新手の詐欺登場！騙される前に宅配詐欺の手口を紹介！

ドイツで陥りやすい失敗、人気の詐欺を紹介するこのコーナー。今回は新しく登場して猛威を振るっている宅配詐欺を紹介します。ことの発端は次の通り。何も注文した覚えがないのに、ある日、通販/ネット販売業者から高額の請求書が届きます。その請求書には、買った覚えのない高額な家電製品が目白押し。

日本人はこういうとき、いつも間違った判断/行動をとります。すなわち、「買った覚えがないから、無視すればいい。」というもの。何もしないとこれが催促専門の弁護士事務所、”Inkasso-Unternehmen”の手に渡り、弁護士料が加算された恐ろしい請求書が届きます。弁護士料は被害額に比例するからです。

ネット販売業者に問い合わせると、なんと自分の名前、住所でアカウントが設けられている！しかし自分で注文した覚えはないし、ひとつたりも宅配便を受け取っていないっ！果たしてこれは如何なることか？

この記事の目次

狙いは請求書払い

詐欺の手口はこうです。まずはネットで請求書（後払い）で買える業者を探します。次は適当な場所に住んでいる被害者を見つけてきます。この詐欺にうってつけなのは、住宅街。多くの人が住んでいるので、不特定多数の住民に紛れることができます。

郵便受けに出ている名前と住所を書き留めると、ネットで検索して、欠けている下の名前などの情報を入手。あとは簡単。この人物になりすましてアカウントを作って、転売しやすい品、それも高級品を請求書払いで購入するだけ。翌日には業者から、「品を発送しました。お届けの宅配便のトラッキングはこちらで。」と書いているメールが渡くので、文字通りいつ届くのか、手に取るようにわかります。

新手の詐欺登場！騙される前に宅配詐欺の手口を紹介！

あとは車の中で宅配のトラックが届くのを待つだけ。ドイツ大手のDHLだったら、真っ黄色のバンなので見間違えることはない。配達員がバンから品を下ろして、被害者のアパートに向かい始めると車から降りて、玄関の前で偶然会うようにする。

「ここに住んでる〇〇だけど、〇〇からの宅急便は届いてる？」と聞けば、配達員は大喜び。上まで荷物を持ってあがる必要がなく、時間を削減できる！あとは電子受領機を出して、「ここに受け取りのサインをしてください。」というので、適当なサインをするだけ。こうしてまんまと、他人名義でお買い物ができてしまう。

こうした手口を1～2か月繰り返すと、何も知らない犠牲者の自宅に身に覚えのない請求書が届く。そこには、「お支払いがまだです。お早めにお支払いください。」と書かれているが、詐欺と気づかない人も多い。「きっと何かの間違いだろう。」と最初の支払い催促を無視すると、この請求書が催促専門の弁護士事務所に渡される。

買った覚えがないのに、支払い義務はあるの？

日本人なら、「自分で買っていないのに、支払いの義務はない。」と思うだろう。ところがそういうわけにはいかない。売買契約はあなたの名前で交わされており、サインまでされている。販売店にすれば、「ちゃんと品物を届けたのに、この客は受け取っていないと嘘を言っている！」ということになる。

実際そういう人も多いので、「何も受け取ってませんよ。」と言っても、真面目にとってもらえない。この時点ではあなたには販売店に対して、代価の支払い義務が生じている。何もしないと。

どうすればいいの？

見に覚えのない請求書が届いたら、ドイツで取るべき行動はいつも一緒。まずはこの請求に対して抗議 / “Widerspruch”を入れる。手紙をしたためたら書き留め（相手が受け取りをサインで認証する。）で、相手（通販業者か弁護士事務所）にこれを送付する。そこに「これは詐欺である。」という一文を忘れなくいれること。

何故？

それは詐欺の場合は、あなたが注文した事を証明する義務は、販売側にあるからだ！販売側がこれを証明できない場合は、請求権も無効となる。もっともそれでは、数千ユーロの高価な品を送った販売店には大損だ。だからろくに調べもしないで、「あなたの名前で注文されており、送付先もあなたの住所になっているので、あなたが注文したものである。」という返事が届くことも少なくない。

