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ニコンは何故 キャノンはおろかソニーにも負けたのか?

投稿日:2022年5月21日 更新日:

ニコンは何故 キャノンはおろかソニーにも負けたのか?

かってはキャノンとカメラ販売台数で

「頂上争い」

を繰り広げたニコン。

今やキャノンには

「周回遅れ」

にされて、後発組のソニーにも抜かれる有様。

ニコンは何故 キャノンはおろかソニーにも負けたのか?

ニコンは軍事企業だった?

ニコンは軍事企業だった?

第一次大戦中、

「兵器の国産化を!」

という呼びかけに賛同して作られた会社が、日本光學工業株式會社。

 

ドイツから技師を招き、双眼鏡や照準器の国内生産を目指します。

有名な所では戦艦大和の主砲の照準器。

以来、キャノンユーザーから

「命中率が悪かったのは、ニコンの照準器のせい。」

という陰口が絶えません。

戦後、占領軍により制裁を受けて、主要製品は生産禁止。

そこで社運をかけて始めたのがカメラの生産。

もっとも

「見よう見まね」

で作ったので、全然売れませんでした。

Nikon F

Nikon F

転換点は1959年に販売されたニコンF。

ご覧の通りの奇抜なデザイン。

ドイツ語で一眼カメラは、

“Spiegelreflexkamera”(反射鏡カメラ)

と言いますが、まさにその反射鏡を内蔵した最初の一眼カメラでした。

プロのカメラマンも使うよになり、次第に人気が出てきました。

これが原因でニコンのカメラマウントは、

「ニコンFマウント」

って言うんです。

以来、ニコンのイメージ部門は30年以上、

「左うちわ」

で業績アップ!

ミラーレスカメラ登場

21世紀になると、

「ミラーレスカメラ」

が登場。

質問
何、ソレ?

 

ミラーレスカメラとは、ニコンが始めた反射鏡(ミラー)を廃止したカメラなんです。

レンズを通して見える画像を、反射鏡とプリズムでファインダーに反射させると、カメラがでかくなる。

ミラーレスではこの反射鏡を無くして、センサーがレンズを通した画像をデジタル化して、ファインダーに送るんです。

先駆者はオリンパス。

もっとも最初は

「こんなカメラ、買う人要るの?」

という出来映え。

デジタル化してファインダーに映像を映すまでに、時差が生じるんです。

なのにオリンパスはミラーレスに固執。

5年もすると、

「ほぼ一眼とそん色ない。」

というレベルまで発展。

ミラーレスの波

すると富士フィルムがカメラ事業にミラーレスカメラで殴り込み!

もっとも販売当初のカメラはかなりひどかった、、。

パナソニックもミラーレス。

ソニーもミラーレスカメラを発表。

どの会社も初代のミラーレスカメラは、かなりひどかった。

各社は新しい技術と悪戦苦闘。

しかし3~4年で欠点を克服。

結果として2010年頃にはミラーレスカメラと一眼カメラ、性能ではほぼ同じレベルに到達。

勿論、ミラーレスは

「すぐに電池がなくなる!」

という欠点があるが、

「手振れ補正が嬉しい。」

「小さくて便利!」

と人気を博しました。

一眼に拘るニコンとキャノン

ここまで来ると、

「将来はミラーレスカメラ」

というのは、誰にでもわかりました。

誰にでも?

例外はニコンとキャノン。

とりわけ一眼を開発したニコンは、

「写真ってのは一眼で撮るもんだ。」

 

とミラーレスカメラへの転換を拒否。

ニコンが技術転換を厭うのは、日本の自動車業界と同じ。

ドイツの車メーカーは8~9年前に、電気自動車に方向転換。

一方、日本では

「環境保護はハイブリットでするもの。」

と転換を頭から拒否。

日本で発展させたハイブリット技術に拘るあまり、電気自動車への転換を拒む姿は、ニコンと酷似。

お陰で日本の電気自動車は西欧に大きく遅れ、中国メーカーには

「周回遅れ」

にされている。

ゲームチェンジャー ソニーEマウント

ゲームチェンジャー ソニーEマウント

2013年、ソニーが遂にEマウントを販売。

 

イメージセンサーに

「フルサイズ」

と呼ばれる大型のこれまでは

「プロ専用」

のイメージセンサーを採用した、最初のミラーレスカメラです。

まさにゲームチェンジャー。

皆が熱中すると、ニコンとキャノンの尻に火が付きました。

頑固なニコンでも、

「おいしいプロの客がソニーに取られる。」

ことがわかったからです。

ここからやっと真面目に、ミラーレスカメラの開発に取り組みます。

ニコンは何故 キャノンはおろかソニーにも負けたのか?

