ドイツの株式市況 DAX 4週間振りに最高値更新 です。
いや、更新中と言ったほうが正解か。
「1万6000高地が落ちるのは時間の問題。」
とまで言われています。
経済を取り巻く環境は、
- デルタ株による新規感染者増
- 戦後二番目に高いインフレ率
とぱっとしない中、一体、何が最高値更新に貢献したのでしょう。
普段なら車メーカーが牽引役になるのですが、今回はちょっと異なりました。
この記事の目次
DAX 4週間振りに最高値更新 & 更新中!
すでに先週から過去最高値まで
「あと数ポイント」
に迫っていました。
しかし更新直前で、
「やっぱり辞めた。」
とUターン。
なのに今週、4週間ぶりに最高値を更新した理由は、米国の雇用統計でした。
そうです。
予想よりも良かったので、10年国債の利率が上昇。
これが銀行株、保険株、さらにはドイツに特に多い生産業の株価を押し上げました。
次いで水曜日の米国の
「インフレ率」
が、5.4%と高止まりながら、上昇をストップ。
投資家の間で安心間が広がり、水曜日午後から急速に上昇。
1週間チャートで見ると、この通り。
11日(水曜日)と12日(木曜日)に、大きく上げました。
取引中の最高値は1万5964,終値の最高値1万5937、共に更新です。
金曜日はオープニング時に1万6000を超えそう。
この1週間で注目を浴びた銘柄を紹介します。
でもその前に、、。
DAX 30銘柄から40銘柄に
ドイツ株式市況を運営する、
“Deutsche Börse”
が、DAXの構成銘柄の変更を決めました。
これまでは、見本になったダウ・ジョーンズのように30銘柄。
9月から40銘柄になります。
ETF などDAXに連動している証券は、今後、30銘柄ではなく、40銘柄買う必要があります。
手数料が増えて儲かります。
これを狙って投資家が、
「この銘柄はDAXにあがる!」
と予想をつけて先買い中。
正式発表は月末ですが、アナリストの候補はこちら
ご存じの銘柄も多いかと思います。
日本でも名前が知られているのは、エアバスとポルシェ。
「名前は知らないけど、製品は使ってる。」
のが、バイヤースドルフのニベア。
40銘柄で構成されることにより、個々の銘柄の比重が下がります。
これにより今後、上下幅は狭くなりそうです。
Bilfinger 株価垂直上昇
では、今週注目を浴びた銘柄です。
まずは”Bilfinger”から始めます。
何度も紹介しているので、ご存じの方も多いと思います。
マンハイムに本社を置く工業用の施設の建設・整備会社です。
贈賄で訴えられ、歴代社長の経費の使い込みにより、倒産間際まで逝った会社です。
2019年、6年振りの黒字。
2020年はコロナ禍でまた赤字。
フランスの同業者の
「買いたい。」
というオファーを蹴ってから、株価は下がる一方。
「ううう、これはまた買い足さないと!」
と、500株をオーダー。
その瞬間から、株価が上昇に転向(*1)。
2週間上昇を続け、そのクライマックスが木曜日。
ロケットのように上昇。
一時、30ユーロを超えました。
一体、何があったのでしょう。
売り上げ、マージン、利益、受注高、改善
2021年の4月~6月の四半期は、
「ここ数年で最高の四半期。」
と社長が言うほど、ほぼすべての分野で改善。
売り上げは前年比で23%増加。
マージンは2.4%から3%に改善。
前年は6千万ユーロの赤字だったのに、今期は1200万ユーロの黒字に。
仕事の受注高はさらに14%増えて、28億5000万ユーロに。
これだけなら株価はあまり上昇しなかったでしょうが、この後が良かった。
特別配当 で利回り16%超え!
今期、子会社の売却益4億5800万ユーロが振り込みされました。
ビルフィンガーはこの売却益を
- 借金の早期返済
- 株の買い戻し
- 特別配当
に使うと発表。
借金の早期返済で
「節約」
できる利子は300万ユーロ。
これに続くのが特別配当。
2021年の業績に支払われる配当金は、通常1ユーロ。(*2)
これに特別配当の3.75ユーロを上乗せ。
合計4.75ユーロです。
昨日の取引終値で換算して、利回りが16%を超えます!
