携帯を盗まれる前に対抗措置をお忘れなく
「どうも携帯を落としたようです。」
と連絡をいただく事が多いです。盗難の手口が見事なので盗まれたことに気づいていないのか、それとも盗まれたことを恥じているのか、そこは不明。
日本が安全なので、日本から来たばかりの日本人はスキだらけ。と言われても、どんな行為がスキだらけなのか、日本人はわかりません。
そこでここでは厳しいかもしれませんが、日本人の行動様式から見ていきたいと思います。
この記事の目次
日本人はスリのお得意様 行動のスキを無くそう!
まずは一番ひどいものから。
日本人はレストランなどで上着に貴重品を入れたまま椅子にかけていたり、ズボンのポケットに携帯電話をいれている。ドイツでは、
「どうぞ盗んでください。」
と言っているようなもの。スポーツジムに行くと携帯電話を置いて、トイレやシャワー室に入る人まで。信じられなかったのは、デイスコで机の上に貴重品を置いたまま、トイレに行かれた方。
親切心から、
「そんな貴重品管理をしていると、盗まれますよ。」
と言っても、相手の気分を害するだけで逆効果。本人が学ぶのを待つしかありません。
盗難 No1. 携帯電話
ブレーメンに出張に行った50代のドイツ人男性、1週間後に顔を合わせると、
「携帯を盗まれた。」
と言います。
「契約がまだ1年以上残っているから、盗まれた携帯の料金を払わなきゃならないことに腹が立つ。」
とご立腹。
ドイツ人が盗まれるのだから、日本からきたばかりの日本人を責めるのは、まあ可哀想。盗まれた携帯電話は仲間内で安く売買されるか、Ebay で安く提供されている。
ドイツだけで年間350万台もの携帯が盗まれているので、警察もお手上げ。基本的に盗まれた携帯電話を取り戻すことは不可能です。
盗まれた携帯電話を取り戻せ!
基本的にということは、例外もあるということ。
携帯の製造元などは盗難対策のアプリを用意しており、これがいかに効果的か宣伝しています。しかしSIMカードを入れ替えられてしまうと役に立たないプログラムなので、効果は薄い。
そこでドイツの会社がSIMカードを入れ替えても、携帯、タブレット、ノートパソコンを取り戻せるプログラムを開発した。
どれだけこのプログラムが効果的か実践するために、テレビ局と一緒に携帯の盗難の瞬間から、携帯を取り戻すまで一部始終をカメラで撮影した。
まずはデイスコでテーブルの上に携帯を置いて席を立つ。別の席からカメラで撮影していると、わずか10数秒で携帯は盗まれてしまった。
別の場面では、駅のベンチに携帯を置き忘れたというシナリオ。偶然ベンチに座ったドイツ人は、携帯が置かれていることに気づくと、これをさっさと盗んで、暗闇に消えていった。
果たして盗まれた携帯を取り戻すことができるのだろうか。
盗まれた携帯電話の追跡
携帯を盗むと、これを販売してお金を稼ぐのが目的なので、
「あっ。」
という間に持ち主が変わります。この場合でも携帯を盗んだのは男性だったが、数時間後には女性が保有していた。
ドイツ人は、「盗難品だと知らなかった。」と言い張るが、ちゃ~んと知っている。その証拠に盗難された携帯を購入すると、SIMカードをすぐに入れ替える。
この時点で通常の盗難防止アプリは役立たずになるが、このプログラムはSIMカードを交換しても機能を続けるばかりか、新しいSIMカードが入れられると、新しい電話番号を通報してくれる。
さらには窃盗犯に気づかれないように内蔵カメラで携帯の新しい所有者の撮影をして、写真を送ってくれる。あとはアプリが送ってくれる地図を目当てに所有者の住所まで出かけて、持ち主に電話する。
携帯電話を返せ!さもなくば、、
持ち主が現れたら携帯が送ってきた写真を見せて、
「直ちに携帯を返さないと警察に通常する。」
と言えば、盗まれた携帯は2台共、見事に所有者に帰ってきた。
このプログラムには盗まれた携帯に入っているデータを消す機能もついているので、「個人的な写真」が入ってきてもすぐに対処できるが、この機能は有償となる。
有償といっても、毎月わずか5ドルと安価だ。無償版は使える機能が限られているが、無償版があること自体、素晴らしい。ドイツに留学される方は携帯にこのプログラムをインストール、使い方を勉強してから留学しよう。
日本人はスリのお得意様 自転車編
