Covit-19 の蔓延からほぼ半年経っと、 コロナワクチン 開発競争 & 争奪戦の真っただ中。
PCR テストの整備・拡充が遅れに遅れた日本、この分野でも出遅れている。一方、欧米の製薬会社では臨床実験が進み、すでにワクチンの争奪戦が始まってる。
何が何でも、
「東京オリンピックを開催する。」
という意地、あるいはあきらめの悪さ?の日本政府は、コロナワクチン争奪戦に参戦した。
あの日本が争奪戦に加わっているということは、余裕のある国はとっくに囲い込み作戦に出ているということ。その典型的な例が米国。
なりふり構わず、財力に物を言わせ、世界中の製薬会社に米国向けのコロナワクチンの枠を確保している。では抜け目ないドイツ & 欧州はどんな戦略を取っているのか、紹介してみよう。
この記事の目次
コロナワクチン 開発競争 & 争奪戦始まる!
ほぼ二か月前、ドイツのバイオ テクニカル企業のビオンテック / Biontech 社 がドイツで最初のコロナワクチンの臨床実験を始めた。(*1)
すべてうまく行けば、今年の晩秋にも最初のワクチンが出来上がるという。もっとも同社は米国のファイザー社(バイアグラで有名)と共同事業を行っている。仮に薬が本当に完成しても、半分は米国政府に押収されてしまう。
Biontech 社製だけに頼っていると、ドイツ国民へ均等に渡るコロナワクチンが出来上がるには、しばらくかかる。なれば度々の集団感染を覚悟しなければならず、経済へのダメージが大きい。そこで第二、そして第三の選択肢が必要になる。
フランスの製薬会社 Sanofi 米国をワクチンで優先す!
国内で開発中のコロナワクチンが米国に先取りされるケースは、ドイツに限ったことだけではない。
フランスの大手製薬会社 Sanofi も開発しているが(* 2)
「最初のワクチンはすべて米国向け。」
と言明した。
参照 : process.vogel.de
これにフランス国民、なによりも大統領が怒った。マコン大統領は、「すべての人間に平等に与えられるべきだ。」と製薬会社 Sanofi の決定を非難、政府と会社との頂上会談を要求した。
製薬会社は社会の圧力に負け、「ワクチンはフランスでも手に入るようにする。」と約束させられた。
もっともこれは政治家向けのリップサービスで、仮にコロナワクチンが開発された暁には米国に真っ先に届けれることは、フランスの政治家でも承知していた。政治家や企業の言葉をそのまま信じるのは、日本人や韓国人くらい。
だから製薬会社の言い訳なんぞ、信じなかった。
注釈 *1
シンガポールは2億5000万ドルをビオンテック社に投資、国民用のコロナワクチン確保に乗り出した。
ビオンテック社は最初の臨床テスト結果が予想以上にポジテイブだったので、7月末より3万人を対象に第二のテストに取り掛かると発表。
注釈 *2
フランスの製薬会社 Sanofi は
「コロナワクチンの開発が他社よりも進んでいる。」
と発表、株式を押し上げた。同社はフランスの厚生省による認可を、2021年の前期と予想している。
参照 : handelsblatt.com
薬の開発ではなく、認可という点が味噌。年間10億本のワクチンの製造ができるという。トランプが目をつけたのも無理はない。
対米 コロナワクチン 同盟発足す
欧州では製薬会社のモラルを信用せず、EU内で薬を確保すべく、行動に出た。
ドイツ、フランス、イタリア、それにオランダのEUの主要国家が、対米 コロナワクチン同盟を発足させた。
参照 : welt.de
この同盟の目的はただひとつ。物になりそうな開発をしている企業に投資して、研究、臨床実験、製造施設の拡充を助ける一方で、その製薬会社で製造されたワクチンを欧州用に確保すること。
この同盟が真っ先に目を向けたのは、よりによってEUから離脱したイギリスで開発が進んでいるコロナワクチンだった。