こうなったら弁護士に頼むか、消費者団体に相談に行き、プロに処理を任せることになる。間違っても法律の知識もないのに、つたないドイツ語で返事をしないように。ここで不利な記述をすると、後で裁判になった際、証拠として使用されないからだ。

忘れてはならないのが、もうひとつ。詐欺の被害にあったことがわかったら、すぐに警察に行き、詐欺で告発する事。さもないと後で裁判になった際、「詐欺の被害者と言う割には、警察に届け出もしていないですね。」と言われることになりかねない。

宅配詐欺予防措置

宅配詐欺を行う人物は、何も完璧に計画して実行する天才とは限らない。同じ日の同じ時間に注文した品が届けられることもある。すると両方を玄関先でキャッチすることはできないので、どちらか一方に絞る。もし注文した覚えがない品が届いたら、それはあなたがすでに宅配詐欺のターゲットになっている証拠です。

見に覚えのない品が届いたら、まずは販売元に連絡、事情（詐欺）を説明して、あなたの名前と連絡先で作成されているアカウントを止めてもらうこと。これ以上の注文を止める必要がある。アカウントの抹消は電話では無理なので、これも書面で行う必要がある。さらには警察に詐欺の届け出をする。この時点で詐欺の届け出をしていれば、後から請求書が届いても、自分の注文でない事をたやすく証明できる。

どんな人が宅配詐欺を働いているの？

警察に捕まった宅配詐欺者（の一人）は、なんと宅配会社で働いている配達人だった！毎日、自分で配達しているので、名前と住所は調べるまでもない。これまで自分が届けた客の名前でネットで注文、品を堂々とバンに積むとそのまま自宅に持ち帰っていたのだ。手口は見事だったが、あまり派手にやりすぎて、警察に捕まった。

参照 : heise online

ドイツでは郵便局の職員が封筒、宅急便を開けて貴重品を盗むと、「包装が壊れていました。」のステッカーを貼って、自身の犯罪を誤魔化すのが日常化している。間違っても日本から貴重品を送らないように。ドイツの郵便局から日本の両親に誕生日のプレゼントに高級ワインを2送った日本人。日本の両親に届いたのは、空き瓶とコルクだけだった。真面目な話です。

そのドイツで、日本のように現金を封筒に入れておくったらどうなるか、改めて言うまでもないですよね？ですからドイツには現金書留なんてありません。又、現金を封筒に入れて送って盗まれても、保証されません。

要注意！アマゾンが請求書支払いを導入！

これまでは、口座引き落としとクレジットカード払いしかできなかったドイツのアマゾン。この2019年7月から、請求書での支払いができるようになりました！これは宅配詐欺にとっては、まさに神の恵み。これからますます宅配詐欺が増えることが予想されます。

そこでアドバイス。荷物の受け取りのサインは、必ず日本語で書くように！それも漢字で！漢字は流石の詐欺師も真似ができないので、宅配詐欺に遭っても、「ほら、サインが違うでしょ！」と、潔白を証明し易いです。大事なのは毎回、同じ漢字のサインをすること。

そうすれば裁判で身の潔白を証明できる証拠になります。逆に毎回違うサインだと、証拠にはなりません。

アマゾン配達の問題

しかし問題もひとつ。数年前からドイツのアマゾンは、大手のDHLを使用しないで、独自の宅配サービスを開始しています。このアマゾン宅配員、サインを要求しないんです！「はい！」と荷物を渡すだけ。このアマゾン宅配が詐欺に使われると、受け取ったサインがない。

なれば受け取りが立証できないので、宅配詐欺の被害者は無罪放免になるのか？それとも「配達人が届けたと言っている。」と、アマゾン宅配員の証言を優先するのか、そこが不明。私自身、何度かアマゾン宅配員と玄関先で出会ったことがある。すると身元を確認もしないで、サインもなしで品を受け取り可能。自分でも不安になったほど簡単。宅配詐欺には、まさに棚から牡丹餅。

これを防ぐ手立てはないので、宅配詐欺はこれからさらに増えそうだ。これからドイツに滞在される方、これからドイツに行かれる方、少なくともすぐに対抗措置が取れるように、宅配詐欺を頭の片隅に置いておきましょう！