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ドイツ軍装備品 実戦では役立たず?

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ドイツ軍装備品 実戦では役立たず?

ウクライナに送られた多数のドイツ軍装備品。

今回、ドイツ大使館に駐在する武官が

「ウクライナ軍による使用評価」

を本国に報告した。

そこには端的に、

「限定的に実戦向き。」

と書かれていた。

何が悪かったのだろう?

ドイツ軍装備品 実戦では役立たず?

ロシアに侵攻されて窮地に陥ったウクライナ。

ドイツ(前)政権は長く躊躇したが、やっと重い腰をあげて

  • 戦車
  • 装甲車
  • 自走砲
  • 対空ミサイル
  • 対空火砲
  • 無数の弾薬

など、ドイツ軍装備品をウクライナに送ることを決定した

ドイツ ウクライナに武装装甲車の提供を決定!

こうしてドイツ軍は期せずして貴重な

「実戦での経験値」

を得ることができた。

しかし!

ドイツ本国に送られてきた報告書には、

「ドイツ軍装備品は限定的に実戦向き。」

と書かれていた。

言い換えると、

「実戦ではあまり役に立たない。」

とのショッキングな内容。

参照 : tagesschau.de

 

一体、何が駄目だったのだろう?

ドイツ軍装備品 Panzerhaubitze 2000

まずはウクライナに送ったドイツ軍装備品の中でもとりわけ重要な自走榴弾砲

“Panzerhaubitze 2000”

から始めよう。

そのスペックを見る限り、

  • 機動性(最高速度60Kmh)
  • 射撃の正確さ
  • 射撃速度(8発/分)

「何も文句のつけようがない。」

ように思える。

参照 : wikipedia.org

 

しかし実戦では

  • ハイテク機器が故障しやすい
  • 部品の消耗度が高い
  • 戦場での砲身の交換がほぼ不可能

という欠点を暴露した。

一番ひどいのは、電子機器の故障。

故障した部品を取り換えるにも、ドイツのお役所は、

「武器の輸出許可証」

を毎回、要求。

お陰で一度、故障で戦線を離脱すると、数か月は使用不能。

さらに!

ロシア軍の

「肉弾攻撃」

を撃退するため連射を続けると、砲身が熱くなり過ぎ

「使用不能」

になる。

ウクライナ軍が砲身を交換しようにも、専用のクレーン車がないとできない。

結局、

「宝の持ち腐れ」

となる事が少なくなった。

レオパルト2型戦車

ドイツがウクライナに送った装備品の中で、

「最も期待されていた」

のがレオパルト2型戦車だった。

しかしここでも

「ガッカリ」

で終わった。

レオパルト2型戦車の問題は

「戦場整備」

が、ほとんど不可能な事。

実戦に投入すると無傷では済まない。

必ず損傷する。

しかしレオパルト2型戦車の場合は回収と整備に、

「回収用戦車」

が必要となる。

参照 : wikipedia.org

 

仮に回収用戦車が運よく、

「手元にあった」

としよう。

問題はここから始まる。

最新の戦車はその構造が複雑で

「懐中電灯の光」

で、武器隊が戦闘下で部品交換できるものではない。

結局、後方に送って整備することになる。

戦場から回収できればの話だが。

この場合でも、修理して前線に投入できるまで数か月かかってしまう。

レオパルト1型戦車


数が必要になった為、ドイツ政府が

「廃品回収」

をしてラインメタル社が整備。

その後、

「認定中古車」

としてウクライナに送られたのがレオパルト1型戦車。

ウクライナ軍の判断は

「走行が薄くて、戦闘投入には不向き」

だった。

結果、今では主に後方から砲撃援助に使用している。

そもそもドローンが戦争の主役に取って代わった今、

「戦車の戦術価値」

は著しく限られている。

ドイツ軍装備品 対空ミサイル Iris-T

ウクライナに送られたドイツ軍装備品の中で

「最新の兵器」

がコレ、対空ミサイル Iris-T。

100発100中の素晴らしい兵器である。

質問
だったら何処が不満なの?

