今回のテーマは Abmahnung です。
日本にはない慣習なので、
「何ソレ?」
という方がほとんどです。
当然、その対処方法もご存じないので、
「どうすればいいの?」
とお悩みのあなたに、正しい対象方法を伝授いたします。
この記事の目次
Abmahnung って何?
以前ここで紹介した
“Mahnung”
は個人生活での出来事です。
その一方で、仕事をしてい雇用主/会社から警告書もらうことがあります。
これを
“Abmahung”(アップマーヌンク)
と言います。
もらっても、
「”Abmahnung” って何よ?」
って呑気な日本人も少なくない。
でも”Abmahnung”(警告書)は、会社が従業員をクビするための
「第一の手段」
です。
その意味と対処方法を知らないと、あとでえらい目に遭います。
ドイツで働く人、要注意!!
まずは
「Abmanungの表向きの意味(理由)」
を説明します。
これは、
例えばこちらで書いているように、
病欠するのにちゃんと上司に連絡しなかった場合。
ちゃんと連絡せずに自宅で療養、病気が治って会社に行くと
“Abmahnung”
が待っています。
この警告にも関わらず勤務態度が改善されない場合、会社は二度、三度と”Abmahnung”を出すまでもなく、二度目でクビにできます。
ですから最初に”Abmahnung”をもらったら、すぐに対処が必要です。
Abmahnung 会社側の本音
欧州には労働者が劣悪な労働環境と長く戦って、
「労働者の権利」
を獲得してきた長い闘争の歴史があります。
このため一度社員を雇用すると、なかなか首にできないという状況にあります。
社員をクビにできるのは、不況で会社の屋台骨が傾いた場合くらいです。
そこで会社は
「余剰社員やトラブルメーカー」
をなんとかして、厄介払いしようとします。
その手段として使用されるのが
“Abmahnung”
という処置です。
ひどい場合は、スーパーで盗難があると特定の社員に濡れ義務を着せて、
“Abmahnung”
を出します。
あとはその従業員が何かミスをするのを待つだけ。
遅刻だったり、仕事上のミスを犯すと、
「待ってました!」
と
「二度目の”Abmahnung”」、
すなわち解雇が下されます。
勿論、正当なケースもあります。
会社の社長を公然と、
“Arschloch!”
なんて非難すると、すぐ翌日に
“Abmahnung”
がもらえます。
このような正当なケースはまあ仕方ないですが、身に覚えのない場合、どうすればいいのでしょう?
Abmahnung 対処法
“Abmahnung”をもらったら、きっと腹が立つと思いますが、その場ではぐっと堪えてください。
何も言わないのが身のためです。
まずは”Abmanung”に書かれている内容が、
「まあ、当たっている。」
か、
「全くのがでっち上げ」
なのか、冷静に判断してください。
前者である場合は、勤務態度を改めましょう。
後者である場合は、証人になってくれる人/同僚を探します。
そして証人は一人だけよりも、複数いたほうが有利です。
それから会社に労働組合がある場合は、ここにすぐに相談しましょう。
あなたのために会社と交渉してくれます。
労働組合がない場合は弁護士保険を使って、弁護士に相談します。
弁護士保険に入っていない場合は、
- 自費で弁護士に相談する
- 泣き寝入りする
の二社選択です。
警告書は撤回されない?
交通違反であれば、2年行儀よくしたら違反点数が消えます。
この”Abmanung”の始末が悪いのは、永遠に残る事。
5年前の”Abmahnung”が理由で、仕事中に携帯電話を見たことを理由に、首になる事だってあります。
もっとも5年間もミスも遅刻もしないで仕事ができる人は居ません。
ですから、最初の警告書の撤回を求めて訴える人も多いです。
というのも”Abmahnung”には、
「勤務態度が悪い。」
などのような抽象的な理由ではなく、
「勤務中に私物の携帯電話ばかり見ている。」
「〇月〇日、14時、15時、17時」
などと
そんな
「法律上正しい”Abmanung”」
は稀です。
これを弁護士が警告書を見れば、
「正しい警告書」
なのか、
「誤った警告書」
であるか、簡単にわかります。
「誤った警告書」
であばこれを不服として撤回を求めれば、まず負けることはありません。
又、
裁判になれば会社側も折れて、
「警告書を撤回するから、訴えも取り下げてくれ。」
という形で和解に終わることが多いです。
大事なのは、
断固とした態度を見せれば、ドイツの法律に詳しくない日本の会社はまず先に折れてきます。
Abmahnung 関連判例
ドイツには”Abmanung”に関する
「無数の裁判例」
があります。
そこでここではその判例を紹介します。
ある技師が通勤後、会社で仕事着に着替えてから、仕事に就いていました。
その際、着替えの時間も仕事時間に入れていたんです。
会社は
「着替え時間は仕事時間ではない。」
と警告書を出しました。
技師はこれを不服として警告書の撤回を求めて、労働裁判所に訴えました。
判決
ところが労働裁判所は、
「すでに自宅で身に着けて、その姿で通勤しなさい。」
という主張は、過度の請求 / unzumubar だと判断。
会社側に警告書の撤回、及び、着替え時間を労働時間として認めるように判決を下しました。