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10月より導入 Gasumlage って何?お金かかるの?

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10月より導入 Gasumlage って何?お金かかるの?

10月から

“Gasumlage”

が導入されることが決まった。

ドイツ語を解しない為、

「何それ?」

という方も多いので、導入される前に解説しておこう。

10月より導入決定 Gasumlage

名前 & 導入の語源になったのは、”EEG-Umlage”だ。

製造コストの高い再生可能エネルギー普及のために、政府が2000年に導入した。

平たく言えば、ドイツの産業を守るために、電気を多く消費する大企業には割安な電気価格を提供するシステムです。

その割引分を国民が払う、納得いかないシステム。

お陰でドイツの電気代は、欧州で二番目に高くなった。

その”EEG-Umlage”がようやく、2022年7月から廃止になった。

「やった!」

と思ったら、今度は10月から”Gasumlage”が導入される。

国民をおちょくっているのだろうか?

事の始まり

メルケル政権の16年で、ドイツ経済はロシアからの安いガスにすっかり依存。

「約束は守る。」

という独裁者の約束を信じていたドイツ政府は、プーチンの戦争で180℃の方向転換を迫られた。

この政策変更で一番ひどい目にあったのは、ロシアからガスを買ってドイツ国内で販売していた会社。

その中でも

“Uniper”

というロシア産ガスの輸入最大手が、悲鳴を上げている。

参照 : Uniper

 

プーチンが約束したガスは届かないのに、ドイツ全土の発電所や企業とガスの供給契約を結んでいる。

それも固定価格で。

すなわち!

ガスの供給契約を満たすため、ガスのスポット市場でガスを買い、これを発電所や企業に届ける。

問題はその価格。

スポット市場で買い付けると、ガスの価格は3倍。

ロシアが

“Nord Stream 1”

からのガスの供給を完全にストップしてからは、4倍になった。

本来であれば、購入価格に

「儲け」

を加えて、客に売る物。

が、固定価格なので(すぐには)値段を上げれない。

お陰でウニパーの損益は、たったの3か月で62億ユーロに昇った。

 

ほぼ1兆円。

ソフトバンクのビジョンファンドの3兆円の損益

に比べれば、

「屁の河童」

だが、この損益はこれからも増大することはあっても、減ることはない。

そこで政府に

「助けて」

と頼み込んだ。

ウニパーが倒産すると

「えらい事」

になるので政府が株を取得、一部国営化した。

Gasumlageとは?

日本人は、

「寄らば大樹の陰」

と考える。

この為、

「国営化されれば、もう大丈夫。」

と考える。

“Weit gefehlt”(大きな勘違い)

である。

日本のように国家予算の1/3を借金で賄うなら話は別だが、ドイツは借金国家ではない。

国が助けるのは、一時的な資金の欠如だけ。

いわば、時間を買ったようなもの。

その間にウニパーは個々のガスの販売先と

「適正価格」

で、新契約を結び会社の採算を再び黒字にする。

又、ガスをロシアから調達していたのはウニパーだけではない。

他にも同様に経営難に陥っている会社がある。

これからの会社の負担を軽減するための資金を

“Gasumlage”

で調達する。

すなわち!

かっての”EEG-Umlage”同様に、皆さんのガスの請求書にこの”Gasumlage”が加算される。

言い換えれば言えば、メルケル政権の

「16年のツケ」

を国民が”Gasumlage”で払うわけだ。

どのくらい価格が上がるの?

当然、次は、

「どのくらい価格が上がるの?」

と聞きたくなる。

これが実に曖昧で、

1.5セント~5セント/KwSt.だそうだ。

質問
1,5セントと5セントでは、大きな違いがあるじゃない!

 

正確な額は

「まだ試算中」

だそうです。

すなわち!

独り住まいの平均消費量は5000KwSt。

1.5セントの場合は、89ユーロの増額

5セントの場合は、298ユーロの増額。

もっとも!

ドイツではキッチンはほとんど電気コンロ。

ガスコンロは私自身、見たことがない。

なので

「私は関係ないわ。」

と思っている方、そうは問屋が卸さない。

多くのアパート、それも新しいアパートでは、ガスの暖房機が入っている。

古いアパートは軽油。

軽油暖房なら直接の関係はない。

が、電気の契約先がガス発電していれば、ガス価格が上がるので電気代も上昇する。

もし、

  • キッチンはガス
  • 暖房もガス
  • 電気の契約先もガス発電

という方は、目一杯負担が大きくなる。

消費税

皆さんが払うのは、

ガス代金+ “Gasumlage”

だけではない。

  • ガス代金
  • “Gasumlage”
  • 19%の消費税

という三点セットになる。

上昇した価格に消費税が19%も課されるので、国庫は税金収入でパンパンに膨れ上がっている。

「流石に、Umlageに19%の消費税を課すのはマズイ」

と政治家は(一応)

「消費税を免除できないか。」

と、議論している。

が、法律上の問題がある。

消費税を免除するとEU委員会が、

「違法な援助だ。」

とケチをつけるんである。

だったら最初から消費税分を計算して、”Gasumlage”の額を減らして!

Gasumlage 額決定!

8月15日、政府はGasumlage額が2.419セント/KwStになると発表した。

がドイツでは値上げを告知後、

「契約を解約できる権利」

が認められている。

この為、Gasumlageが請求書にはっきりと表れるのは、11月分の請求書からになると言われている。

ちなみに消費税をさらに課税するかどうか、まだはっきりしていない。

消費税が7%に減税

EUは”Gasumlage”に

「消費税を掛けない案」

を否定した。

そこでドイツ政府はガス料金の消費税を19%から、7%に減額すると発表した。

ショルツ首相は、

「これでガス代金が”Umlage導入前よりも安くなる。」

と言ったが、真っ赤な嘘。

支払う額は上昇します。

Gasumlage 改定

当初の案では、ほぼ1ダースほどの企業が、

「”Gasumlage”による援助が必要。」

と申請をしていた。

そのリストを見た野党が、

「ガス & 電気料金の高騰で、大儲けをしている会社が含まれている!」

と指摘。

そう、

「左うちわ」

の大企業が、どさくさに紛れて、国民が払う援助金をかしめようとしていたのだ。

経済大臣は、

「おっしゃる通り。」

と、Gasumlageの改定を約束した。

 

大臣によるとガス価格の高騰で、

「存在の瀬戸際」

に追い込まれていることが、補助金を受ける前提になると言う。

-ドイツの達人になる, 規則、法律

執筆者:

nishi

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