配当金を狙っている方には、外せない。
もっとも配当金が出た後は、株価暴落。
これに対抗するために、配当金を支払った後、1億ユーロを自社の買い戻しに使用。
市場に出回る株が少なくなれば、利益が少ない株に分かれるので、株価の安定・上昇につながります。
自社株の買い戻しと特別配当の
「株主優待」
に使われる総額は2億5000万ユーロ(*3)。
ごっつあんです。
ビオンテック 巨額の黒字を計上
世界で最初にコロナワクチンの開発に成功した【独】ビンテック社。
業績発表があり、なんと3か月で28億ユーロの利益を計上。
売り上げじゃないですよ。
利益です。
売り上げは53億ユーロなので、半分以上が
「儲け」
という実においしい商売。
日本では政府が6月、
「国産コロナワクチン製造」
に向けてやっと枠組みを作りました。
欧米に1年以上遅れてます(*4)。
ビオンテックは、シンガポールにワクチン生産工場も建造中。
今後、
「注文はますます増える。」
と株価はさらに上昇。
創立者のサヒン氏は、
「ドイツで最も裕福な人」
の一人になりました。
30年前はドイツにやってきた、
「ただの外国人」
だったのに。
その内、映画にでもなりそう。
EMA ワクチンの副作用を調査
今週、
「モデルナ社のワクチンは(もう)要らない。」
というドイツ政府の発表が、モデルナ社の株価を大きくヒット。
ドイツには、
「ワクチンは国の陰謀」
と考える人が多いので、接種する人がいなくなりました。
貴重なワクチンが毎週、数万本破棄されてます。
この為、ドイツ政府はこれ以上の注文を見送り。
だったら余った分を日本に分けて欲しい!
同じ日に、欧州の薬品認可局が、
「コロナワクチンの副作用を調査する。」
と言ったため、ビンテック社の株価も下落。
毎日、13~15%も上昇 & 下落すると、
「手堅く投資」
したい投資家には、怖くて手が出せないっ!
アデイダス リーボックを遂に売却
ドイツを代表するスポーツ用品メーカーは、アデイダスとプーマ。
実はアドルフとルドルフの兄弟が創設した会社。
兄弟喧嘩の末、アデイダスとプーマに分離。
そのアデイダス、2006年に、
「リーボック」
を購入。
これで利益が増えるかと思いきや、何をやっても赤字。
最近はフィットネス専門のスポーツ用品メーカーと売り出すも、赤字脱出ならず。
15年の苦労の末、遂に売却しました。
このニュースにアデイダスの株は、
上昇。
株価が高過ぎてちょっと買う気になりませんが、大きく株価が落ちることはない銘柄。
300ユーロを割ったら、お金をパーキングするために買っておいても良し。
Zooplus 買収!
コロナ禍の勝ち組が、ペット用品のオンライン販売店 Zooplus。
1年で株価が88%も上昇。
高過ぎ。
「流石にこれ以上の上昇はなさそう。」
と思っていたら、投資ファンドから買収オファー。
株価は41%の垂直上昇。
偶にあるんですよね。
上昇中の株が、さらに上昇すること。
Varta 過度の期待は危険なり
最後に紹介するのは
「電池」
を製造する会社 Varta です。
日本で言えば村田製作所?
アイフォーンの
「イヤープラグ」
用の充電池が、日本人にもっとも馴染みのある製品かな。
最近は電気自動車に必要にな
「高性能充電池」
の製造で業績を伸ばしています(*5)。
「次はダイムラーが提供先になる。」
とのうわさが根強く、
「会社の業績上方修正は時間の問題。」
と言われてきた会社です。
今日、その業績発表がありました。
これが株価の動向。
最高(それとも最悪?)で12%下げました!
そう、業績の上方修正どころか、アナリストの業績予想を下回る決算発表だったんです。
ヴァルタは、
「2021年の後半から需要の回復を期待しているので、業績目標は変わらない。」
と言うも、投資家の耳には届かず。
Buy the dips
「ヴァルタはいずれ、DAXに上場される。」
という会社。
その株価が11%も落ちたら、
“Buy the dips.”(下落をねらって買え!)
です。
流行る気持ちを抑えて、チャート分析。
底値よりも少し高めの135,50でオーダー(*6)。
135.10が今日の底値だったので、オーダー完遂。
晩御飯を食ってから見てみると、
1時間で375ユーロのプラス。
ごっつあんです。
時給5万円。
もう売っちゃう?
それとも月曜日まで待つ?
それが問題だ!
注釈 – DAX 4週間振りに最高値更新 & 更新中!
*1 オーダーが遂行ならず
*2 赤字の時から毎年、1ユーロの配当金。
*3 株主優待券よりも、特別配当のほうがいい!
*4 アベノマスクに使った金と時間をワクチン開発に使っていれば、、。
*5 ポルシェの電気自動車は、ヴァルタの充電池を採用。
*6 本当の底値でオーダーすると、1~2セントの差でオーダーが実行されないことが、多々ありました。