 

高過ぎる。

一発1億円もする。

戦争を想定しないで、

「装備するだけ」

なら100発もあれば十分。

しかし戦争になると日々、ロシアのロケットやドローンが飛んでくる。

100発なんぞ、節約しても一週間でなくなってしまう。

結果、

「攻撃が続くのに、撃てるロケットがもうない。」

という状態である。

戦場で真価を発揮した装備品

ところがである。

ウクライナに送ったドイツ軍装備品

「全部、ダメだった。」

というわけではない。

数は少ないが、その真価を発揮した装備品もあった。

ドイツ軍装備品 自走対空火砲 Gepald

ウクライナ軍が一番喜んでいるドイツ軍装備品がコレ、自走対空火砲のGepaldである。

  1. 頑丈
  2. 正確な射撃
  3. 安い

という三拍子揃った兵器。

対空火砲ではあるが、地上目標にも

「大変、有効な兵器」

である事を証明した。

修理も比較的簡単。

装甲車両 Marder

もうひとつウクライナ軍お気に入りの

「ドイツ軍装備品」

がある。

それは装甲車両のMarder。

  • 装甲が厚く
  • 操作が簡単
  • 壊れない

といい所ばかり。

参照 : wikipedia.org

 

そう、ウクライナ軍が高評価したドイツ軍装備品は、ドイツ軍で

「お払い箱」

になった装備品ばかり。

これらの装備品はそもそも、ソ連軍と戦う事を想定して60年代に開発、70年代に製造された。

その兵器の方が

「最新の兵器よりも効果的」

というのは、皮肉以外の何物でもない。

ドイツ製ドローン HF-1

大手の軍需産業は勿論、ドイツのスタートアップも

「ウクライナ軍事援助」

に名を挙げている。

その中でも

「前線で効果を証明した」

のが”Helsing”社のドローンHF-1だ。

参照 : helsing.ai

 

このドローンは

  1. 木製
  2. AI操作(電波妨害に強い)
  3. 正確な目標補足
  4. 射程距離50Km
  5. 安価

という必要な性能を備えているばかりか、実戦でその効果を証明済み。

木製であるから敵のレーダーに映らないという

「ローテクのハイテク機器」

なのだ。

AIを使い目標を選定して使用するので、妨害電波に惑わされ難い。

そして正確に目標に到達する上、安い。

ヘルジング社はすでに4000機を、ウクライナに納入済み。

ウクライナ軍は大いに満足している。

新型ドローン HX-2

さらに!

ヘルジング社はすでに

「新型ドローン HX-2」

を開発済み。

新型になると射程距離は100Kmにまで広がっている。

すなわち!

榴弾砲を使うまでもなく、ドローンで後方陣地の敵を叩くことができる。

すでにヘルジング社は

「ウクライナ向け6000機」

の受注を受けており、南ドイツの工場で製造中。

同社曰く

「月間生産能力は1万機」

だという。

155MM榴弾砲弾を製造するより遥かに効率がいい!

仮にウクライナ軍がこのドローンを、数万機手に入れたとしよう。

そんな

「ドローンの壁」

にロシア軍が攻勢をしかれば、戦場には累々と焼け焦げた車両が広がることになる。

果たしてウクライナ軍は間に合って、

「十分な数のドローン」

を手に入れることができるだろうか?

ドローンの壁

ウクライナの防衛は世界の防衛戦略を根本から書き換えた。

これまでは戦車が

「地上戦の主役」

を演じていた。

今やその主役はドローンにとって代わった。

今、Natoはロシアの侵攻危機にさらされている

「北方戦線」

「ドローンの壁」

で守る準備中だ。

ヘルジング社は

「大量生産の準備はできている。」

とアピール

ちょうどドイツ軍も

「攻撃用ドローンの公募」

を始めており、ヘルジング社が

「オーダーをゲット!」

するのはほぼ確実。

自衛隊と違いドイツ軍は、

「戦場の変化」

を見て、防衛構想を現実に適応させているのが実に興味深い。

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執筆者:

nishi

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