携帯同様にドイツでよく盗まれるものと言えば自転車。
中古の錆びた自転車でも鍵をかけていないと、あっという間に盗まれる。高級な自転車だと鍵をかけていても盗まれる。自転車を盗むには高価な道具は必要なく、鍵を切断する”Bolzenschneider”を買うだけ。
これがわずか20ユーロで買え、600ユーロもする自転車を一台だけ盗んで半額で売っても、投資額の15倍も儲かるからだ。
自転車の窃盗団は、空き巣と同じくドイツの隣国からやってくる。先日捕まった窃盗団はポーランドからの「旅団」で、120台もの自転車を盗んでいた。ドイツ人も平気で自転車を盗むし、難民もドイツ人同様に気軽に自転車を盗む。
2014年の統計では34万台の自転車が盗まれたと報告があったが、犯人が見つかるケースは1割以下。盗まれた自転車はまず帰ってこないと覚悟しておいたほうがいいです。
ドイツで自転車に乗るなら、丈夫な鍵と盗難保険は欠かせません。
自転車盗難対策
とお客さんに説明すると、
「それは困ります。」
とお客さん。なんでも日本からわざわざ愛車をドイツまで持ってくるという。
「盗まれたら、金では代償できません。」
とのこと。かなり思い入れがあう様子。そんな方には、自転車用のGPSをお勧めします。一見するとブレーキランプのように見えるこの端末は、GPSのトラッキング端末だ。
自転車を止めて携帯などからこのトラッキングをオンにしておくと、勝手に自転車が動かされると持ち主にアラームが届く。さらに自転車の移動経路を地図で示してくれるので、自転車泥棒を追跡することができる。
盗難自転車追跡
ドイツのテレビ局がその効果を実験をするために、新品の自転車を500ユーロで購入、このGPS端末を設置した。
カメラで監視されているテレビ局の自転車置き場に自転車を止めると、鍵をかけていたのに”Bolzenschneider”で鍵を切られて数時間で盗まれてしまった。
「すぐに自転車を追跡しては面白くない。」と、翌日になってから自転車を追跡して、犯人の居所を突き止めた。
犯人に監視カメラの写真を見せつけると窃盗を白状、しかし
「自転車はもう転売したのでもっていない。」
という。
「自転車の購入費用を払うから、警察には言わないでくれ。」
と頼みだす泥棒は、翌日、本当に500ユーロを工面してきた。別の実験では、盗まれた自転車はわずか数日でウクライナの片田舎で使用されていた。
そう、このGPSトラッキングは世界中で使用可能なのだ。この件でもテレビチームはウクライナに飛び、盗難自転車に乗っているウクライナ人を見つけ出した。
ウクライナ人にブレーキランプに見えるGPS端末をアプリで点灯させると、持ち主に自転車を即座に返却した。さもないと警察に通報されるからだ。
盗難品の購入は犯罪幇助罪
中古の携帯、自転車を購入される場合は、盗難品をつかまされないように。
「Wifi しか使えません。」
なんて携帯電話はほぼ盗難品。盗難品を買って、
「SIMカードを入れ替えたからもう足は付かない。」
と思っていると、知らないうちにあなたの顔が撮影されて、新しい番号と一緒に本当の所有者に通報されているかもしれない。警察がやってきて、
「盗難とは知らなかった。」
と言い訳しても、携帯は持ち主に返されてしまう。
告訴
さらに盗難品と知って購入したとみなされて犯ほう助罪 /”Hehlerei”で告訴されます。
仮に
「知らなかった。」
と立派な演技をしても、弁護士費用だけで数百ユーロ、盗難品を買うのは割に合わいません。
中古品を買う場合は、所有者が購入した請求書、あるいは購入の証拠を見せてもらい、請求書と一緒に買うか、無理な場合は請求書のコピーをもらうこと。
請求書を持っていれば、まずは本当も持ち主です。仮に盗難品であったとしてもこの請求書を警察に提示して、
「請求書を見せられたので、持ち主だと思って買った。」
と言えば、”Hehlerei”で告訴されることはない。
ドイツの法律では盗難品は正当な持ち主に返却されます。これに不服な場合は、盗難品を売った相手に損害賠償を求める必要があるが、住所は偽りの住所、名前もありきたりの名前なので、相手を特定することはほとんどできない。
盗難品を買って得をすることはないので、「知りませんでした。」という演技で切り抜けられると安易に考えないようにしよう。