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ドイツ生活に欠かせない保険を紹介!

投稿日:2015年10月17日 更新日:


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ドイツ生活に欠かせない保険を紹介!

ドイツで住む場所が決まったら、次に行うべきことは何でしょう?そう、まずは住民登録、そしてドイツ滞在の鬼門である滞在ビザの申請。通常、住民登録は市役所の他に、”Bürgerbüro”と呼ばれる出張所でも受け付けてくれる。

デユッセルドルフで交通局と一緒になっている役所に行くと、2時間半も待たされて辟易。出張所を利用するほうが圧倒的に早く済みます。アウグスブルクの市役所では何故か住民登録を受け付けてくれず、無愛想な外人局で住民登録を行うように指示されます。理由は不明。

アウグスブルクの外人局でも英語は通じません。言葉できないと、と~っても不愉快な思いをしますので、覚悟していくか、ドイツ語のできる人に同行をお願いしてください。

わずらわしい官庁巡りに注意を削がれますが、住む場所が決まったらドイツの生活に欠かせない保険に入ろう。ドイツで生活に欠かせない保険は4つ。一番大事なのは健康保険。これについてはこちらで書いたので、今回は省略。

その次に来るのが “Privathaftpflichtversicherung”(個人賠償責任保険)、”Rechtsschutzversicherung”(弁護士保険)、それに”Hausratsversicherung”(家財保険)だ。

上位三番目まではドイツ生活の必修です。それなのに日本人が抵抗するのが、個人賠償責任保険。とっても大切な保険で、保険料がとっても安いのに、「必要ですか。」とドイツに滞在される方から度々お問い合わせをいただきます。これに加入しないでドイツに滞在するなんて、「ドイツの達人になる。」を読まないで、ドイツに来る様なもの。トラブルは時間の問題です。この保険がどんなに大切か一例を。

個人賠償責任保険

そんなにちょくちょくあるわけではないですが、それでもアパートの鍵をなくしてしまうことがあります。これを管理会社に報告すると、「盗まれた可能性があるので、アパートの鍵を交換します。」と言われる。これは何も自分のアパートだけではなく、すべての世帯の鍵と錠を交換するので、数千ユーロもかかる大事業。

「数千ユーロで済むならまだいい方ですよ。高層アパートだったら、1万ユーロを越えますよ。」なんて慰めてもらっても、全然、慰めになりません。ここで助けてくれるのが個人賠償責任保険。ちゃんと保険に入っていれば、鍵の損失はなんと数万ユーロまで補償されている(加入される保険によります)。

「私はワーキングホリデービザ*を申請するとき、個人賠償責任保険に加入したので、鍵をなくしても大丈夫だわ。」と思っている方、大丈夫ではありません。ワーキングホリデービザの申請時に加入する保険には、鍵の保障はついていません。個人賠償責任保険は通常、50~70ユーロ/年の保険料で済みます。

中には30ユーロくらいで加入できる保険があります。何故、そんなにお安いのでしょう?お得なだけ?そんな分けはなく、保障内容を削っているので安いのです。「これは安い!半額で済む!」と値段だけ見て加入すると、「鍵の損出は対象外です。」と保険会社から言われ、目の前が真っ青。間違った場所で節約されませんように。

個人賠償責任保険の補償は、ドイツ国内に限りません。家族揃って休暇。子供が羽目を外し過ぎてホテルのロビーに飾っている高価なお皿や花瓶を割ってしまっても、保険が利くという優れものがこの保険です(子供がロビーでサッカーをするなど、あまりに無茶な行動をした場合は保険も効きません。)。しかし保険により、「外国での損害は欧州内のみ。」と書かれている場合も多いので、保険条件を読んで世界中で利く保険に加入しよう。

弁護士保険

次は一度、ここでも紹介した弁護士保険です。ドイツ在住の方から、「なんで弁護士が要るのですか。」と、お怒りの相談をいただいた事があります。というのもドイツ人は100%非があっても、これを認めません。そんなコンクリート頭のドイツ人相手に理を通すには、法律に頼るしかありません。

とりわけドイツ滞在を始める初期は、ドイツ人とのコンタクトが増し、トラブルに遇う確立は高いので、この保険は当初から必修です。特にドイツで就職される方。ドイツ人は就職すると、まずは雇用関係の弁護士保険に入ります。雇用側の勝手な都合での解雇であっても、労働裁判所で争う場合、この保険がないと(金銭的に)会社を相手に戦うことはできません。

そして欠かせないのが個人分野をカバーする弁護士保険。ネットで買った品物を返品したのに、相手が返品、返金を拒否する事もあります。あるいは中国製の偽物が送られてくることも。とりわけ安い値段に引かれて無名の販売店やEbayで注文をすると、こういう目に遭いやすいです。そんな時に役立つのが個人分野の弁護士保険です。

「私は個人分野の弁護士保険に加入したので、何をしても大丈夫だわ。」と思っていると、そうでもありません。例えば音楽を違法ダウンロードすると、著作権協会の委託を受けた弁護士事務所から、”Unterlassungserklaerung”(もうしませんという宣誓書)と分厚い訴状、それに請求書が届いて真っ青になります。

