先週の金曜日、
「70万、いや75万は行くだろう。」
と予想されていた米国の雇用統計。
蓋を開けてみれば、たったの20万の新規雇用。
一瞬、
「なんじゃそれ?」
と、株式インデックスが凍り付きました。
その後、ガックリ逝った~。
今週はずっとその
「余波を消化」
するのに費やされました~。
この記事の目次
DAX 先行き不安増で小幅調整
米国の雇用統計が悪かったので、
「デルタ株で経済が失速している。」
との懸念が再燃焼。
月曜にはリバウンド(反発)。
「あ~良かった。」
と一安心。
が水曜日、株式市場がオープンすると南に一直進!
一気に1.7%も下げました。
大きく下げた要因は、木曜日に控えた欧州中央銀行の金利政策発表。
オーストリアからは、
「テーパリングをやめて、物価上昇を抑えろ!」
とちょっかいが。
お陰で木曜日も
「舵を南に取れ!」
と、DAXは南進。
あ、やばい、まさかここで修正か?
EZB 国債買い入れちょびっとだけ減額
日本時間では21時頃だった筈。
EZB(欧州中央銀行)が金利政策を発表。
「10月から国債買い入れを(ちょびっとだけ)減額すます。」
と発表。
この発表により、
- テーパリングが来る?
- 急激な方向転換になるんじゃないか?
という不安が解消。
10月からテーパリングは始まるが、
「ホメオパシー」
のような量(*1)。
DAXは登り竜に変身!
一番安かった9時過ぎから、200ポイントも上昇!!
一週間で見ればまだ赤字ですが、
修正が回避できて一安心。
これで首の皮がつながったぞ!
あとは金曜日に続伸してくれれば、来週は最高値更新だ!
DAX 40銘柄に拡大
今週からDAXは40銘柄に拡大しました。
どの銘柄が
「格上げ」
されたか、ここで詳しく解説されています。
先週、幾つか紹介しました。
今週は引きつづき、日本では馴染みのなさそうなDAXに昇格した銘柄を紹介します。
ジーメンス ヘルシニアーズ
あのジーメンスがヘッジファンドの圧力を受けて、医療部門を分社化。
誕生したのがジーメンス ヘルシニーアズです。
会社はジーメンス発展の原動力となった
「レントゲン発祥の地」
エアランゲンにあります。
皆さんお気付きの通り、
「名前がどうもぱっとしない。」
と、ドイツ国内でも酷評されています。
名前は悪くても、医療機器では国内Nr.1。
コロナ抗原キットも販売してるよ!
DAXに昇格した1週間の株価の動向は、
今一つ。
KGVは36。
ダイムラーの6倍の評価なので、安くはない。
配当率も1.4%と悪い。
個人的には魅力ない銘柄です。
キアゲン DAXに滑り込みセーフ!
ジーメンス ヘルシニーアズと違い、
「DAXに滑り込みセーフ」
で昇格したのが、デュッセルドルフの郊外、ヒルデンにある”Qiagen”です(*2)。
去年、コロナが蔓延した際、数少ないコロナPCRテストを製造していた会社です(*3)。
お陰で記録的な大成長を遂げ、
「コロナワクチンを開発したビオンテック」
を差し置いて滑り込みでDAXに昇格!
今週の株価は、
デルタ株の蔓延にもかかわらず、周囲に合わせて下げました。
KGVは27。
高くもない、安くもない。
配当金ゼロ。
20201年の9月、PCR検査キットなんて、
「何処でも」
販売しています。
今後、どう売り上げを増やしていくのか、そこが心配。
配当金ゼロ。
誰が買うの?
薬品メーカーご用達 ザトーリウス
コロナ禍で、さらにもうひとつの医療関連銘柄がDAXに昇格しました。
“Satorius”
は薬品メーカーなどの研究施設に必要な機器をお届けするメーカーです。
本社は大学町のゲッテインゲン。
DAX昇格後の株価は、
あら、4%も上昇してる!
薬品メーカー各社、コロナワクチン & 特効薬の研究に巨額の予算を投資しているので、株価は上がる一方。
1年で株価は、エゲツない178%も上昇。
KGVが160。
普通なら、
「高過ぎ!」
と避けるもんですが、業績はさらに改善される見込み。
お陰で株価がちょっと安くなると、
「今だ!」
と買いが入る銘柄。
「絶対に損をしない投資。」
に加えたい。
化学製品販売店 Brenntag
予想外!
だったのが化学製品販売店 Brenntagです。
「ブレンターク」
と呼んでね!
ヒント。
ルール工業地帯の心臓部です。
回答
そう、エッセンです。
ルール工業地帯には鉄鋼、電力、ケミカル関連の会社が多いです。
なんと化学製品の販売店としては、
「世界一」
の規模なんだそうです。
DAX昇格1週間の株価は、
全体ムードが悪いのに、ほぼ変化なし。
DAX昇格でインデックスファンドから大量の買い注文が入り、過去最高値圏で推移しています。
KGVは28。
そんなには高くない。
でも配当率が1.58%。
ケミカル関連株は通常、高配当なんです。
高配当を望むなら、世界最大のケミカル会社、BASFを買いましょう。
香料メーカー Symrise
ほとんどニュースにならない銘柄がコレ、シムリーゼ。
会社はホルツミンデンにあります。
誰も知らないよね~。
ハノーファーの南にある人口2万人の村。
化粧品から食料品まで、
「香り」
が重要な製品には、ほぼ使われているシムリーゼの香料。
毎年、
「DAX候補」
を言われ続け、毎年、他社に先を越されていました。
今回、やっと昇格。
ここ1週間直近の株価は、
全体が下げているのに、堅調です。
食料品メーカーのように、景気の動向に関係のない銘柄です。
ほぼニュースがないので、
「投資した後、心配することなく安眠したい。」
という方向き。
でも配当率が悪くて、個人的には投資対象外。
番外編 SMA ソラー大幅安!
DAXとは関係ないが、今週注目を浴びた銘柄を紹介。
それはSMA ソラーという会社です。
本社はニースタールという誰も知らない街にあります。
太陽発電に欠かせないパネルではなく(*4)、太陽発電で得た電気を家庭用電気に変換する装置の最大手。
今週、業績目標を大幅に下方修正。
アナリスト曰く、
「会社内部も問題も無視できない。」
と警告。
株価はこの1週間、
下落して一向に、上昇の気配なし。
こういう銘柄は、上がる前にさらに落ちます。
一発大勝負を狙うなら、もう一度大きく下げた時が狙い目!
ドイツの企業地図 ここが日本と違う!
幾つかドイツのトップ企業を紹介しましたが、何が気が付きませんでしたか?
日本と大きく違う点に?
そう、日本は東京一極集中型。
ドイツは分散型。
一社としてベルリンに本社がないし、それもどちらかと言えば小さな街に本社があります。
ドイツでは会社が誕生したその歴史を尊重します。
どんなに会社が成長しても、
「わが社も東京に本社を置くか。」
とは考えません。
だからDAXのメンバーであるアデイダス & プーマ(*5)も、兄弟喧嘩で会社が二分した当時から、
「ヘルツォーゲンアオラッハ」
という誰も知らない田舎街に本社を置いたまま。
注釈
*1 ドイツ語で「ホメオパシーのような」と言えば、「効き目がない。」という意味です。
*2 ここ数週間株価が高騰したのが幸いしました。
*3 日本のPCRテストも(去年は)ほとんどキアゲン社製の輸入品。なのでテスト数が少なかったんです。
*4 パネルは中国企業の独占市場。
*5 プーマも今回、DAXに昇格しました!