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ドイツ全土で高まる 反極右デモ 何が原因なの?

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ドイツ全土で高まる 反極右デモ 何が原因なの?

破竹の快進撃を続ける極右政党。

あのオランダではすでに第一党になり、次はドイツで第一党になるのも夢ではない。

ところが1ヶ月前からドイツ全土で

「反極右デモ」

が次々に発生している。

一体、何があったのだろう?

何故、極右政党がウケるのか?

何故、欧州各地で極右政党がウケているのだろう?

とわざわざ問うまでもない。

既存政党は利権確保にやっきになり、国民の生活を顧みない。

(前)日銀総裁の

「国民は物価高を受け入れている。」

という発言が象徴するように、

国民の生活なんてど~でもいい。

ドイツでは大不況の90年代でさえ、70%以上が

「中間層」

で心配の要らない生活を送っていた。

それが最後に調査された2019年では63%まで落ちた。

今、調査されればもっと低くなっているだろう。

自分だけいい生活をしている既存政党の政治家に、国民が愛想をつかすもの当たり前。

ドイツの事情

これに加えて他国とは異なる

「ドイツの事情」

がある。

それが今の政権。

とりわけショルツ首相。

国民の心配、生活苦を全く理解していない。

あるいは理解していても、ハンブルク人の冷淡さからか、その素振りを見せない。

首相が、

「物価高で生活が苦しいのはわかっている。今こそ国民が団結して、皆で危機を克服しようでないか!」

と言えば、

「苦しいのがわかっているんだな。」

と国民に伝わる。

多分。

しかしそのような呼びかけは一切ない。

それどころか、

「専門家が予言した景気後退は実現しなかった。」

と、政府の成果を主張。

しかしドイツは景気後退のど真ん中。

首相が事実を歪曲するのは、日本だけでではない。

政府は本来なら公共事業に金をつぎ込んで、景気の押しあげをするもの。

しかし政府は緊縮財政。

お陰で出口が見えないばかりか、悪化する一方で、

「ヨーロッパの病人」

のタイトルをいただいた。

なのに、

「政府のやっていることは正しい。」

と思える人がいたら、相当なマゾ。

ポツダム会議 極右 外人排斥のマスタープランを協議

今年はEU議会選挙の年。

加えて東ドイツでは州選挙がある。

既存政党に対する反感から、極右政党が大躍進するのは避けられない。

加えて東ドイツ地域は

「ネオナチの温床」

であるから、複数の州で第一党になるだろう。

「もう勝ったも同然。」

と極右政党とその支持者はポツダムに集まって

「外国人を排除するマスタープラン」

について協議した。

極右政党のAfDからは議員と党首直属の

「副官」

が出席して意見交換をした。

それだけではない。

「SNS部隊」

を創設して、フェイクニュースを発信。

国民の間で

「反外国人ムード」

を煽る事も計画された。

が、この会議に記者が潜入しており、その一部始終を公開した。

「排除される外国人」

には日本人などの黄色人種はもとより、

「ドイツ国籍を持つ外国人」

も含まれていた。

現代版 ヴァンゼー会議

かってナチスは1942年、ベルリンのヴァンゼーで

「ユダヤ人問題の最終解決」

を討議する

「ヴァンゼー会議」

を開き、ユダヤ人の抹殺を決定した。

今回の極右によるポツダム会議は、そのヴァンゼー会議の現代版だった。

反極右デモ始まる

「極右が密かに外国人排斥のマスタープランを協議している。」

という報道に、ナチを体験したドイツ人は

“Nie Wieder”(同じ過ちを繰り返すな!)

と各地で立ち上がった。

ポツダム会議の報道から一ヶ月経ったが、

「反極右デモ」

がない週末はない。

それどころか

「ネオナチの温床」

になっている東ドイツでもデモが始まった。

日本の皆さんに考えて欲しい。

右翼が朝鮮人学校の前で、

「出ていけ!」

と叫んでも、日本人は誰一人朝鮮人の為にデモなんかしなかった。

なのにドイツ人は外国人の権利を守るために、クソ寒い真冬にデモに参加している。

かって強制収容所を生き延びたカトリック司祭が、

「最初はホモやユダヤ人、ジプシーなどが追放されたが、関係ないので何もしなかった。」

「次は共産主義者が消える番だったが、関係ないので何もしなかった。」

「最後は司祭が消える番だったが、もう声を上げる人は残っていなかった。」

と自責の念を語っていた。

この司祭がいう通り、民主主義を覆すような言動には、必ず声をあげて反対する必要がある。

「俺には関係ない。」

と見過ごすと、最後は自分に火の粉がふりかかってくる。

いい例がミャンマーの軍事クーデターだ。

当初、軍部はイスラム教徒のロヒンジャを殺し始めた。

が、仏教徒のミャンマー人は、

「いい気味」

と誰も反対しなかった。

これに気を良くした軍部はクーデターで民主政府を転覆させた。

今度はミャンマー人が殺されることになった。

ドイツの今の姿を見る限り、極右政党は今年の選挙で

「大勝」

するのは避けられないが、ドイツ全体が極右に染まることはない。

ちゃんとドイツ人は過去の失敗から教訓を学んでいる。

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執筆者:

nishi

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