本来なら

「先を越された!」

と会社の開発能力を全部、一番大事な事業につぎ込むもの。

なのにニコンは限られた開発費と開発能力を誰も必要としない

「アクションカメラ」

に使用。

出来上がったカメラはお世辞にも

「性能がいい。」

とは言えない。

誰も買わず大赤字を出すなど、ニコンは誤判断を続けます。

 

ソニーから遅れること5年、2018年にニコンがやっと最初のミラーレスカメラを販売。

 

オートフォーカスは静止している物体でも迷う(ことがある)!

動体にはフォーカスが追従できない!

暗いとオートフーカス自体ができない。

などなど、酷評を受けました。

もっともソニーだって、パナソニックだって、最初のミラーレスカメラはひどい物。

 

最初からいいカメラができるわけがない。

が、ニコンの場合は特別。

消費者が、

「写真を記録するカードフォルダーは2つ要る。」

と言っているのに、

「べらんめえ!」

と、ひとつだけ。

電池の消費が早いので、バッテリーグリップを販売するも操作ボタンなし。

私の知る限り、操作ボタンのないバッテリーグリップを出したのはニコンだけ。

ニコンの特徴は、客が求めている機能を提供するのではなく、ニコンが会社の事情で提供する機能を決める事。

 

このニコンの基本姿勢が、ニコンがキャノンにもソニーにも負けた理由です。

もうひとつが八方美人戦略。

急務のミラーレス開発に全力を注がず、アクションカメラが人気を博すと、

「でかいパイをひとかじり!」

と限られた開発費と開発能力を

「誰も買わない製品」

に向ける。

これでソニーとの差を詰められるわけがない!

ニコンを周回遅れにしたキャノン

ニコンを周回遅れにしたキャノン

かって世界の一眼カメラ市場をニコンと二分していたキャノン。

ちょうど世界を二分したスペインとポルトガルのよう。

デカい半分を制するのがキャノン。

小さい半分を制したのがニコン。

キャノンはニコンより早く、ミラーレスカメラを開発。

「M マウント」

と呼ばれました。

もっとも出来栄えは今ひとつ。

ただし!

お陰で経験と技術を蓄積。

本気のミラーレスカメラ R5 & R6

ソニーのフルサイズ攻勢に対抗すべく、満を喫してキャノンが発表した

「本気のミラーレスカメラ」

が、R5 & R6。

参照 : R5

 

素晴らしい性能。

羨ましい、、。

ニコンユーザーがこぞって

「キャノンに鞍替え」

したほど優秀なカメラ。

ニコン大赤字

悪い事に悪いことは続くもの。

カメラ事業は赤字。

ニコンのもうひとつの収入源である半導体製造機械部門も赤字。

かってはニコンの半導体製造機械は世界一のシェア。

ここでもカメラ同様に、ライバルに追い越されて周回遅れ。

ドイツのカールツアイスは自社で半導体製造機械を製造しないで、

「レンズ屋」

の十八番、赤外線照射装置に特化。

これをパーツとして、世界最先端の半導体製造機械メーカーのASMLに提供。

お陰でASMLは世界一の半導体製造機械メーカーに。

その最大のお得意様が、台湾の半導体メーカー TSMC。

お陰でTSMCは世界一の半導体製造メーカーに。

一方、赤字でコスト削減を迫られたニコンは、家賃を節約するために名古屋のサービスショップを閉店に。

そんなに困ってるん?

それだけじゃない!

日本の製造拠点をすべて廃止!

 

タイに全部移しました。

日本のニコン工場で働いていた労働者は、ニコン上層部の誤判断のツケを払わされました。

ここまできてニコンの社長は、

「ミラーレスカメラへの転換が遅かった。」

と認めます。

気が付くのが、遅すぎるでしょ!

