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メルセデス300SL クラシックカー詐欺

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メルセデス300SL クラシックカー詐欺

今回のテーマはメルセデス300SL クラシックカー詐欺です。

この車は数あるドイツ車クラシックカーの中でも

「一番高い」

もの。

皆さんが被害に遭う可能性は低いですが、その一抹をここで紹介しておきます。

投資対象 クラシックカー

そもそもクラシックカーは80年代までは、そんなに高くはなかったんです。

若い頃、憧れていたが手が出なかったスポーツカー。

ところが中高年になると金銭的な余裕ができたので、

「かっての憧れ」

を購入するのが、一般的なクラシックカーの購入者。

ところが90年代(後半)になって、クラシックカーは投資対象に。

価格が爆発しました。

その価格は今だに上昇を続け、人気のモデルは毎年で10%近い上昇率。

クラシックカー詐欺には絶好の

「下場」

ができあがっていたわけです。

メルセデス300SL

メルセデス300SL

ドイツ車で一番人気のクラシックカーは

”メルセデス300SL”

です。

その中でも

“Flügeltürer”(羽扉)

のモデル。

 

生産台数が少なくて、そもそも売りに出ていない。

もし売りに出ている車があれば、最低でも4百万ユーロ。

邦貨で6億円を軽く超える。

それほど高くないのは、

「普通の扉」

を採用しているモデル。

それでも価格は120万ユーロから。

2億円に迫る額だ。

3年前まならまだ90万ユーロで買えた。

クラシックカーが投資対象になってしまったため、価格上昇が止まらない。

KIENLE Automobiltechnik GmbH

かってのメルセデスのエンジニア(修理工)Klaus Kienle氏が、そんなクラシックカーのレストレーションを専門にする会社、

“KIENLE Automobiltechnik GmbH”

をシュトットガルトの郊外に設立した。

参照 : Klaus Kienle

 

メルセデスからの信頼を享受しており、氏の工場でレストレーションされたメルセデス300SLは、メルセデスが検査することなく、

「本物」

の認定を受ける程。

クラシックカーの収集で有名なマレーシアの王様も、キーンネレ自動車店でメルセデス300SLを買った。

ドイツではクラシックカー業界では知らない人はいないほど、有名な会社だった。

メルセデス300SL 特別仕様車

そんな人気のクラシックカー メルセデス300SLには1台の特別な車があった。

メルセデスが見本市の為に特別に生産させた

「特別仕様」

のメルセデスだ。

カラーは薄黄色。

メッセで目立つようにこの色を選んだ。

評判が良かったため、その後メルセデス300SLはこのカラーでも販売されたが、

「特別仕様車」

は一台だけだった。

 

見本市の後、この特別仕様車はイタリア人の実業家が購入。

薄黄色の車両を

「イタリアンレッド」

に塗装させた。

その後、このメルセデスはスイスの大地主の手に渡り50年間、価値があがるのを待っていた。

メルセデス300SL クラシックカーハンター

もしですよ。

日本でメルセデス300SLの

「廃車」

を見つければ、どんなにボロボロでも1億円の価値があるわけです。

「闇バイト」

よりも効率がいい。

そこでドイツは勿論、世界中に

「クラシックカーハンター」

別名

「トレジャーハンター」

がいます。

そんなクラシックカーハンターの一人が、スイスで眠っていたメルセデス300SLを発見!

大金を払って購入、ドイツまで移送して

「新品同様」

の状態にレストレーション。

その際、赤色の塗装の下から黄色い

「オリジナル塗装」

が出てきてびっくり。

調べてみるとメルセデスが見本市の為に製造させた

「特別仕様車」

であることがわかったんです。

これで車の価値は倍!

そんなバナナ!

両目にユーロのサインを浮かべて運輸局へ。

車の車検証などを提示すると、

「この車は登録できません。」

と交通局の役人。

そんなバナナ!

「なんで?」

と聞くと、

この車両ナンバーで登録されてる車があるからです。

 

と役人。

この車は50年間スイスで眠っていたのに、登録されているわけがない!