(英)製薬会社 アストラ ゼンカ / Astra Zeneca
オックスフォード大学と共同で研究開発をしている英国の製薬会社、アストラ ゼネカ / Astra Zeneca は、コロナワクチンの開発では最も進展している。
その開発は、まずは以下のような手順になるが、
- 試験薬を(数種類)開発
- 動物実験
- 臨床実験を申請
- 最初の臨床実験(副作用チェック)
- 二回目の臨床実験(ワクチンの濃度チェック)
- 三回目の臨床実験(大規模人体実験)
日本はまだ2.段階。(*3)ドイツの製薬会社ビオンテックは5.段階。米国のモデルナ製薬は5.段階。 アストラ ゼネカはすでに6.段階に達している。中国を除けば最先端だ。6.段階の実験結果次第で、この秋から大量生産が可能になるという。
そんなニュースを米国が見逃す筈もなく、トランプは英国と真っ先に同社が製造する大量のコロナワクチンを確保した。インドはパテント生産の権利を確保した。ドイツ政府も4億本のワクチンを確保した。
参照 : manager-magazin.de
この動きを見て、オリンピック開催の最後の希望をかけた日本、ロシア、中国、ブラジルも確保に動き出している。
注釈 *3
報道によると日本でも6月30日から最初の治験が行われるそうです。
独 バイオテクニカル Cure Vac 臨床実験始まる
ドイツ国内でのコロナワクチン製造では、テュービンゲンにある Cure Vac 社が一番有名になった。
というのもトランプが大口投資と引き換えに、米国だけにコロナワクチンを製造する事を要求したからだ。ところがフランスの製薬会社、Sanofi と異なり、 Cure Vac 社はこのオファーを蹴った。正確に言えば、トランプのオファーが報道され、大ブーイングが発生。同社は拒否せざるを得なかった。
こうして同社は一躍有名になった。
臨床実験開始では ビオンテック / Biontech 社に遅れを取る事、およそ2か月。6月中旬になって Cure Vac 社にも臨床実験の許可が下りた。同社曰く、
「コロナのDNAを分析、抗体を作るのに最適な組み合わせを見つけた(ので長くかかった。)。」
という。
今後、
- まずはワクチンを志願者に注射して、副作用が出るかを調査。
- 大きな副作用が出なければ、異なる濃度のコロナワクチンを注射、抗体を作るのに最適な濃度を探り
- 最後は数千人規模の人体実験で副作用の調査
という手順なるという。
問題はコロナワクチンが効いて、本当に感染を防げるかどうか。
ドイツ国内では感染が収まっているので、このテストには適していない。そこで最終テストではブラジルなど、日常的に感染の危険がある国で実践実験を行う予定だ。
すべてうまくいっても、最初の汎用ワクチンが出来上がるのは年末になるという。期待してます。
ドイツ政府 Cure Vac社のコロナワクチンを確保す
ここでも心配なのが、中国や米国が同社のワクチンを確保しないか?
実際、マイクロソフトの創設者、ビル ゲイツの財団がCure Vac 社へ投資を行っている。
ゲイツ財団は米国政府とは直接の関係はないが、だからといって安心して何もしないのは、沈みかけたフェリーで館内放送を聞いて、フェリー内に留まるようなもの。
そこでドイツ政府は行動に出た。同社に3億ユーロを投資して、23%の株式を取得した。
参照 : dw.com
これで同社が開発するコロナワクチンを確保する目的なのは、言うまでもない。もっともドイツには複数のバイオ テクニカルの会社がある。政府が特定の会社を優先するのは、よろしくない。
日本ではありえないことだが、寡占局長は政府のこの決定を「公正な競争を阻害している。」と非難している。公明正大にやるならその通りだろうが、そんな贅沢を言っておられないほど、コロナワクチンの争奪戦が激化している。
コロナワクチン が日本国民に届くのはいつ?
