ドイツでもジムは大人気。
その使用料金は、1年、2年、3年契約の3つから選べます。
3年契約だと、たったの25ユーロ/月。
日本円で3000円。
激安!
素人は3年契約を選びます。
ドイツの達人は1年契約で、40ユーロ/月。
何故でしょう?
それは契約の解約期限を逃すと、自動(*1)で3年延長されるから。
だからドイツのジムには、
「もう2年も行ったことがない。」
という幽霊会員が大勢います。
ドイツ政府はこの消費者の無知、もとい、油断につけ込む
「契約の自動更新」
を含む消費者法の改正を(やっと)国会で決議しました。
今回はその中身について紹介します。
この記事の目次
消費者保護法の改正
今回の消費者保護法改正の対象になるのは、ジムでの契約だけではありません。
携帯電話、インターネット、電気、ガスなど、消費者が契約する事項に総じて適用されます。
例えば携帯電話やインターネットの契約はこれまで
「最低2年契約」
が基本でした。
政府は
「長期契約が諸悪の根源」
として、
そう、制限であって禁止ではありません。
2年契約が許されるのは、
- 1年契約も同時にオファーするべし
- 価格の格差は25%以内にすべし
という条件付き。
冒頭のジムの料金を例に出して言えば、1年契約で40ユーロ、2年契約で30ユーロ/月であれば、合法ということになります。
それでも十分安いので、2年契約する人が多く出ると思われます。
でも、
「安い方がいい!」
と2年契約することの、どこが問題なんでしょう?
契約解約期限の罠
ドイツのジムは毎年、新年から2月末までが書き入れ時。
それはお正月に食って寝てを繰り返し、
「ズボンが入らない、、。」
と悩む男性、
「夏までにビキニの似合う体系に戻りたい。」
と女性が大勢、新規会員になるからです。
もっとも5月になると、新規会員の9割は姿を消しています。
でも2年契約を結んでいるので、解約できないんです。
ジム行く気力が萎えた場合は
「仕方ない」
かもしれませんが、引っ越しでジムが使えないのに解約できないことも。
解約の唯一のチャンスは、
1日でも遅れたら、
「規則ですから。」
と、取り付く島もなく、自動で2年延長です。
30ユーロの2年分だから720ユーロ。
ほぼ10万円です。
これが契約解約期限の罠です。
ドイツ人でも契約の解約を逃す人の多い事。
原因は、
「期限までまだ1年以上ある。」
という油断です。
私は契約した日に書面で解約通知、
「解約のコンファームを書面で送ってください。」
と手紙を送付してました(*3)。
解約のコンファームをもらっていても、
「あなたの契約は自動更新されました!」
連絡が来るのは(元)国営のドイツテレコムの十八番。
解約のコンファームがなければ、泣き寝入りです(*4)。
解約時期の緩和 – 契約の解約が容易になる!
消費者保護法はまさにこの点、
「契約が切れる3か月前までに解約、さもないと自動で契約更新」
が根本的に改正されます。
法律改正により、
例えば契約期間が12月31日までなら、11月30日が解約の最後のチャンスです。
これにより消費者には、直前でも契約を解約できるチャンスが与えられます。
さらに!
例えば、
「12月1日0時をもって自動で契約が延長されます。」
と通知することが義務化されます。
それでも解約を逃してたら、自業自得です。
契約の解約方法
11月30日なってから、
「あ、解約期限は今日だった!」
と大急ぎで契約の電話をする方が居ます。
基本、電話での解約通知は無効です。
勿論、ドイツテレコムなどは、
「解約ですね。かしこまりました。」
と返事をします。
でも数日後、ちゃっかり
「契約更新のお知らせ」
が届きます。
すると、
「ちゃんと電話で解約したじゃやない!」
と日本人。
「いつ、誰と解約の話しをされたか証拠は出せますか。」
と尋ねると、
「テレコムです。」
というお返事。
これでは証拠になりません。
ちゃんと証拠が残るように解約してください。
すなわち書面にて解約、相手から解約のコンファームを書面で取るんです(*5)。
解約ボタンの設置
日本で契約された電気、ガス、携帯電話、インターネット、どこを探しても
「解約ボタン」
がありません。
稀にある場合でも、かなり奥のほうに隠しています。(*6)
ドイツでも同じです。
そこで消費者保護法に改正にあたり
という解約ボタンを、ホームページ上に設置することが義務化されます。
とは言ってもこれを無視する会社も多いのは確実。
そんな会社を発見したら、
「解約ボタンはどこですか。法律違反で訴えますよ。」
と、やんわりと注意喚起してあげましょう。
保障期間の延長
これまでの消費者法では、(新品・中古を問わず)保障期間は6ヶ月まででした(*7)。
消費者法の改正により、
「デジタル機器」
の保障期間は1年になります。
1年以内にデジタル機器が故障した場合、
「不具合は購入時に存在していた。」
と見なされます。
携帯電話やカメラに明きからな
「外傷」
が見られる場合は、1年以内でも保証が効かないのは、言うまでもなし。
すなわち!
新品を購入されると、法律改正の前から保証期間が最低でも1年ついているので、法律改正後もほぼ同じ。
唯一の違いは、
「書面等で保障を明確に提示する事。」
という定義が加えられたこと。
大きく変わるのは中古品の販売。
これまでは販売店が中古品を販売する際、保障期間は6ヶ月でした。
これが法改正で1年に延びることになりました。
販売店にはリスクが高まることになりますが、消費者は安心して中古品を購入できます。
拡大解釈に注意!
ちょくちょく記事を拡大解釈をする方がいるので、補足しておきます。
消費者保護法の改正で対象になったのは、デジタル機器です。
家電機器でも掃除機などのアナログ式の機器は、対象外です。
さらに!
販売店から購入する場合に限り、保障期間の延長が効きます。
知り合いなどから購入した機器は、購買後1時間で壊れても、
「お金を返して!」
等の請求権はありません。
注釈 – 消費者保護法の改正
*1 強制と言った方が正解。
*2 昔は契約の切れる半年前まで!だったので被害者が多かったです。
*3 同じことをお客さんにアドバイスすると、「でも解約してたら、使えなくなるじゃないですか!」と言われます。
違います。契約が解約できるのは、3か月前までです。すなわちあなたがサインした2年契約は、2年後にしか解約できません。
だからすぐに解約しても、解約が効いてフリーになるのは2年後です。
*4 ドイツの会社は、とりわけ大企業は「オレオレ詐欺」と同じくらい質が悪いです。信用すると馬鹿を見ます。
*5 法律上、メールでの解約も可。でも会社側が、「届いていない。」と言えば、解約は無効です。
*6 唯一の例外はネットフリックス
*7 “Garantie”ではなく、”Gewährleistung”の方です。