「幸い、弁護士保険に加入しているので相談しよう。」と相談に行くと、これは”Vorsatz”(違法と知っていて行った行為)なので、保険は利きませんと言われてショック!そう、弁護士保険は故意の行為(犯罪行為)には使えません。

音楽や映画など、著作権を無視したダウンロードは違法行為なので、保険の対象外です。個人分野の弁護士保険で、”vorsätzlicher Vergehen”(故意の誤った行動)をカバーしている保険もあるので、保障範囲も比較してから保険に加入しよう。

家財保険

最後に来るのが家財保険。泥棒が入ったり、雷が落ちたりした際に発生した被害をカバーする保険です。日本でも毎年発生している異常気象。ドイツでも例外ではなく、集中豪雨や嵐、さらには竜巻まで発生しています。

2015年にはアウグスブルクの郊外でも竜巻が発生。そこまでひどくなくても、“Orkan”がやってくると、日本の台風のような大荒れになります。アパートの前の木が倒れてきたら、被害は避けられません。さらに雷が近くに落ちたら、自宅の家電製品はすべてお釈迦様。テレビ、洗濯機、冷蔵庫、オーブン、モニター、コンピューター、プリンター、照明、高額の損害が発生します。

ちなみにあるマダムによると、停電により冷蔵庫に入れていた高価な日本食良品が腐ったら、これも保険で保障されたとの事。この保険、損害が発生する確率も低いので保険料は安いです。70㎡のアパートで54ユーロ。これで1年間危険がカバーされるので、安いもの。

「じゃ、私は家財保険に加入したので、ダイヤモンドの指輪をなくしても大丈夫だわ。」と思っていると、大きな落とし穴があります。保険額には上限があり、保障は㎡あたり650ユーロまで。70㎡なら4万5500ユーロまで。この額を超える損害は補償されません。

貴重品、あるいはもっと高価な家具をお持ちの方は、そのような高級住宅向けの保険に加入してください。又、この保険料は自転車の盗難保険(補償額は500ユーロまで。)込み。自転車をお持ちでない場合、自転車盗難保険を外せばもっと安くなります。

さらに家財保険は空き巣による現金被害も保証されています。もっとも泥棒に入られてから、「自宅に5万ユーロ置いていた。」と言っても、そのまま通ることはありません。銀行の明細まどで本当に現金を下ろしたことを証明する必要があります。そのような証明ができない場合、被害総額がそのまま通ることは滅多にありません。

保険は使い放題?

「私はすべての保険に加入したので、保険をどんどん使わないと損だわ。」と思っていると、大きな落とし穴があります。保険屋は保険を売って、お金儲けをするのが商売です。頻繁に補償を請求されると、保険会社は赤字。

1年に何度も保険を使用すると、「この客はよく柿食う客だ。」と、保険会社から保険を解約されてしまいます。「保険なんか星の数くらいあるから、他の保険に加入すればいいわ。」と思うかもしれませんが、そうはいきません。保険会社は横のつながりがあり、一度、保険会社から保険を解約されると、ブラックリストに名前が載ります。

すると何処の保険会社に申請しても、保険加入を拒否されます。小額の被害でも、毎年コンスタントに被害報告をしていると、保険を解約されてしまう可能性有り。そんな事にならないように、小額の被害額なら自腹で払った方が賢明です。

もっと危ないのが被害が発生してから、保険に加入されるケース。保険加入前の被害は、保険の対象になりません。なのにまるで保険加入後の被害であるように保険会社に被害報告をすると、保険会社は被害を受けた相手にコンタクトを取り、損害が生じた日時、場所、状況について確認を取ります。

その調査の結果、被害は保険加入日より前に起きていたことがばれると、保険詐欺で訴えられてしまいます。そして言うまでもなく、結果、一生保険には入れなくなります。

そうは言っても不幸は重なるもの。1年に2回以上保険を使う羽目になった場合、念のため、こちらから保険を解約しよう。こちらから解約した場合は、ブラックリストに載らないからだ。

又、保険は自動で契約が延期されます。帰国される日が決まっているなら、保険に加入したらすぐに解約しておけば、帰国日前になってあせる必要なしです。

すると、「契約してすぐに解約したら、加入した保険が使えないのではありませんか。」と心配されるケースも多々有ります。ドイツでは一度契約してしまうと、契約期間中は(死亡した場合を除き)」解約できないことを肝に銘じておいてください。

例外は契約後2週間以内。以降、契約期間中は解約できません。ですから契約後、すぐに解約しても、解約できるのは1年後です(1年契約の場合)。予定が変わって滞在が延長される場合は、あらためて契約すればいいので、滞在が限られている場合は、契約後、すぐに解約しておくのが鉄則です。

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ワーキングホリデービザを申請できる保険には、歯科医鎮痛治療、妊娠時の出産費用、病気、事故の後のリハビリ治療、個人賠償責任保険、それに事故保険が含まれていることが条件です。ドイツのワーホリなら37ユーロ/月から、フランスなら42ユーロから加入できます。

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執筆者:

nishi

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