日本人は親切を重視する意味の(あまり)ないサービスを提供。
いい例がジム。
無駄にスタッフを増やして経費が上昇、使用料は1万円/月。
ドイツでは受付に一人だけ。
無駄なスタッフを減らして経費を削減、使用料は30ユーロ/月。
どっちが得か、言いうまでもなし。
日本の無駄なサービスは、社会のあらゆる面に浸透しています。
この記事の目次
タダ?
考えてください。
今、日本中で何万人もの社員が、日本中の家庭を廻って電気 & ガスメーターを読んでます。
それも毎月!!
「タダ!」
と思っている方も居ますが、人が動けば必ず経費が発生します。
その費用は、電気ガス料金に上乗せ。
で、毎月の使用料、ちゃんと見てます?
私は見てません。
ごみ箱直行です。
この無駄を無くせば
「億」
のお金が節約できます。
日本全国で。
合理的なドイツでは、まさにこれを節約。
ウン十年これでうまく機能してきたのに、システムの変更が決まってしまいました。
なんでも地球温暖化対策の一環らしいです、、。
暖房機メーターの無線化法令
ドイツでは電気やガスの消費量を予測して、毎月、料金を支払います。
春先になると始めてメーターの数値を計測。
予想と実際の消費量の違いを計算して、消費者に伝えます。
実測の結果、多めに使用していれば、追加で支払い。
少な目に使用していれば、返金というシステムです。
実に合理的。
というのも、その年に一回行う
「メーターの読み取り費用」
がべらぼうに高いんです。
アパートで頼むと数千ユーロ(*1)。
ですから毎月読み取りなんて、あり得ません。
ところがEUが、
「毎月の使用料がわかれば、省エネにつながる。」
との根拠で、暖房機メーターの無線化をEU議会で決議。
加盟国に決議の運用を下達。
そこでドイツ政府がEUの決議に基づき、暖房機条例を改定、
「暖房機メーターは無線で読めるようにすべし!」
と定めました。
国会で可決された法律の名前は
“Heizkostenverordnung”(暖房費条例)
一見すると
「便利じゃない!」
と思いますが、便利な物にはお金がかるんです。
暖房費条例 百害あって一利なし?
大方のアパートには旧型のメーターがついています。
暖房費条例の改正によりこのメーターを2026年までに
「無線機能付き」
のメーターに変えなくてはなりません。
その費用(新しいメーター代金と交換作業費用)は、まずは管理会社が払います。
でも年末調整でその費用は賃貸人に請求されるので、ツケを払うのは賃貸人。
お金がかかるのはそれだけじゃない!
新しいメーターを取り付け後、毎月の使用量に加えて
- 前月の使用量
- 年間平均使用量
- 料金の内訳
- 暖房に使われるエネルギーの内訳
を明記する事とある。
この滅多に見る事がない情報を毎月、郵便がメール、またはアプリで通知しなくてはならない。
アプリを導入するだけでも、数百万の費用。
これからの費用を最後に払うのは賃貸人。
全然嬉しくないっ!
暖房費条例の欠点はそれだけじゃない。
便乗値上げに最適!
ドイツでは10年以上続く空前の不動産ブーム。
スイスの大銀行UBSによると、
「世界で一番ひどい不動産バブルはフランクフルト」
だそうだ。
皆さんが賃貸契約を結んだのは数年前。
大家は
「市場価格に適した家賃」
に変えたくて仕方ない。
しかし!
古い賃貸契約を結んでいるとそうはいかない。
大家にしてみれば、
「不当に安価な家賃」
でアパートを借りられている。
そんなときにやってきた暖房費条例。
「新しいメータの取り付けと運用費用」
という名目で年末調整にこっそり費用を上乗せしても、賃貸人にはわからない。
賃貸人団体(*2)は、
「暖房費条例は、家賃の便乗値上げに最適の機会を提供している。」
と非難している。
こんなにお金をかけた挙句、はっきりと目に見えてわかるほどの二酸化炭素の排出削減につながるか、大いに疑問。
だって寒けりゃ、暖房付けますよね?
寒くないのに暖房付けて窓を全開して、部屋の温度を下げる人はいません。
今回のEUの決議も
「百害あって一利なし」
の範疇に入りそうな気がします。
注釈
*1 メーターの読み取り作業をするだけの会社が存在しています。
この会社がアパートの管理会社と癒着して、べらぼいに高い費用が発生しています。
*2 Mietervereinです。大家とのトラブルになったら、真っ先に相談できる便利な団体。勿論、ただではありません。