ミラーレスカメラ ニコンZ9

ウクライナに侵攻したロシア軍のように、ニコンの上層部は誤判断の連続。

数多くの戦死者を出した挙句に、社運をかけて開発したミラーレスカメラ ニコンZ9。

やっとニコンも

「自分の立ち位置」

を把握したようで、ライバル、もとい先を越されたソニーや大先輩のキャノンよりはっきりと安い価格設定。

肝心要のカメラの性能は、

「ほぼ先輩方と肩を並べるレベル」

になりました。

これまで

「えっ、まだニコンなの?」

と散々いじめられてきたニコンユーザーは万歳三唱。

ニコンの巻き返しはくるのか?

ニコンユーザーの気持ちはわかる。

が、手放しで喜ぶ段階じゃない。

そもそもカメラだけで1,2Kgもあり、63万円もするカメラを買える & 使える人は限られている。

レンズに至っては、1本30万円。

誰が買う?

勝負は

「20~30万円で買える消費モデル」

で決まります。

ここではニコンは先輩方に大きく遅れている。

運命を決めるのはニコンの姿勢です。

上層部がちゃんと客の不満や希望を聞いて、これに答える製品を作れるかどうか。

 

これをせず、

「ほれ、作ったから黙って買え!」

というこれまでの姿勢では、カメラ事業を売却したオリンパスの二の舞。

ニコンへの提案①

 

ニコンへの提案①実はここからが、本題です。

ミラーレスカメラは小さい。

結果、グリップを握っても、小指が余ります。

そのコンパクトなボデイーに、ニコンの純正の30万円もする純正レンズをつけると、手のひらにカメラボデイが食い込みます。

痛い!

するとニコンは、

「だったらバッテリーパックを買え。」

と言うんです。

そうじゃないでしょ!

グリップをあと1cm長くして!

 

「でもソニーもキャノンも同じようにグリップは短い。」

とニコン。

あなたはソニーとキャノンの真似しかできないの?

劣勢なんだから、差別化しないと駄目!

「小指までしっかり握れるミラーレスカメラはニコンだけ!」

とやれば、

「ニコンだけの特徴」

が出るでしょ!

まあ、正確にはパナソニックのミラーレスカメラが第一人者。

 

が、ニコンよりも売れてないので

「なし」

と見なします。

大きくなったグリップには、でかい電池を入れて!

ニコンへの提案②

ニコンへの提案②

ニコンのFマントのレンズを、ミラーレスカメラで使用するにはこのような

「アダプター」

が必要です。

単なるプラスチック製の筒。

カメラとレンズが会話できるように、電極があるだけ。

これが驚きの3万3000円。

製造費は1000円?

ちなみにキャノンなら半額。

ソニーやキャノンに鞍替えせずニコンに忠誠を誓うユーザーから、

「少しでも多く稼いでやろう。」

という魂胆が見え見え。

やめなさい。

「ただで配れ!」

とは言いませんが、日々減少しているニコンユーザーに、

「原価販売」

して!

そうすればソニーやキャノンに鞍替えせず、ニコンのカメラを買うでしょ!

おまけに古いFマントレンズがまだまだ売れるよ!

ニコンへの提案③

そもそも30万円もする純正レンズ、誰が買える?

お父さんのお小遣いは3万円だよ!

「じゃ、純正レンズを3万円で売れと言うんですか?」

誰もそんなことは言ってない!

日本には優秀なレンズメーカー

  • タムロン
  • シグマ
  • トキナー

がある。

ここと

「パートナー協定」

を結び、

「安価なZマウント レンズ」

を作ってもらえばいいんです。

実際、ソニーはすでにそのようなパートナー協定を組んでいる。

お陰でソニーのカメラは売れる。

一方、ニコンはシグマを

「パテントを勝手に使った。」

として提訴。

カメラメーカーとレンズメーカーは、

「もちつもたれつ」

の関係です。

レンズメーカーを

「敵」

として見るのではなく、

「ニコンのカメラ販売を促進してくれるパートナー」

と見ない限り、ニコンの劣勢挽回はなし。

-趣味, 雨にも負けず

執筆者:

nishi

  1. ツキイチ より:

    発想の転換でLマウントアライアンスに加盟するというのも良さそう
    パナソニックはビデオカメラ、ライカはブランドカメラとプロ向け写真特化はまだないように思えるし良いんじゃないかと思う
    ただZマウントどうするの問題は尽きない

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