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ギリシャ かっての破産国家が優等生に!どうやった?

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ギリシャ かっての破産国家が優等生に!どうやった?

今回はEUの優等生に変身したギリシャがテーマです。

10年前は破産国家。

それが今や経済成長率が、EU加盟国の中でトップ。

国家財政収支に至っては、黒字を達成!

一体、どうやったのだろう?

ギリシャ 破産国家

まずはギリシャが財政破綻した経緯からお話します。

ユーロ導入前の1996年、ドイツの財務大臣は、

「ギリシャがユーロ圏に属することはない。」

と明言した。

参照 : diepresse.com

 

当時、ギリシャは日本のように赤字国債を次々に発行。

これでユーロ導入条件の

「財政赤字は国家予算の3%まで」

を、満たせるわけがなかった。

 

ところが

「蓋を開けてみる」

とギリシャは1991年、ユーロ導入に成功。

一体、どうやったのだろう?

国ぐるみの詐欺

そう、ギリシャはゴールドマンサックス(米)の指南を受けて、国ぐるみで財政赤字を胡麻化した。

公正を期すために

「補足」

すると、当時は公表する国家財政収支に

「美容整形」

を施すのは当たり前の時代。

実際、ドイツもEUには

「財政赤字は3%」

と報告していた。

が、実際には3.9%の財政赤字だった。

そもそも

「財政赤字は2%まで!」

と厳格な財政規律を主張していたドイツが誤魔化すのだから、

「美容整形」

は当たり前。

が、ギリシャの美容整形は

「そのスケール」

が違った。

なんと12.7%もの財政赤字を6%と報告していた。

 

 

総選挙で政権を獲得した新首相が2009年10月、前政権の詐欺を告白。

こうしてギリシャの財政危機が始まった。

ユーロ危機の誕生

そう、リーマンショックが引き起こした

「信用危機」

が、

「やっと峠を越した。」

と安堵しかけていた中、ギリシャの国家ぐるみの詐欺がばれた。

するとまた信用危機が再燃、赤字国債に頼っている国の国債金利は軒並み急上昇した。

そんな国のひとつが、ユーロ加盟国のアイルランド。

ただでも不況で国家財政がひっ迫している中、国債金利の上昇で

「ほぼ支払い不能」

に陥った。

こうして

米国に端を発した不動産債権信用危機は、ユーロ危機へと発展した。

 

EUは

「背に腹は代えられぬ」

と、規定に反して

“EU-Rettungsschirm”(EU救済基金)

を作り、加盟国に財政支援をする事を決定した。

 

アイルランドもこの基金から財政支援を受けて、危機を乗り越えた。

ところがである。

EUには

「日本並みの借金大国」

が存在していた。

どこだかおわかりだろうか。

そう、イタリアである。

アイルランドの信用危機が収まると、今度はイタリア国債金利が急上昇、

「債務不履行」

が懸念された。

質問
EU救済基金があるじゃない?

 

もし、EU内で第三の経済大国であるイタリアが

「ぽしゃる」

と、EU救済基金でも救えない。

その経済規模(借金)が、あまりにも大きすぎるのだ。

このユーロ危機を

「一言で」

収拾したのが、欧州中央銀行総裁ドラギ氏の

“ECB is ready to do, whatever it takes, to preserve the euro.”(ユーロを救う為、必要な措置はすべて取る)

という有名な言葉。

不思議なことに会見後、上昇を続けていた国債金利が下がり始めた!

 

まさにユーロが救われた瞬間だった。

ギリシャ 救済パッケージ

話をギリシャに戻そう。

ギリシャの国債金利は20%を遥かに凌駕、

「債務不履行」

は秒読みの段階だった。

そして

「EU救済基金」

は、まだ存在していない。

勿論、

「自業自得だからギリシャを破産させればいい!」

という意見は多かった。

問題はギリシャが倒れると

「ドミノ効果」

で、他の加盟国に飛び火することだった。

そこでEUのリーダーが集まり、

“Rettungspaket”(救済パッケージ)

を捻出した。

質問
何、ソレ?

