2021年は2020年が終わったように、始まりました。
ドイツではコロナによるロックダウンの真っただ中。
ロックダウンが1月末まで延長されたこともあり、
ドイツ政府はコロナ経済対策を上乗せ。
コロナ前黒字財政だったドイツでは、このままでは終わりません。
コロナ増税は避けられません。
「来るかどうか」
の問題ではなく、
「いつ、どれだけの大きさで来るか」
が争点です。でも2021年は総選挙の年。
選挙前に、
「大幅増税します。」
なんて公約では勝てないので、適当にお茶を濁して選挙。
政権が成立後、年末にかけてコロナ増税が決定。
でもそれはまだ来年の話。
今回は、2021年から施行される税制上の負担と軽減について紹介します。
この記事の目次
東ドイツ復興税廃止
まずは一番おいしい税制上の変更から。
1991年に
「短期間だけ」
という言い訳で導入され、1995年から恒久的に導入されていた東ドイツ復興税 / Solidaritätszuschalg 。
所得税に5.5%も上乗せして徴収されてきましたが、30年の長き時を経て、遂に廃止されました!
少なくても国民の90%には。
年間所得(税込み)が7万3000ユーロ(単身家庭)を超える方は、今後も払い続けます。
でも、割合は減ります。
どのくらい減るの?
お給料をもらう前に知りたい方は、税務省のホームページでチェックできます。
参照 : www.bundesfinanzministerium.de
尚、これまでは利子、配当金、それに株の売却益は、750ユーロまでは非課税でした。
東ドイツ復興税の廃止で、この限度額が930ユーロに引き上げられます。
ゼロ金利どころかマイナス金利の時代なので、利子で930ユーロも入るのはまずだと思われますが。
株を所有している人は、今年の配当金から手取りが増えますよ!
付加価値税19%に復活
コロナ禍により落ち込んだ消費を支えるため、政府が実施した付加価値税の減額。
これが12月31日にて終わり、1月1日から19%に戻りました。
食料品などに課せられる付加価値税は、5%から7%に。当然、1月以降はインフレになると予想されています。
児童手当 / Kindergeld
ドイツで子供を産むと、児童手当が出ます。
それも日本みたいなケチな額じゃない!2021年からは子供は二人目まで、一人頭219ユーロも支給されます。三人目からは225ユーロにあがり、四人目からはなんと250ユーロ。
子供が4人居れば、毎月913ユーロの収入です。
「自動手当なんてなくても、生活には困らない。」
という恵まれた家庭だったら、子供税金控除額 / Kinderfreibetrag を利用すればいいです。
すると収入はさらに5460ユーロまで、タックスフリー!
参照 : www.bmfsfj.de
さらには幼稚園の費用、教育費、職業訓練費なども、2984ユーロまで経費として落とせます!
受給資格
という記事を書くと、子供を連れてドイツに引っ越しされ、
「児童手当がもらえないと言われました。」
とメールをいただくことがあります。本当に。
考えてください。アフリカでは子供を5~6人も生むことも珍しくない。
誰でもドイツに来れば児童手当がもらえるなら、アフリカに留まって子供を育てるお母さんはおらず、皆、子供を連れてドイツに来ます。
そんなことが可能なら、ドイツの国家財は破綻します。
児童手当の受給資格は、あなたがドイツで働いて税金を払っている事です。
ドイツの社会保障を目当てに、
「ドイツに行って、生活保護や児童手当で生活しちゃおう!ベルリンなら育児所もタダだし!」
と考えている方、引っ越ししないほうがいいです。
所得控除額 / Grundfreibetrag
これまでは9408ユーロの所得まで、タックスフリーでした。
2021年から336ユーロ値上げされ、9744ユーロになります。当然、皆さんが払う税金も減額されるので、お財布に多く残ることになります。
又、最高税率の42%を払うお給料額はわずかに引き上げされて、5万7919ユーロからになります。
住民税
ドイツの住民税は幾らですか?
というお問い合わせをいただくことがあります。
ドイツには住民税、ないですよ~。
二酸化炭素税
以前、こちらで紹介した通り、
ドイツでは環境保護政策の一環として、二酸化炭素税が導入されています。2021年からこの税率が上昇、25ユーロ/tとなります。
これが軽油、ガソリンにも反映され、リッターあたり10セントほど上昇します。痛いっ!
通勤費控除 / Pendlerpauschale
かって政府が郊外に住むことを奨励したため、これを信用して郊外に家を買った人は、二酸化炭素税で家計に大きな負担。
選挙で負けるのを恐れた政府、通勤で車を使う人には通勤費控除額を上乗せしました。
21キロ目から、控除額はキロ35セントに上昇します。結果、例えば通勤に35Km走っている人は、年間で165ユーロ税金の還付を期待できます。
電気代 税制上の負担と軽減
欧州で最も高いドイツの電気代。
2021年1月の時点で全国平均が32セント/Kwh(基本料金込み)。日本円に直すと36円ほど。
名古屋の電気代は28円/Kwhなので、1.6倍です。2倍くらいするのかと思ってた。
高い電気代の原因は、”EEG”と呼ばれる再生エネルギーの補助金。
このEEGが2021年はわずかに減額されるので、値上げ(値下げも)なさそうです。
国民健康保険料
コロナ禍でPCRテスト、コロナワクチンなど、国民健康保険が負担して、大赤字。
この赤字を埋めるため、”Zusatzbeitrag”と呼ばれる保険金の追加保険料が0.2%ほど上昇します。
もっとも値上げ幅は、個々の国民保険会社が決定します。大きく上昇する保険と、ほとんど変わらない保険があります。
「値上げのお知らせ」
が届いたら、是非、他の保険会社と比較してみよう!
介護保険支給額上昇
介護施設に入れず、自宅で身内を介護している方に支払われる介護保険支給額。
介護レベルが2&3の場合、支給額が600ユーロから1100ユーロに、介護レベルが3&4の場合、1800ユーロまで。
介護レベルについて知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。