。

“Riester-Rente”(リースター年金)とは?

とは言っても、

質問
リースター年金って何よ?

 

という方の方が多いだろうから、ここから説明。

90年代のドイツは終わっていた。

東ドイツの吸収で国家財政がひっ迫。

赤字を埋めるため増税。

すると、

「新しい社員は大金がかかる。」

と企業は雇用を控えた。

結果、失業率が上昇して国の財政がまた悪化するという悪循環。

ここで二期目のシュレーダー政権が、

「もう失う物はない!」

“Agenda 2010”

を発表。

高度成長期から続く手厚い社会保障を

「ごっそり」

削り、政府の支出を大幅削減。

これが会社の負担大幅減につながりドイツ経済は大復活。

くしくもシュレーダー政権は

「社会保障制度を削った代償」

を払わされて選挙で負けた。

選挙で勝ったメルケルは、好景気の恩恵を受け16年の長期政権が可能になった。

その

「手厚い社会保障の改革」

で、年金支給額が目一杯減らされた。

これでは生活できないのは織り込み済みで、

「自分で老後の対策をしなさいよ。」

と怠惰な国民に責任を押し付けた。

その

「自分でする老後対策」

の一環で始まったのがリースター年金だ。

リースター年金の売り文句

そのリースター年金の売り文句が、

「加入すると政府の補助金が出ます。」

「これを手にしないなんて損!」

という詐欺師が好んで使う手法。

当時、

「絶対にやっては駄目!」

とここで警告した。

が、ほとんどの日本人はドイツ政府の方を信用した。

「国が言うのだから、嘘の筈がない!」

というのだ。

「大本営発表」

を信じて、

「戦争に勝っている。」

と思い込み、破局に猪突猛進した日本人らしい。

もっともドイツ人も似たり寄ったりなので、日本人だけを責めるのは酷。

リースター年金の実績

リースター年金の導入から21年。

徐々に

「リースター年金世代」

が定年退職。

リースター年金の実績が明らかになってきた。

政府の宣伝を

「信じて疑うことを知らないドイツ人」

が17年間、リースター年金に掛け金を払い続けた。

国からの補助金を含めると、17年間で3万6000ユーロ(572万円)払いこんだ。

加入時の宣伝によると

「毎月360ユーロまでの年金が支払われます!」

という。

その大嘘を信じて17年間。

定年退職して実際に支払われた額、たったの72ユーロ/月だった。

約束された額のきっかり20%。

質問
払い込んだお金は何処に?

 

リースター年金を販売する銀行や保険会社の懐に消えました。

この哀れなドイツ人のケースでは、

「銀行手数料」

はなんと25%。

中には

「手数料30%」

もざらではない。

572万円の30%なら171万6000円。

おいしい。

何百万人ものドイツ人が政府の宣伝を信じて、リースター年金に加入したのでほぼ

「ゴールドラッシュ」

状態だった。

今でも

「リースター年金」

とぐぐると、

「嘘!」

のように

「急いで政府の補助金をゲットしよう!」

と宣伝が出るのも無理はない。

ほぼ統一教会と同じで、

「良心のかけら」

もない人間じゃないと、そんなことはできない。

ハノーファーコネクション

正義感にあふれる人なら

「なんでそんなシステムを国が導入したの。」

と聞きたくなるだろう。

その原因はハノーファーコネクションにある。

シュレーダー氏はハノーファー出身だ。

そのハノーファーは日本の京都みたいで、

ドイツ最古の貴族のお膝元。

地場の企業も多い。

そのハノーファーでは誰かが出世すると、

「お互い助け合う。」

というハノーファーコネクションがあった。

シュレーダー氏は

「刎頚之友」

であるマシュマイヤー氏の要請を受けて、

「銀行・保険会社しか得をしない年金システム」

の導入を決断した。

マシュマイヤー氏はお陰で大成功。

巨額の富を手にして、ドイツの有名女優と結婚。

その後は慈善活動にも手を出し、

「ハノーファーの名士」

になった。

ドイツ版、ロックフェラーみたいなもの。

これを可能にしたのが、リースター年金だった。

代案

 

リースター年金の実績を見せられた後でも、

「アンタよりも国を信じるわ。」

という人は、どうぞご随意に。

目が覚めた人は、

質問
じゃ、どうすればいい?

 

と聞きたくなるだろう。

答えは株。

1959年にドイツの株式インデックス(以後DAXと略)に投資していれば、今、実に4214%も増えている。

1000ユーロ投資していれば、4万214ユーロになっている。

これには過去70年、毎年出ている配当金は含まれていない。

何も1959年から始めなくても、1980年から初めてもほぼ同じ結果だった。

これを

「国の年金システム」

に導入しているのがスウエーデン。

株式年金は国民の義務。

スウエーデンの年金ファンドは、過去20年平均で実に11%の配当率を実現。

おまけにドイツの年金ファンドの1/15という低い経費で、これを実現している。

ノルウエーも素晴らしいが、スウエーデンやノルウエーに住んでいない我々は、自分でやるしかない。

いいですか。

国を信用しては駄目!

怪しい投資の約束も信用しては駄目。

“Nur sicher zählt man auf sich selbst!”(本当に頼れるのは己のみ)

という通り。

会社の同僚、先輩、国、そして両親まで、信じては駄目!

自分で勉強して、自分に合った投資方法を見つけましょう。

-ドイツの達人になる, 投資, 規則、法律

執筆者:

nishi

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