 

早い話が財政支援です。

通常、どこかの国が財政支援を必要とすると、アイルランドのように、一回だけで済みます。

なんとギリシャは国家破産を回避するには、合計で3回もの救済パッケージを必要とした。

 

合計2千780億ユーロもの金が、ギリシャに投入された。

日本円で50兆円です。

そこでついたあだ名が、

“Fass ohne Boden”(底のない樽)

である。

苦しむギリシャ人

財政支援と言っても、

「お金をあげるから、好きに使っていいよ。」

という類のものではありません。

高利子付の借入金です。

おまけに厳しい条件付きです。

ドイツでは当時、

“Spar-Diktat”(節約令)

と揶揄されたほど。。

が、ギリシア政府にはこれを断るオプションはなかったです。

歳出を抑えるため、年金から生活保護まですべてカットされました。

デユッセルドルフにはギリシャ人が多く住んでます。

彼らは仕事が終わっても家に帰らず、カフェで日が暮れるまでおしゃべり。

とにかく

「人生を楽しむ」

事を最優先する種族です。

知人のステファノスは2週間の休暇を、勝手に2ヶ月に延期。

休暇中に

「クビ」

になります。

が、2か月後に遇うと、笑ってました。

その陽気なギリシャ人が、政府の緊縮財政に抵抗して国会前で自殺をするほど、ギリシャ人は苦しんだ。

とりわけ年金生活者、シングルマザーなどの、

「鼻っから財産がない層」

が、最も苦しんだ。

ギリシャの抵抗

当然、ギリシャ人はドイツの

“Spar-Diktat”(節約令)

にあらゆる抵抗をした。

今から言えばですが、これがギリシャ人をさらに苦しめる結果になった。

というのも前政権の詐欺を公にした首相、罪はないのに、

「ギリシャ人の怒り」

を買います。

総選挙で大敗を喫して、初めて左翼政権が誕生します。

左翼政権は、

「緊縮財政の終焉」

を国民に約束していたんです。

左翼政権は政権獲得後、EUと約束していた改革、とりわけ国営企業の民営化をサボタージュ。

「EUは財政支援を止めるぞ!」

と脅す事で、小さな改革を実施させます。

結局、左翼政権も国民生活を改善させるには至らず、次の選挙で大敗。

功を奏した構造改革

ギリシャ経済が

「目に見えて好転」

を始めたのは現在の首相、ミソタキス氏が2019年の選挙で勝利してからだ。

ギリシャの経済成長率は2024年、2.3%だった。

2025年は2.1%。

2026年は2.3%と予測されている。

参照 : wko.at

 

一方、ドイツ経済は3年連続で縮小

停滞するドイツ経済 旬はすでに過ぎたか?

偉そうに命令を下していたドイツが、ギリシャから

「経済再生のコツ」

を聞く羽目になっている。

当然、2025年11月にミソタキス政権の財務大臣がドイツを訪問した際は、メデイアからの取材要請が殺到した。

その取材で大臣は、

「一体、ギリシャはどうやって財政危機を克服したのか。」

と聞かれ、

「構造改革に抵抗するのが無駄とわかったのが、きっかけだった。」

と語った。

 

というのもギリシャには赤字経営の国営企業が多かった。

これを片っ端から民営化して、余剰社員をカット。

するとかっての国鉄のように、慢性赤字の会社が黒字を出す会社に変身した。

そして黒字の会社は税金を払う。

お陰で国家財政収支は黒字に転換した。

 

国家財政の1/4を赤字国債に頼っている日本とは、

「天と地」

の違いだ。

ドイツでも構造改革が必要なのに、連立政権内で争ってばかり

ドイツ経済停滞 改革の秋が失望の冬に

「出藍の誉れ」

とはこのことです。

ギリシャ経済復活の秘訣

ここで終わると、

「赤字の国営企業を民営化すれば、すべてうまく行く。」

という誤った印象を与えかねない。

それでは日本のいい加減な大手メデイアと同じ。

そこで少しだけ掘り下げます。

果たして、

どうやってギリシャ経済は復活を果たしたのか?

