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落ちこぼれ学校 ドイツ優秀学校賞を受賞す!

投稿日:2017年10月12日 更新日:

落ちこぼれ学校 ドイツ優秀学校賞を受賞す!
ドイツの学校教育は日本とは全く別物

ドイツで専門学校に通いたい!

まずはお断りから。

「ドイツで専門学校に通いたい。」

というお問い合わせを頻繁にいただきます。

が、通えません。そもそもドイツには専門学校がありません。ドイツにあるのは職業学校 / Berufsschule です。

職業学校はドイツ人、あるいはドイツに居住権がある者、例えば難民などが職業訓練のために通う学校です。

職業訓練を受けてないと、すなわち資格がないと将来、仕事に就けず、失業者になってしまいます。

そこで職業学校は税金で運営されています。

税金で運営されている学校なので、外国人が、

「入りたいです。」

と言えば、

「はい、どうぞ。」

というわけにはいきません。

そもそも外国人はドイツで就労を禁じられているので、税金を使って職業学校に通わせるわけにはいきません。

日本の専門学校は民営で誰でも通えますから、

「ドイツで専門学校に通いたい。」

と思い込まれている方が多いですが、同一視されませんように。

例外は私立の専門学校。

私立はお金儲けが目的なので、お金を払えば誰でも入学できます。

もっともそんな学校に通っても学校が付与できる資格は、国で認められていないケースが大半です。

落ちこぼれが集まる職業学校 閉校、それとも?

ドイツの北部はハーメルンという町に、そんな職業学校のひとつががあった。

何処にでもある職業学校で、特色と言えば学校中退者やドイツ語もろくにできない難民、あるいは移民二世(ドイツ語を話さない両親の元で育ったので、ドイツ語が怪しい)が多いくらい。

ポジテイブな取り柄がなく、「通いたい!」と思うような学校とは程遠かった。

学校の評判を聞いて生徒の数は減るばかり、閉校するかどうか学校内で討議されることになった。

ところがよりによってその学校が2017年のドイツ全土の最優秀校に選ばれた。一体、どうしたことだろう。

日本式 官僚育成教育

教師の仕事は個々の生徒の長所を見出して、これを助長するのが最も大事な課題である。

しかし文部省が決めたカリキュラムは、将来の官僚を育成するのを最優先課題としている。

結果、教師は個々の生徒の長所を見つける努力を放棄、国が希望する受け身思考を生徒が受け入れて、偏差値を競うことに仕向ける事に専念している。

生徒が全員官僚になるならそれでも問題がないが、そうではない。

日本の将来は官僚にあるのではなく、新しいもの、新しい技術、新しいサービスを創造できるソフトな頭脳にある。

わずか数年で大企業に成長した”Facebook”、”Uber”、”Airbvb”等。

すでに存在していたものをネットで繋ぐことにより、新しい商売を確立した。

そのようなアイデアは、文部省が書いた教科書からは生まれない。官僚育成コースと、スタートアップは別物なのだ。

ドイツのエリート学校

この職業学校は、閉校するか、それともスタートアップのような奇抜なアイデアを採用して、

「一か八か」

の賭けに出るか考えた挙句、後者に決定した。

学校の成績が悪いのは、(日本で考えられているように)出来が悪いのではなく、ドイツ語が不十分、あるいは家庭環境が悪いという要素が原因だ。

そこでまずは生徒の状況を分析して、これを改善することから始めた。

ドイツ語がまだ十分でない生徒には、学校がドイツ語の授業を行った。

家庭環境が悪い生徒には社会学を学んだ専門家が付き添って、学習環境を作ってこれに慣れるまで面倒を見た。

そしてこれまでの押し付け授業をやめた。

授業の内容は生徒が選ぶようにした。

生徒は自分がやってみたい課題を挙げて、これに取り組むので生徒の意欲が大幅に改善した。そして生徒の成績が格段に上昇した。

噂を聞いて他の学校から、この学校に転校してくる生徒が増えて、かっての落第生の集まりだった学校が、全国で名を知られるエリート学校に変身した。

落ちこぼれ学校 ドイツ優秀学校賞を受賞す!

ドイツには、
「競い合うことで質の向上を図る。」

目的で、”Der deutsche Schulpreis”/ ドイツ優秀学校賞という賞を設けている。

「ウチの学校では、こんな授業をしている。」

と自慢したい生徒は、これに応募することができる。一等賞を獲得すると10万ユーロの賞金も出るので、多くの学校が応募してくる。

日本なら、

「○○を□□で提出。」

と応募方法の細部まで決めてしまう官僚的なやり方だ。

しかしドイツでは、”formlos”という形をとる

すなわち、

「奇抜な応募方法で驚かしてみろ。」

というわけだ。日本の大学生に、

「”formlos”での応募です。」

と言えば、

「何を出せばいいのかわからない。」

という相談が殺到するが、ドイツ人は創造性を生かして、独自の応募方法を考える。

これがドイツの教育を受けた学生と、日本式官僚育成教育を受けた学生の根本的な違いだ。

ドイツでは自分で考えることに重点が置かれている。

日本では自分で考えては駄目で、言われたことをすることに重点が置かれている。まさに官僚養成コースという名前がぴったりだ。

ドイツのエリート学校を選抜する委員会は、この専門学校の多様性、難民は言うに及ばず、法律を破って青年刑務所に入って職業訓練を受けていない生徒、他の学校ではついていけなかった生徒を受け入れて、ちゃんと職業訓練を終了させている事実を高く評価した。

この学校は日本のエリート学校のように生徒を偏差値で選抜するのではなく、まずは生徒を受け入れる。

そして個々の生徒の長所を探し、これを育成助長する。

結果、他の学校では途中で投げ出した生徒でも、ちゃんと資格を得て社会の一員になっていく。これがドイツ式のエリート学校の姿だ。

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執筆者:

nishi

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