一方、日本はやっぱり儒教の国。
政府が日本の製薬会社に資金援助するとか、一切しないで、
「日本の製薬品メーカーが、(自費で)日本人向けのコロナワクチンを開発するのは当たり前。」
と、殿様対応。そんな簡単な世界じゃないのが、わかってない。
ワクチン開発は、数十億円もの金がかかる大事業。それでも開発に成功すればいいが、失敗すれば会社にとって大きな経済的なダメージになる。
「なんでそんな危険な賭けに出る必要がある?」
と、多くの製薬会社が二の足を踏んだ。
しかし政府が投資すれば、安心してコロナワクチンの開発はおろか、同時に製造ラインの構築にも手を付けることができる。アベノマスクに使う金があるなら、製薬会社に投資すべきだった。
ワクチン製造 & 開発能力で世界最先端の技術、経験を持つ欧米があれだけ製薬会社に投資しているのに、日本政府は唯一、アストラ ゼンカで開発中の薬の購入交渉を始めただけ。日本企業への投資はゼロ。
ワクチン開発の成功率 1/10
ワクチン開発の成功率は1/10だという。
アストラ ゼンカ自身、
「効果がないかもしれない。」
と言っている。EU ならアストラ ゼンカの薬が効かなくても、ドイツ、フランス、イタリア、スペインなど、各国で開発中のコロナワクチンが成功する確率が高い。
しかし日本には、これに備えるプランBがない。
「いや、日本で開発中のコロナワクチンがある。」
というなら、ここに投資して研究開発の後押しをして、重荷を製薬会社から取ってやるべきだ。日本でワクチン開発に乗り出す会社が多ければ、それだけ開発に成功する確率が高まる。
欧米で開発されたコロナワクチンの日本国民用の「おすそ分け」を待っているだけでは、アフリカ諸国より遅れるかもしれない。
コロナワクチン アップデート
まずはコロナワクチンで最有力候補のアストラ ゼネカ / Astra Zeneca 社から。
同社は臨床試験で被験者に抗体反応が見られたばかりか、ウイルスを攻撃するT細胞の増加が見られたと報告して、世界中で株式を押し上げた。もっとも軽微の副作用、倦怠感や頭痛が被験者に確認された。
今の時点では、
「本当にワクチンがコロナ感染を防ぐかどうかわわからない。」
と言っており、まだ前途多難だ。にもかかわらずアストラ ゼネカ / Astra Zeneca 社は9月ワクチンの認可申請をあげると言っており、コロナの蔓延に悩む米国は、緊急認可も辞さない構えだ。
米国ほど感染が(まだ)蔓延していない日本では、米国で同社のワクチン接種の効果をじっくり確かめてから、使用できる強みがある。もっともそうなると最初のワクチンが日本で使用されるのは、来年になるかもしれない。
米国の製薬会社、モデルナは第二の臨床実験を成功裡に終え、3万人を対象にした最終の臨床実験を行うと発表した。
この発表の数日後、米国のファイザー社は、三万人を対象にした最終段階の臨床実験の許可が下りたと発表した。
参照 : tagesschau.de
なんと第二段階と第三段階の臨床事件を同時に行うという。なんとしてもワクチンが早急に欲しい米国政府の配慮による認可のようだ。
ファイザー社が治験を行ってるのは、ドイツのビオンテック / Biontech 社が開発したワクチンだが、日本では、「ファイザー社のコロナワクチン」と報道されている。
ビオンテック社によれば、
「すべて計画通りに行けば」
10月には厚生省に使用認可申請を行うという。
ビオンテック社は米国のナスダックにて上場されているが、このニュースが同社の株価をさらに押し上げた。同社の株価はコロナの蔓延前と比べて、最高時でほぼ3倍になった。
3月に買っておけば良かった!今でもまだ間に合う?
ビオンテック社に遅れをとったCure Vac 社だが、同社に投資する会社、国が次々に現れている。
英国の大手製薬会社 Glaxo-Smithkline は1億5000万ユーロでCure Vac 社の株を10%取得、今後、共同で薬を開発していくという。さらには中東からカターが1億2600万ドルを投資している。後者の場合、ワクチンの獲得という意味もあるが、本当の狙いは金儲けのようだ。
というのもCure Vac 社、この秋に米国のナスダックにて上場する予定だ。つい先日、監督機関のSECに上場の申請をあげたばかり。
参照 : tagesschau.de
9月の上場を目指しており、 “CVAC”の名前で上場される予定だ。ビオンテック社にの株価がほぼ3倍になった事を考えれば、今買い?