弱肉強食

当時のギリシャには決算は毎年赤字で税金を払っていないが、

「補助金・助成金」

で生き延びている会社が、実に多かった。

そう、社会構造が補助金・助成金で

「ずぶずぶ」

の社会構造だったんです。

質問
何故、是正しないの?

 

補助金・助成金を辞めると、数千の会社が倒産。

数万人の失業者が発生します。

政治家は次の選挙で負ける事を恐れて、改革をせず。

これが今日の日本と瓜二つ。

ところがEUの命令で緊縮財政。

無駄な補助金・助成金が否応なく廃止。

結果、数千の会社が倒産。

数万人が路頭に迷いました。

が、生き残ったわずかな会社がシェアを拡大、会社の収支は黒字になって税金を納めるようになったんです!

この無駄なバラストを切ったことが、ギリシャ経済を上昇させる結果になった。

税金徴収の厳格化

それからギリシャでは

「税金逃れ」

が当たり前だった。

大金持ち、港に豪華なヨットを浮かべている

「超裕福層」

の多くは、1セントも税金を払っていなかったんです。

そこでドイツから税務署職員が派遣されて、航空写真を元に虱潰しに

「超裕福層」

のあぶり出しが始まった。

彼らは税金逃れの追徴金をたっぷり課された。

加えて一般市民が税金逃れができないように、税金は電気代と一緒に徴収するようにした。

すなわち!

言い訳ばかりして税金を払わない輩には、電気を止めた。

 

これが実に効果的で、税金収入が改善した。

役人の再教育

先進国では、社会保障費用の歳出が突出している。

これはギリシャでも同じ。

問題なのは社会保障制度の悪用が、まかり通っていた事。

とっくに死んだ親や兄弟、親族の年金を、死亡通知をせずに、そのままかしめるんです。

それも10年、20年と長期に渡って。

 

社会保障庁の役人は、

「みんなやってる事だから」

と見逃していたんです。

まだ生きていれば120歳を越しているケースでも、役人は大目に見たんです。

(要賄賂)

ドイツから役人が派遣されて、やる気のない役人に再教育が施されました。

デジタル化

ここで誕生したミソタキス政権が

  • 官僚制度の撤廃
  • デジタル化

を推し進めます。

これまではやる気のない官僚が、書類のわずかなミスを理由に、書類の再提出を命じていたんです。

私もコロナ禍で日本で体験しましたが、提出書類に

  • 蛍光ペンで線引きがされていない
  • フリガナが間違ってる

などを理由に、再度、書類集めをやり直し。

官僚制度は労力と時間の無駄の極致です。

 

そこでギリシャ政府は提出書類を極限まで減らし、

「官庁への申請は基本、オンライン」

にしたんです。

結果、申請が早く通るようになり、企業・市民は時間と労力を節約。

さらに!

無用の長物になった役人をお払い箱に!

こうして政府はさらに歳出を削減することに成功。

塵も積もれば山となる

それでも、ひとつ、ひとつの政策の効果は微々たるもの。

しかしこれらの施策がまとまると、

「塵も積もれば山となる」

で歳出が減り、歳入が増え始めたんです。

そして10年前は

「破産国家」

だったギリシャは、国家財政収支で黒字を達成。

こんな健全な国会財政は、世界中探しても他にはシンガポールくらい。

正直に言うと、私はギリシャが借金を返す事は、

「これっぽち」

も期待してませんでした。

しかるに借金はちゃかり返済した上に、国家財政収支で黒字を達成。

言っちゃ悪いが、

あのギリシャにできたらなら、日本にもできます。

 

もっともそれには一度、

「奈落の底」

に落ちる必要があるのが玉に瑕。

日本の政治家にそんな勇気はなく、このままジリ貧が続きます。

いつかドカ貧になるまで。

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執筆者:

nishi

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