調べてみると、マレーシアの王様が買ったメルセデス300SLが、この車体番号を持っていたんです。

シャーロックホームズでなくても、

「王様は偽物を買った。」

とわかります。

謁見

クラシックカーハンターは王様に、

「あなたが所有しているメルセデス300SLの件で、重要なお話があります。」

と連絡。

すると王様から返信があり、宮殿にご招待。

シンガポール空港に到着したクラシックカーハンターは、王様専用車でピックアップされると宮殿まで。

到着すると挨拶もそこそこに、王様が

「キーネレ自動車店」

で購入したメルセデス300SLのお披露目。

クラシックカーハンターは勿論、

「手ぶら」

ではなく、車の鑑定士と一緒にやってきていたのだ。

鑑定士が車体ナンバーを見ると、そこに刻印されてる数字は、

「いかにも後から書き込みました。」

というひどい代物。

オリジナルのナンバーを削り取った後、その箇所を

「ハンダ」

で覆い、ナンバーをトンカチで打ち込んでいた。

数字が上下しており、いかにも偽物。

「こんな下手な偽物は滅多にみない。」

と鑑定士が唸るほどの、手抜き詐欺。

そう、王様は

「キーネレ自動車店なら間違いない。」

という評判を信用して、車体番号をチェックしていなかったのだ。

クラシックカー詐欺 メルセデス300SL

偽物をつかまされた王様はキーネレ自動車店に、購入金額の返却を求めた。

キーネレ自動車店からの返事は、

「別のメルセデス300SLをお届けします。」

というもの。

王様はこのオファーを蹴り、購入金額の返却を求めたが、果たしてお金が払い戻された不明だ。

というのも警察が

「やっと」

“gewerbsmäßiger Betrug”(詐欺罪)

で調査を始めたからだ。

キーネレ自動車店は客を失い、あっけなく倒産。

しかし詐欺の大元、クラオス キーネレ氏は身柄を拘束されることなく、詐欺で稼いだ金で悠々自適の老後を送っている。

詐欺の全容

キーネレ自動車店が倒産、そこで働いていたメカニックが

「事実」

を語り始め、やっと詐欺の全容が見えてきた。

なんでもキーネレ自動車店は当初から、経営資金不足に悩んでいた。

ここでキーネレ氏は

「クラシックカー価格の高騰」

に窮地を脱出する巧妙な手段を思いついた。

オリジナルのメルセデス300SLが修理で工場に持ち込まれると、オリジナル部品を次々と偽物と交換し始めたのだ。

十分な数の部品が集まると、

「オリジナルのメルセデス300SL」

として高値で販売。

あるいは盗難車を好んで買い入れると、かって存在していた車の車体番号をメルセデスから探り出し、これを車体に刻んだ。

こんな商売をほぼ30年も続け来けたという。

何故ばれなかった?

と聞けば

「何故、もっと早くばれなかったの?」

と思う事だろう。

実はこれまで何度か偽物に気が付いた客がいて、その度に民事裁判があった。

しかし客の多くは数億円もする金を

「キャッシュ」

で買う人達。

警察に被害届を出して、

「で、その2億円はどこから捻出したんですか?」

と聞かれたら藪蛇だ。

だから警察に被害届を出さず、

「民事訴訟」

で返金だけを要求した。

そしてキーネレ氏はその返金要求にいつも応じた。

「車を買いたいカモは幾らでもいる。」

というわけだ。

こうしてキーネレ氏の詐欺は長年、ばれることがなかった。

共犯メルセデス

実はかってメルセデス300SLでレースに出て何度も優勝した

「かってのレーサー」

が新車でこの車を購入していた。

しかし年数が経ち、修理が必要に。

そこで周囲に

「何処がいい?」

と聞いた挙句、キーネレ自動車店に車を持ち込んだ。

するとメカニックはオリジナル部品を次々と盗み、偽物に交換した。

ところがである。

かってのレーサーは車の状態を自分の体のように知っている。

オリジナル部品が多く盗まれていることに気が付いて、文句を言い

「オリジナルに戻せ!」

と要求して裁判争いに。

その際、かっての雇い主のメルセデスに、

「キーネレ自動車店は部品を盗んでいるのに、メルセデス認定修理店なんておかしい!」

と苦情を言った。

それも社長に直々に。

が、この直訴は無視された。

メルセデスは

「知りませんでした。」

と無実を主張しているが、どれだけ信憑性があるだろう。

ましてや倒産したキーネ自動車店は今、メルセデスの販売店になっている。

裏のつながりがあったのではないのか?

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執筆者:

nishi

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