日本でも日々、エネルギー価格高騰による物価上昇と直面している。
が、欧州での物価上昇は、日本の比ではない。
ドイツではガソリンがリッター340円を超えている。
日本の倍。
ガス価格に至っては、プーチンの戦争後、5倍に跳ね上がった。
ドイツ政府は国民がショック死しないように、消費者負担軽減政策 第三弾を決定した。
今回はその中身について、紹介してみたい。
この記事の目次
消費者負担軽減政策 第三弾決定!
消費者負担軽減政策 第三弾と聞いて、
と思われた方、政府の広報をご覧ください
という抗議が出る前に解説しておくと、
- 所得税を納めている人には300ユーロの給付金
- 子供一人頭100ユーロの給付金
- 9ユーロチケット
- ガソリン税軽減
- 生活保護受給者には200ユーロの給付金
という内容だ。
が、消費者負担軽減政策 第二弾には
- 9ユーロチケットとガソリン税減税は8月まで
- 年金受給者には何もなし
という問題があった。
これらの点を改善したのが、消費者負担軽減政策 第三弾だ。
政府の広報を信じるなら。
個々にその内容を紹介します。
電気料金上限導入
フランスなどですでに導入されている電気料金の上限が、ドイツでも導入される。
もっとも、いつから導入されるのか決まっていません。
加えて、
「どの額が上限になるのか?」
等、何も決まっていない。
ないも同然です。
年金受給者への給付金
消費者負担軽減政策 第二弾で何ももらえなかった年金受給者。
大事な票田を逃さないように、政府は2022年12月1日付けて、300ユーロ給付する。
児童手当
子供が要る家庭を助けるべく、2023年1月1日より児童手当が18ユーロ増額。
結果、一人目、二人目の子供への児童手当は、237ユーロ/月となります。
3人目は243ユーロ/月。
子供3人の家庭なら10万3000円。
日本では、
「これから金がかかるぞ!」
という中学生で児童手当支給終了ですが、ドイツでは就職するまで支給!
子供助成金
働いていても、
「生活できない。」
という家族が申請できる子供助成金。
これが250ユーロ/月に増額されます。
児童給付金と合わせば、487ユーロ/月。
おいしい!
学生 & 見習い給付金
もともとお金のないの学生や、見習いをしている方には、200ユーロの給付金が支給されます。
一回キリ。
ホームオフィス費用が必要経費として申請できる!
コロナ禍でホームオフィスで働いた人は、5ユーロ/日を
「必要経費」
として確定申告で上げることができます。
が、最高でも600ユーロ/年まで
社会保障費軽減月収枠の改正
日本で収入が100万円を超えると、所得税と
「嘘!」
のように高い住民税の支払い義務が生じます。
100万円って、たったの6900ユーロですよ!
昭和の時代ならわかるが、絶対におかしい!
ドイツでは1万347ユーロ(日本円で150万円)までなら非課税です。
さらに!
151万円で生きていくのはかなり困難。
そこで手取り収入が1300ユーロ/月までの低所得者には、社会保障費などが大幅に軽減されています。
この利点を享受できる限度額が、1600ユーロに改正されます。
加えて2023年からは非課税限度額が、1万632ユーロに引き上げ。
ガスへの消費税減税
ガス価格の高騰に加えて、”Gasumlage”の導入。
ますます高くなるガス価格を少し和らげるため、ガスにかかる消費税が19%から7%に減額される。
ショルツ首相は、
「これでガス料金が安くなる。」
と言ってましたが、真っ赤な嘘
“Gasumlage”の導入で、皆さんが払うガス料金は上昇します。
Bürgergeld 導入
こちらで紹介した通り、
2023年1月1日より、ハーツ4に代わり”Bürgergeld”が導入されます。
9ユーロチケットの後続版
本来であれば8月末で終了した9ユーロチケットの後続版が、9月1日から導入されるもの。
が、FDPの反対で何も決定されず。
決定されたのは、
「9ユーロチケットの後続版を導入しよう。」
という政府の努力目標だけ。
飲食店での軽減税率継続
コロナ禍で大量に倒産に追い込まれた飲食業。
その飲食業を助けるため、消費税が7%に減額されている。
今度はインフレで価格の値上げを迫られている飲食業。
これではますます客が減る。
そこでインフレショックを和らげるため、飲食店での軽減税率の継続が決定された。
批判
政府の消費者負担軽減政策 第三弾への批判が止まない。
具体的な例を挙げてみよう。
ガス暖房を導入している一戸建てでは、これまで月々200ユーロの支払いで済んでいた。
が、今や5倍の1000ユーロ以上、毎月支払わなければならない。
消費税を7%に減税した程度では、焼け石に水。
加えて電気代が高騰している。
電気代の上限が導入されると言っても、いつになることやら。
政府が払った一回きりの300ユーロの給付金では、とてもカバーできるものではない。
「遅すぎるし、困っている人の助けにならない。」
との非難に、
「これが最後の軽減政策ではない。」
と政府は弁解。
だったら何故、最初からもっと負担を軽減する政策を導入しない?
ウクライナに対するドイツの軍事支援のように、毎回、
「小出し援助」
を繰り返すだけ。
オリバーカーンの伝説的な言葉を借りれば、大きな政策を出す
「玉」
がないのが、今のドイツ政府だ。