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ドイツ鉄道社長 30日で300万ユーロの退職金ゲット!

投稿日:2017年7月16日 更新日:

ドイツ鉄道社長 30日で300万ユーロの退職金ゲット!

ドイツ鉄道の社長のグルーベ / Grube氏は2016年9月、ジーメンスから納入された最新型のICE車両「4型」をプレスに紹介した。

参照 : Deutschland Funk

2010年に注文を出してから、トラブルに続くトラブルで納入時期は大きく遅れた。

参照 : ドイツ病

当時、

「納入は2013年冬になるだろう。」

と悲観的な見方をしていたが、それよりもさらに3年も遅れるなんて、一体、誰が予想できだだろう。

新車両の紹介では社長もニコニコ顔で過去の事は水に流して、

「この車両はドイツ鉄道の新しい章を書く事になる。」

と大いにご機嫌だった。本人はまだこの時点では知らなかったが、数ヵ月後、まさしくこの言葉が現実化することになる。

ドイツ鉄道 新型ICE新車両のスペック

日本で新しい新幹線が導入されると、まず形がこれまでのモデルと大きく異なる。

最高速度はこれまでと同じか、旧型を凌駕することが少ないない。

外見に拘らないドイツ企業 ジーメンスが製造した新型は、旧型とほぼ同じデザイン。わずかに正面のライトがLEDになっているのが唯一の違いだ。

そして日本人が外見以上に拘る最高速度だが、新型は250km/hと旧型よりも遅い。

ドイツ鉄道は最高速度よりも経済性を優先した。乗客を一人頭、どれだけ安く移送できるかに重点を置いたのは、いかにもドイツ人らしい。

日本の新幹線と違いドイツの高速電車は従来路線を走行する。

これが原因で、最高速度を上げてもこれを利用できるのはごく一部の区間のみ。速度を上げると騒音の問題も発生する。

ドイツ鉄道はドイツ人らしく最高速度よりも経済性を優先した。

その代わりにドイツ鉄道がジーメンスに要求したのはクーラー。日本なら当たり前だが、夏でも暑い日が少ないドイツでは、クーラーは貴重品。

ドイツの電車でもクーラーはついていたが、気温が30度くらいまでしか想定してない。

これを超えるとクーラーが機能ダウン、車両は蒸し風呂になり乗客がばたばたを気を失った。

参照 : Hitzebahn

救急車が出動する大騒ぎになるとドイツ鉄道のイメージダウンになったので、この機会に気温が30度を超えてもちゃんと機能するクーラーを装備している。

そしてこれまた日本では当たり前になっている案内表示のモニターが装備される。そして、

「荷物を置く場所が少なすぎる。」

という客の苦情をやっと聞いて、わずかながら大きな旅行鞄を越えるスペースを拡大した。

日本の新幹線にない機能では、まず自転車が持っていけるようになった(自転車用のチケットが必要です)。

そして身体障害者のために、車椅子に乗ったまま電車に乗り降りできるスロープを装備、電車が停車するとスロープが延びる仕組みだ。

遂に Wifi 装備!

社内も車椅子が走行できるスペースを確保しており、これは(多分)日本にはまだない社会的弱者へのサービスだ。

そして誰もが待ち望んでいたサービス、Wifi もついに装備さた!二等車でも無償で利用できる。もっともサービスを利用するのはドイツ語、あるいは英語で登録が必要だ。

速度は300kbpsまで。データの転送量が200MBを超えると、スピードがかなり制限されるので、動画の視聴は避けた方が件名だ。詳細はこちらをご覧ください。

参照 : ドイツ鉄道

この新しいICEはハンブルクとハノーファー、そしてニュンベルクからミュンヘン間を試験走行している。

2017年の11月まで乗客を乗せて走行テスト、大きな問題がなければ12月から順次、ドイツ全土に導入される。

もっともジーメンスに注文されたのは130もの車両なので、すべての車両が新車両に入れ替わるのは2023年。

だから

「ICEに乗ったのに、Wifi が無料で利用できなかった!」

ということもあります。その場合の苦情は、ドイツ鉄道までお願いいたします。

Wifi 速度

又、出張の際にwifi を利用してみましたが、メールをダウンロード & 送信するのが出来る程度です。

動画の閲覧なんて、問題外。画像の少ないサイトだったらそこそこ見れますが、すぐに限界容量に達します。

無料で利用できるのは、あくまでも緊急時の仕様で、がっつり使い方には有償サービスを利用するしかありません。

ドイツ鉄道社長 契約更新で激怒!辞任する

ドイツ鉄道は、2015年に大きな赤字を出した。

2016年では黒字を出したが、長距離路線で長距離バスに客を奪われて乗客数が減少している。そこでドイツ鉄道はこの新しい電車で乗客をバスから取り戻し、会社の採算性の改善を期待している。

