ドイツの達人になる 規則、法律

最高裁判決 ロレアル洗顔ジェル 販売方法は違法なり

投稿日:2025年3月17日 更新日:

ドイツでは消費者保護が厳しい。

日本で合法な

「怪しげな商品のテレビ宣伝」

ドイツならほぼすべて違法です。

だからと言って、違法な販売方法がなくなるわけではない。

今回訴えられたのは、大手ロレアルの洗顔ジェルである。

Mogelpackung

ドイツで違法な販売方法のひとつに

”Mogelpackung”

という商売方法がある。

そのまま訳すと、

「詐欺包装」

という意味になる。

本来は包装に記載されている内容量(物)と、実際に入っている量(物)が異なる場合を指す。

あるいは包装に

「アーモンドたっぷり!」

と謳っているのに、

「実は人口の化学品調味料」

だったりするのも、詐欺包装にカウントされる。

最近では

「包装を一新しました!」

と謳い、価格は据え置きで内容量をこっそり減量する商売方法を

”Mogelpackung”

と呼ぶ。

ここに2023年の

「詐欺包装賞」

を受賞した品々がある。

 

日本で人気のリストリーネも堂々3位に入っている。

ロレアル洗顔ジェル は詐欺包装?

日本では消費者庁がそのような宣伝を看視している。

やる気がないのか、マンパワーが足らないのか、そこは不明。

お陰で摘発されるのは、氷山の一角だけ。

ドイツでは消費者センターが、

「これはひどい!」

という商品を見つけると裁判所に

「詐欺包装」

の廉で訴える。

これが結構、効率がいい。

消費者センターに訴えられると、全国でニュースになり名を馳せる。

結果、売り上げが激減。

メーカーはこれを厭うので、抑止効果がある。

だからと言って、

「詐欺包装」

を試すメーカーがなくならないのは自明の理。

今回消費者センターに訴えられたのは、化粧品メーカー大手のロレアルが販売している男性用洗顔ジェルだ。

 

一体、何がまずかったのだろう?

1/3は空

消費者センターが

「違法だ!」

と訴えたのは、包装の上部の不透明な部分。

実はここ、空なんである。

ジェルが入っているのは透明な部分だけ。

全体の1/3は空。

不透明な部分には

「ごにゃごにゃ」

する得体のしれないものが入っている。

消費者センターは

「明らかに容量を大きく見せる為の作為的な行為。」

と指摘した。

ロレアル側は

「確かに1/3は空だが、内容量はちゃんと表記している。」

と弁護。

それどころか

「何も間違った事はしてない。」

と自負していた為、この一件は最高裁で争われることになった。

辞めとけばいいのに、、、

最高裁判決 ロレアル洗顔ジェル 販売方法は違法なり

5月29日、最高裁は

「ロレアル洗顔ジェルの販売方法は違法」

と判決を下した。

ロレアル側の主張、

「内容量はちゃんと表記している。」

に対しては、

「消費者は内容量の記載よりも、包装の大きさを見るものである。」

と冷たく一蹴。

それだけならまだよかったが、

「同様の詐欺包装は店頭販売、オンライン販売の如何を問わず、違法である。」

という基本方針判決が出てしまった。

以後、メーカーは包装詐欺を使えなくなる。

だから最高裁で争うべきではなかったのだ。

とはいえ、これでますます消費者に優しい環境が整ったことになる。

-ドイツの達人になる, 規則、法律

執筆者:

nishi

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