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ドイツ新政府 防疫法を改定 第四波は抑え込めるのか?

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ドイツ新政府 防疫法を改定 第四波は抑え込めるのか?

ドイツでは日々、過去最悪のコロナ感染率を記録している。

この記事を書いている時点での、人口10万人に占める感染率は372。

9月は30台だったので、二カ月で文字通り10倍になった。

隣国オーストリアでは、この感染率が1000を超えている最悪の状態で、

  • オーストリア全土ロックダウン
  • コロナワクチン一般接種義務

を導入した。

このまま何もしないなら、クリスマス前にドイツも同じ

「最悪の状況」

になる。

そこで(まだ協議中の)新政権は防疫法を改定して、コロナ第四波を抑え込む目論見だ。

国家全土に蔓延する感染病(令)

コロナ禍がドイツに襲来してから政府は、

「国家全土に蔓延する感染病(令)」(*1)

を宣言していた。

 

わかりやすく言えば、非常事態宣言です。

この宣言により、政府は時限付きの法令を国会を通さないで課すことができるようになった(*2)。

ワクチン接種で感染率が下火になった9月、厚生大臣は、

「コロナ禍は終わった。」

として国家全土に蔓延する感染病(令)を11月25日で終えると宣言した。

コロナ第四波の襲来

すっかり

「コロナに勝利した。」

と油断しまくていた10月、コロナ第四波がやってきた。

それともかっていないほどの勢いで。

ドイツでは1日の感染者数が(週平均で)4万5000人に達し、日々、200人もコロナ感染が原因で亡くなっている(*3)

コロナ感染状況 & 入国制限

本来なら国家全土に蔓延する感染病(令)を延長するべきだが、

「一度言い出したものを今更撤回できない。」

と、厚生大臣は方針の転換に反対。

 

一方、野党にとって感染病令は

「目の上のたんこぶ」

だったので、政府が何か法令を課すたびに、

「最高裁判所に訴えてやろる!」

といきまいていた。

その野党が政権の座に就くと自分に都合がいいように、

「やっぱり国家全土に蔓延する感染病(令)は必要だ。」

と考え直すと思っていたら、

「法令は期限日で失効する。」

とこちらも頑固。

結果、過去最悪のコロナ禍のど真ん中で、政府は感染病に機敏に対応する機能を失ってしまうことになった。

ドイツ新政府 防疫法を改定

そこで(まだ連立協議中の)新政権が

「新たなコロナ対策」

として考えているのが防疫法 / Infenktionsschutzgesetz の改定だ(*4)。

その内容は

  • コンタクト制限
  • 仕事場の3Gの義務化
  • ホームオフィスの義務化
  • 公共の交通機関での3Gの義務化

という内容だ。

3Gとは、

  • ワクチン接種済み
  • コロナ完治済み
  • テスト済み

の3つの過去形。

公共機関を利用する際は、いずれかの証明書の提示が必要になる。

同じ義務が仕事場でも採用される(*5)。

加えて看護師と教育現場で働く人に対して、コロナ接種義務の導入が検討されている(*6)。

新しいのはその程度。

正直、コロナ対策はもう過去1年半で

「出尽くした」

ので目新しい方策はない。

それどころか、防疫法の改定により政府の権限は大きく限定されることになる。

これまでは政府がコロナ対策として発令していたロックダウン、学校の閉鎖、ジムや飲食店の営業停止などは、

「非常事態宣言」

があったから可能だった。

改定される改定される防疫法には、このような強権措置は入っていない。

感染が悪化した州では、州知事の判断で店舗などの営業停止を求めることができるのみだ(*7)。

第四波は抑え込めるのか?

当然の事ながら、

「この防疫法改正で、第四波が抑え込めるのか?」

と聞きたくなる。

正直、無理な話だろう。

州知事も同じ見解で、

「非常事態宣言を延長すべきだ。」

と、新政府の防疫法改正には反対している。

11月18日、下院で防疫法の議論と採決が行われた。

国会に座っているのは新しく選ばれた議員達。

新政権こそまだ誕生していないが、連立与党は過半数の票を投じ、防疫法改定案は国会を通過した。

私の予想が外れる事を願うが、12月にはドイツは今のオーストリアのようになる。

新政権は

「ロックダウンはしない。」

と言っているが、ロックダウンしか感染を抑え込む手段がないだろう。

ただこれを合法化する法的根拠がない。

これまで1年半もコロナと闘ってきたのに、政権の交代で新政権には

「経験値」

がなく、また同じ失敗を繰り返そうとしている。

コロナワクチン接種拒否者の多くは感染して、そのツケを払うことになるだろう。

注釈 – ドイツ新政府 防疫法を改定

*1    epidemische Lage von nationaler Tragweite

*2    わかりやすく言えば(前)トランプ大統領の十八番の大統領令。

*3    志望者の90%はワクチン接種拒否者。

*4     そもそも国家全土に蔓延する感染病(令)の法的な根拠は防疫法にあった。

*5   仕事場での3G導入により、雇用主が従業員に対してワクチン接種を済ませたか、尋ねることができる法的な根拠が出来上がる。

*6   イタリアやフランスはこの夏にワクチン接種義務を導入したのに、ドイツではこの人気のないテーマを避けてきた。そのツケが回ってきた。

*7    バイエルン州政府はクリスマスマーケットの営業停止を命じた。

ザクセン州ではホテルなどが観光客を泊めるのを州条例で禁止した。

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執筆者:

nishi

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