グルーベ社長が抱える問題は、利用者の減少だけではない。

前任者がドイツ鉄道の民営化、株式上場を目指して会社の設備投資を怠った。これが原因でドイツ鉄道には古い車両が多く、故障が発生しやすい。

しかし電車の整備施設まで合理化の犠牲になり、故障した車両を整備する十分な能力がない。だからドアが開かない車両、トイレが故障中で使用できない車両が当たり前。(注 1)

ICE は新車両になるかもしれないが、この車両はドイツ鉄道が所有する車両のごく一部でしかない。

さらにドイツ鉄道、ICEが走らないローカル路線では、まだナチスの時代に敷設された古い線路を利用している。

これを新しくしたいが、金がない。いや、金はあるのだが、ドイツ鉄道は世界企業を目指してロンドンの鉄道など、外国で投資を行い国内投資に回せる金がない。

などなど、ドイツ鉄道の問題を上げれば、キリがない。

同社長は欠陥鉄道になった会社の厚生を目指して、幾つかの小さな成果を上げることに成功した。

会社の持ち主である国も社長の仕事ぶりに満足しており、グルーベ氏の任期は延長される筈だった。

実際、任期延長の役員会議に出向くグルーベ氏は、とてもご機嫌で、契約書にサインするのが待ちきれない様子だった。

ところがドイツ鉄道は役員会議の終了後、同氏の任期延長ではなく、同氏が社長を辞任したことを告げた。

運輸大臣もこれには大きく驚いて、

「まだ詳しい事情を把握していないので、コメントできない。」

と、記者団から逃げ出した。

後から報道された話では、グルーベ氏は3年の任期延長で会社側と事前に同意に達していた。

ところが会社側が書面で提示してきたのは3年ではなく、2年の任期延長の提案だった。

一言も相談なく、事前に決めていた内容を、契約の場面で急に変えるなんてひどい!

グルーベ氏はこれを会社側の同氏の能力に対する信用欠如、侮辱と解釈した。そして怒りの余り、その場で社長を辞任してしまった。

参照 : zeit

社長辞任 洒落のネタに

ドイツ鉄道には前任者が残した大きな工事現場、”Stuttgart21″が残っている。

シュトットガルト駅を地下に移して、駅前の交通の流れを改善しようと始めた工事だが、工事費がうなぎのぼり。

ドイツ鉄道は住民の反対に面して、

「工事費は上昇しない。」

と約束して工事を始めただけに、大きな問題になっている。

ドイツ鉄道はシュトットガルト市に工事負担金の追加を要請したが、市は契約内容を理由にこれを拒否。

ドイツ鉄道はシュトットガルト市を訴えて、追加の工事費をださせようと画策が続いている。

この大きな工事現場をグルーベ氏は残したまま、会社を去ることになった。

その日のニュースでドイツのメデイアは、

「グルーベ氏は大きな穴(ドイツ語でグルーベ)を残したまま、社長を辞任した。」と報道した。

ドイツ鉄道社長 30日で300万ユーロの退職金ゲット!

グルーベ氏が辞任したのはちょうど、古い契約が切れる30日前だった。

任期満了を前に辞任したので、ドイツ鉄道は「退職金」を払う必要に迫られた。

その額が凄い。退職金が225万ユーロ。年金が87万ユーロで合計312万ユーロ。邦貨で4億円。

参照 : focus

言っちゃ悪いが、30日で4億ももらえるなら、誰だって辞めます。

とっくに70歳を超えているグルーべ氏、国営のドイツ鉄道からそんなに金をとって、一体、何に使うんだろう?

金の墓石でもつくるのかしらん?

注釈 – ドイツ鉄道社長 30日で300万ユーロの退職金ゲット!

(注 1)

鉄道のトイレが故障中で利用できず、

「おもらし」

をしてしまった乗客も要る。その乗客はドイツ鉄道に損害賠償を求めて訴え、勝訴した。

参照 : faz

こんな恥ずかしい裁判、メデイアが喜んで報道する前に客に金を払って示談にすればいいのに、わずか200ユーロも弁償もしないのが、ドイツ鉄道。

裁判で負けて、裁判費用、原告の弁護士費用、そして賠償金200ユーロの支払いを命じられたが、一番安いのが賠償金だった。

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執筆者:

nishi

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