フェイク ショップ コロナ禍で急増中
すでにコロナが蔓延する前から、(ドイツでは)店頭販売はよくても停滞、多くの店舗では売り上げが減少して、閉店に追い込まれていた。
閉店された店舗を継いだのは日本で言う「百均」、ドイツで言う1ユーロショップ。
その殺風景な店舗が、ただでも寂しい街中の景色を圧倒するようになると、さらに街中に出かける人は少なくなった。
そんな店舗の中でも、なんとか頑張ってきたのが衣料関連の店。ネットで見るより、やはり試着できる強みがあった。
しかしコロナ禍では、衣料関連の店までネットに客を奪われた。ドイツでは大手の衣料品販売店、Espritも最初のロックダウンで倒産した。(*1)
ロックダウンによりネット販売が唯一の販売方法になると、これまで店頭販売に頼ってきた店舗も大急ぎでネットショップを開店。
この傾向を詐欺師が逃す筈もなく、次ぎ次ぎにフェイク ショップを開店。コロナ禍は、フェイク ショックの数を一気に上昇させることとなった。(*2)
この記事の目次
商品を売る三大要素
商品を売る三大要素ってご存知ですか。
- セックス(アピール)
- 不安を煽る
- 安い価格で購買心をそそる
の三つです。
以前、ドイツのテレビ番組で、
「セックス(アピール)は本当に効くのか?」
という実験をやった。誰も興味を見せそうにない安い蛍光灯(当時はまだLEDがなかったです。)を仕入れると、”Ebay”で売りに出した。
ひとつはビキニ姿の美しいブロンド女性が、この蛍光灯を胸に抱えてる写真で、もうひとつは商品の写真だけ。
その結果は明らかだった。美しい女性と一緒に販売された蛍光灯には、商品だけの写真の蛍光灯の3倍の値段が付いた。
Youtubeやインスタグラムのインフルエンサーを利用して品物を販売するのも、この範疇の販売促進術のひとつ。
不安を煽るのは、保険業界の常套手段。
もし癌になったら?もし認知症になったら?もし死んだら?
と散々不安を煽ると、がん保険、認知症保険、死亡保険を売る。子供だましだが、セックス(アピール)同様に、実によく効く。
そうてもうひとつが安い価格。
(例えば)10万円する品を6万、7万円で提供する古典的な方法。子供だましだが、セックス(アピール)同様に、実によく効く。
【要注意!】 フェイク ショップ コロナ禍で急増中
フェイク ショップ(詐欺)と言えど、ビジネスには変わりない。
数十万の費用をかけてフェイク ショップホームページを作成、1000円や2000円を騙しとるのでは、赤字になってしまう。だからフェイク ショップは、高価な品を検索している消費者をターゲットにしている。
そんな詐欺者に人気のアイテムが、ドイツでも人気でなかなか手に入らない Play Stastion 5。通常、フェイク ショップは安売りで客を騙すものだが、プレイステーションは別格。
なんと定価よりも高い値段で詐欺が成立する珍しい例。
「高くてもいいから、早く欲しい!」
という消費者が大量に騙された。
参照 : www.t-online.de
という珍しいケースを除けば、フェイク ショップはほぼ例外なく、安い価格を武器に鴨を探しています。
安値で安全装置が機能しなくなる!
同じ値段なら誰だってポイントのつく楽天か、返品が可能なアマゾンで買います。
が、大手は高い。
そこで少しでも安く購入しようと、ドイツ版の価格.com “Idealo”で価格を比較したり、
参照 : www.idealo.de
検索サイトで5ページ目、6ページ目と次々に検索していきます。するとほぼ必ず遭遇するのが、フェイク ショップ。他の店より1割~2割も安いんです!
普段は慎重な人でも、
「やった!1万円節約できるぞ!」
と、安全装置が機能しなくなり、騙されてしまいます。
「安いのが詐欺とは限らない!」
と思っているアナタ、販売店の身になって、考えてください。300ユーロでも
「あっ」
という間に売れる商品を、わざわざ250ユーロで売りますか?
そんな事しないですよね?もっともそこまで考えない方が圧倒的。
よく当社まで、
「貴社に頼むと、家賃の高いミュンヘンのアパートが安く借りれますか?」
というお問い合わせをいただきます。
ミュンヘンなら、
「60平米、築70年」
のアパートの家賃を1200ユーロで掲載しても、
「借りたい!」
と希望者が殺到します。なのにあなたが大家なら、
「800ユーロでいいです。」
って言いませんよね。それどころか、
「1300ユーロで行けるんじゃないか?」
と考える人の方が多い。でも、そこまで考える人は皆無。
結果、欲しい物を安く得るためにトンネルのように視野が狭くなり、フェイク ショップに騙される人が後を断ちません。
フェイク ショップの見分け方
しかしフェイク ショップの見分け方は、至極簡単です。
まずは安い価格。
第二の特徴が”Vorakasse”、すなわち前払いでしか注文できない事。稀にクレジットカードで払えるフェイク ショップがないわけでないですが、その場合は(多分)カード会社が返済してくれます。
第三の特徴がおかしなドイツ語とウエブアドレス。
ドイツができる詐欺師も居ますが、大多数は無理。そこでグーグルなどの翻訳機能を利用しています。当然、おかしなドイツ語になってます。
日本のアマゾンでも中国人が出品していると、品物の説明の日本語がおかしいですよね。同じように、おかしなドイツ語がふんだんに出てくると、要注意。
又、ドイツのオンラインショップなら、.de,あるいは、.com になっている筈です。これが de.comとかになっていると、非常に怪しいです。
この3つ、安い価格、前払いのみ、おかしなドイツ語が見受けられたら、そこはまずフェイク ショップです。
皆までいえば、利用規約が他の会社のウエブサイトのコピーなので内容が合ってない、あるいは会社の住所がただの民家の住所だったりと、他にもいろいろあります。
又、欲しい品物の名前で検索すると、フェイク ショップ出てくるのはかなり後ろのページである点も、特徴です。
何故だかわかりますか?
グーグルで上位にランキングするのには、SEOの専門家を使い、大金を払って初めて可能になります。これは楽天やアマゾンのような会社で初めて出来る事。
フェイク ショップが、
「プレイステーション 5」
で上位にランキングするのは無理なので、検索してもページをかなりめくらないと遭遇しません。(*3)
騙されてしまったら?
それでも騙されてしまったら、まずは銀行に連絡して送金を止めてもらいましょう。
ドイツの銀送金は遅く、平日で2日かかります。2日以内なら、お金を取り戻せる可能性があります。
同時にフェイク ショップがまだ存在しているうちに、スクリーンショットを取って保存、お金を払った証拠、Eメールなどを印刷して、最寄りの警察で被害報告を出しましょう。
オンラインでも届け出を出せます。NRW州にてオンライン被害届を警察に出すのはこちらから
ファイショップの経営者はルーマニア、スペイン、あるいはトルコなどに居るので、お金を取り戻すのはほぼ無理。でも次の被害者が出ないように、被害届を出しておきましょう。
注釈
*1
会社更生法の適用を受けて、再スタートしました。
*2
フェイク ショップとは、店舗も品物もないのに、あたかも店舗であるかのように振る舞い、商品の代金をだまし取る詐欺です。
*3
価格比較サイトでは、ロボットがネットを検索して値段を拾ってきます。この為、詐欺サイトが平然とトップに出てくることがあります。
「フェイク ショップを掲載した価格比較サイトが悪い!」
と、責任転嫁を図っても無駄です。裁判で争っても勝てませんし、言い分を支持してくれる弁護士も見つかりません。