コロナワクチン接種パス で旅行の自由を取り戻せ!
中断こそあれ、1年以上も続くコロナロックダウン。
旅行の自由は言う間でもなく、日々の生活でも大きな制限を強いられている。
しかしコロンワクチンの開発成功で、長い漆黒のトンネルの出口がやっと見えてきた。
が、同時に当初は予想していなかった問題点も見えてきた。
この記事の目次
コロナワクチン接種パスで旅行の自由を取り戻せ!
ドイツでコロナワクチンの接種が始まると、
「ワクチンの接種を済ませた人の自由を制限するのは、おかしい。」
という議論が始まった。
日本では
「自粛」
の名の元に、行動の自由を制限されるのが当たり前。
これを不当と考えないばかりか、自粛に従わない店舗に嫌がらせをする市民まで登場する。
しかし欧米では行動の自由は、民主主義の根幹となる個人の基本権利のひとつ。
だから
「自粛してください。」
と個人の権利の放棄を要求しても、これを守る人はいない。
そもそも守る義務がないし、基本権利である自由を制限するには、
「多数を危険にさらす。」
という大義名分があって初めて、法律上の根拠(*1)が生まれる。
が、コロナワクチンの登場により、法的な根拠が通用しなくなった。
コロナワクチン接種で世界の実験場となっているイスラエルより、
「コロナワクチン接種を済ませた人は、他人を感染させない。」
というデータが上がってきたからだ。
ジレンマ
他人を感染させないなら、基本権利である行動の自由を復活させなければならない。
いい例があるので、紹介しよう。
バーデン ヴュルテンベルク州、コロナウイルス蔓延により夜間の外出禁令を課した。
これを不服として市民が行政裁判所に訴えた。
すると裁判所は、
「感染者数が減っているので、夜間外出令は個人の権利を不当に制限するものだ。」
との判断を下した。
参照 : www.swp.de
州知事は、
「感染者数が上昇して、昼間にもロックダウンが必要になる(かもしれない)。」
と警告したが、裁判所の決定には逆らえない。
もし今後もコロナワクチンの接種を済ませた人の行動の自由を制限し続けると、同様の訴えが出るのは火を見るよりも明らかだ。
しかしコロナワクチンの接種を済ませた人だけに自由を与えると、ワクチン接種を済ませていない人との間に差別が生まれることになる。
憲法で平等を謳う以上、これはマズイ。しかしいつまでも個人の自由を制限するという、
「違法状態」
を放置するわけにもいかないという、ジレンマに陥った。
倫理委員会 / Ethikrat
日本ではこのような事態では首相が、
「総合的・俯瞰的な観点から」
と言い訳して、政治的判断を下す。
ドイツでこのように法律で解決できない問題が発生すると、倫理委員会 / Ethikrat が登場する。
この倫理委員会は、さまざまな分野の学者で構成されており、言ってみれば日本の学術会議に似た組織。倫理上の問題で政府に助言をする役割を負っている。
その助言は一種の免罪符、日本風に言えば水戸黄門の印籠みたいなもの。政府が、
「倫理員会の助言だ。」
と言えば、野党でもその判断を疑ったり、これに堂々と反対を述べる者はいない。倫理委員会にたてつくと、かえって自身の信用性を失うことになるかねない。
倫理員会の助言は法律で認められた根拠ではないが、キリスト教の倫理に基づく権威のある判断と見なされている。
コロナワクチン接種パス 導入反対
この倫理員会は、コロナワクチンの接種を済ませた人に一種の特権を与えるのは、倫理上問題ありと判断した。
ただし倫理委員会は、
「国としてそのような区別をするのは問題があるが、民間(すなわち経済)が、そのような区別をする事は事業者の自由。」
と一定の必要性は認めた。これにより政府がコロナワクチン接種パスを発行する案は、消えた(かのように見えた)。
イスラエル モデル
何処の国にも、
「コロナなんて嘘!」
「ワクチンは国民に毒物を注入する政府の陰謀だ!」
という人がいる。とりわけ自由な思想が広がっている欧州では、その傾向が強い。
こうしたワクチン懐疑派 & 反対派をどうやって説得できるかに、コロナウイルス克服の成否がかかっている。
コロナワクチン接種の先進国、イスラエルは故意にこの差別を生み出して、ワクチン接種を拒否する人を接種に説得しようと、露骨な政策を行っている。
当初は、
「イスラエルだからね。」
と少し横目に見ていたが、観光業が主要な産業であるギリシャ、スペインなどがコロナワクチン接種パスの導入を真っ先に求めた。
2021年の夏こそは観光客を大勢呼んで、なんとも停滞している観光業を復活させたい。それにはコロナワクチン接種パスが欠かせない。
デンマーク モデル
次いで北欧で、コロナワクチン接種パスの導入が始まってしまった。
その最先端を行くのがデンマーク。
参照 : www.faz.net
デンマークは倫理委員会に助言を請うなどせず、
「国内経済を回すには、コロナワクチン接種パスが欠かせない。」
と、デジタル式のコロナパスを導入してしまった。
EU コロナデジタルパス
これだけ規制事実が揃ってしまうと、
「コロナワクチン接種パスは導入しない。」
という態度はとっていられなくなった。もしEUがイニシャチブを取らずに傍観していると、EU加盟国が独自のコロナワクチン接種を導入して、収拾がつかなくなるからだ。
そこでEUはフランスとドイツの
「コロナワクチン接種パスの導入反対」
にも拘わらず、3月までにEU全域で有効なコロナワクチン接種パスの骨子を固めると発表した。*2
参照 : www.zdf.de
肝心のパスの名前は、イスラエルのコロナワクチン接種パス、
「グリーン パス」
を採用する見込みだ。
ドイツの政治家は倫理員会の助言が重荷になって、懸念を表明している。しかし所詮は建前。グリーン パスが導入されると、大いに感謝することだろう。
このパスがあれば、密室でのコンサート活動も可能になる。これがなければ、コンサート活動などは集団免疫ができるまでお預けになってしまう。
注釈 – コロナワクチン接種パス で旅行の自由を取り戻せ!
*1 ドイツでは感染防止法により、政府が課すことができる制限が明確に規定されている。
参照 : 感染防止法
*2 日本のコロナワクチン接種担当大臣は、「コロナワクチン接種パスは発行しない。」と言っている。
貿易で儲けている日本にとって、人の流れはギリシャやスペインのように欠かせない経済活動の条件。
日本でワクチン接種が進めば、ビジネスの観点から見ても、コロナワクチン接種パスの導入に踏み切るだろう。